光の貴公子の股間から放たれる強烈な光!? ツッコミどころ満載の眩しい学園ギャグ漫画

マンガ

公開日:2020/10/30

『いとやんごとなき』(小松翔太/小学館)
『いとやんごとなき』(小松翔太/小学館)

 連載前回では、自称イケメンであることを貫き、彼独自の名言(迷言?)で悩める人の心を前向きにしていく少年・池田くんが主人公の学園ギャグマンガ『イケ田くん』を紹介した。そして今回紹介するもう1人のイケてる男子は、輝く…どころか眩しい。つか眩しすぎる(股間が)! クラスから浮いた池田くんのキャラの強さとは異なるが、学園内で神々しく輝く貴公子が主人公の奇跡のギャグ作品、小松翔太先生の『いとやんごとなき』(小学館)をご紹介。

 普通の公立高校に通っていた庶民少女・出海あすかは、母親がお金持ちとの再婚を果たしたことをキッカケに、お金持ちの子女が通う超名門校・雲上学園へ転校することになった。転校した登校初日。あすかは平凡な学園生活が送れるよう期待しながら校内へ入ったその時、学園の前に延長しすぎのリムジンが停車する。まもなく後部の扉が開き、あすかの目に眩しい衝撃のシーンが飛び込む。車から降りて校門を通過し、敷地内を歩む黒い学ラン姿の少年。と同時に目に入ったのは、在校生が瞬時に彼の両サイドに整列して、彼に向かって一斉に挨拶する光景。そして――光る彼の股間! この一連の光景に、あすかは心の中で呟く「…マジ?」。

 在校生にタダならぬ影響力を与え、さらに理解不能の股間を光らせるという体質(?)を持つ少年の名は、光暈寺(こううんじ)麻呂。全校生徒から「光の貴公子」と呼ばれ、“いとやんごとなき家柄”の生まれだそうだ。

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 ある日、放課後雨が降り注ぐなか校舎を出たあすかに、光暈寺と最接近する機会が訪れる。そこであすかが光暈寺へかけた一言が、壮大な奇跡を引き起こすのと同時に、あすかの平凡な学園生活を完全崩壊させる運命へと導くのであった…。これは、“圧倒的光量”で庶民派女子に接する光の貴公子の生態に迫る、華麗なる学園ギャグ物語である。

 このブッ飛んだ光景の連続に対して、驚いたり呆れたり表情を素直に顔に出し気持ちを呟くあすかに、読者は即シンクロするハズ。というか読み手としてもツッコみたくなるのだ。常軌を逸したキャラクターと設定のはずなのに、スッと世界観に入り込み楽しむことができるのがこの作品の特徴であり魅力だ。

 そして、この作品がブッ飛んでいるのは、光の貴公子の存在だけでない。彼らの通う雲上学園もスゴいことになっている。まずは、お金持ちの家の生徒ばかりということもあり、学食のメニューは最高級素材を使った一流料理。当然、美味い。そして教室内では、1人の生徒に1人の奉仕人(執事やメイド)が付くというVIP待遇仕様だ。光暈寺のような特異な存在がなければ、文句なしに最高の環境だろう。だが、この学園にいる以上、光暈寺との関係は切りたくても切れない。あすかは、これからの学園生活を平穏に送るため、クラスメイトに彼の素性についていろいろと聞いていくのだが、最終的にたどり着く結論は、「でも股間が光るんだよね…」に尽きる。どんなに多くの生徒に称賛されようと、着地点は「股間は光る」の一言だ。そんな股間の光に翻弄されるあすかの華やか(?)な青春は、もっととんでもない展開へ導かれたり、新たなトンデモ生徒に出会ったりと見どころ満載だ。

 前回の『イケ田くん』でもそうだったが、イケてる少年は自分自身の一番輝いている部分を、堂々とみんなの前で魅せてくる。これがイケてることの本質なのかもしれない(絶対に違うか)。

 というわけで、連載2回にわたり“光り輝くイケてる男子”のギャグ漫画を紹介してきた。この2作品を一緒に楽しんでいただきたいため、コーナー初の仕掛けPOPを制作してみた。前回の『イケ田くん』のPOPを改めて見ると、右側で何か見切れているのが気になるはず。実は同じ発売日で同じレーベルの『いとやんごとなき』と合わせて1枚のPOPになる仕様なのだ。書店でコミック担当をしている方は、横並びで陳列してこのPOPを利用してみるのはいかがだろうか?