SNSを通じて様々な才能が結集する電子雑誌「トルタル」編集長 古田靖さんの本棚

更新日:2012/8/26

古田靖さん

<古田靖>
電子雑誌トルタル編集長
1969年愛知県生まれ。名古屋大学工学部電気学科中退。ライター。電子雑誌トルタル編集長。1995年、「月刊近代麻雀ゴールド」「月刊GON!」誌でライターとして活動開始。雑誌、ムック、webなどに幅広いジャンルの記事を取材・執筆し、2004年12月に初の著書「アホウドリの糞でできた国ナウル共和国物語」(寄藤文平との共著)を出してからは、単行本も出版。2010年5月より、インディ電子書籍レベール”カナカナ書房”をスタート。電子雑誌『トルタル』や『電子書籍を出してみたよ』などを頒布している。

インタビュー

――「もっとみんなもやったらいいよ」といいたくて、いまはやっています。
◆クリエイターになったきっかけ、作品制作するようになったきっかけは?
ライターという職業の定義は難しいのですが、ぼくは「署名の有無を問わず、カメレオンのように色々な媒体に合わせた文章を書く職業」だと思いこんで、すごく興味を持ちました。それで好きな雑誌20誌くらいの編集部に見よう見まねの企画書を送って、返事のあった2誌で書き始めたのが最初です。文章だけで暮らせるようになったのは1999年から。たぶんこれまでに30誌くらいで書いてきたと思います。
◆創作活動の中で、心がけていること、大切にしていることは?
現在は雑誌ではなく、書籍を中心に執筆しています。自分の著書ではオリジナリティが求められますが、著者が他にいる本では、その著者さんの考え方・表現・主張が主役です。ですから著書とは逆に、自分の存在を意識させないような文章を心がけています。最近増えてきたWEBコンテンツや電子書籍では、液晶ディスプレイで読んでも疲れないような「早く読める文章」「見やすい段落」を意識しているつもりです。
◆尊敬しているクリエイター、影響を受けたクリエイターは?
尊敬している方はたくさんいますが、ライターは100人いたら、100人とも違う仕事のやり方をしていると思うので、とくに影響を受けたり、参考にしたりということはありません。
◆今、夢中になっているもの、気になっているものは?
電書(電子書籍)とSNSです。2010年に電書のインディレーベル「カナカナ書房」をつくりました。最初は出版界隈の仲間と一緒にやっていたのですが、今年になってSNSを通じて知り合ったクリエイターの方々と「トルタル」という電子のフリーペーパーをやるようになりました。採算性とかの問題はありますが、技術的にはすでに従来とはぜんぜん違う枠組みでの本づくりも出版も可能になってます。何しろ楽しい。現在のトルタルには50名ほどのクリエイターがいるのですが、ミュージシャンとも一緒にやれるし、距離関係ないし、会社組織でなくても出版できる方法がたくさんありますしね。
◆これからの夢や目標は?
まだよく分からないのですが、電子書籍とこれまでの紙の本を対立的に語るのはそろそろ終わりになるのかなと思っています。これからは、本づくりに関わってきた人間と、WEB、音楽、動画とかのクリエイター、プログラマ、リアルなイベントのプロモータも自在に入り乱れていろんなことをする感じにしていきたい。「トルタル」は、そのための交錯の場になったらいいな、と思っています。現実的には、労力に見合ったメリットというか対価が得られる媒体になるように育てつつ、盛り上げていければと思っています。
◆⑥楽天のkoboやアマゾンのKindleなど、今年は電子書籍界隈でも大きな動きが見られる年に
なりそうですが、その中でトルタルやコボルタルを出すに至った経緯や、その目的とするとこ
ろなどを教えて下さい。
「電子書籍元年はいつなのか」「出版の未来はどうなるのか」といった評論を聞くに飽きちゃったというのが、トルタル創刊の大きな動機です。出版業界では「電子書籍をやる」よりも「電子書籍について語る」ほうが儲かるという変な状況がずっと続いているので、そんなことよりやってみようぜという感じですね。だからkoboの普及やamazonがどうなのかということを推測するのはあまり興味がありません。それよりも「電子書籍はこんなものだ」という定義がまだ相当曖昧なので、やるほうがずっと楽しい。いま自分たちがやってることが、もしかしたら今後のスタンダードになるかもしれないという期待もあります。ちなみに楽天kobo向けの別冊コボルタルはプログラマが編集長になって、ぼくらが文章や絵で協力するカタチで進めています。もしかしたら、今後はこういう出版もアリかもしれない。だから「もっとみんなもやったらいいよ」と言いたくて、いまはやっています。

 

makeboothβ
代表作:電子雑誌トルタル
電子書籍のインディーレーベルを目指すというカナカナ書房より出版された電子雑誌。スティーブン・セガール出演の映画をレビューした「セガール24時!!!」や、認知症の親についてのエッセイ『わたしとわたしの母のこと』他、写真集や評論、小説までジャンルに縛られない作りになっており、まさに雑誌的な面白さを伝えてくれる。