ひどいこと言われたけど全部自分のせいかも。自分を責めてしまう人に贈る言葉/夜の公園で、猫に人生を相談してみた①

文芸・カルチャー

公開日:2021/8/10

ウルニャンイ・著、吉川南・翻訳の書籍『夜の公園で、猫に人生を相談してみた』から厳選して全4回連載でお届けします。今回は第1回です。なぜかいつも満たされない、恋も仕事もうまくいかない、いいことなんて全然ない…そんなモヤモヤに、9回生きた猫がそっと耳を傾けてくれます。韓国発の、今を大切にしたくなるイラストエッセイ。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた
『夜の公園で、猫に人生を相談してみた』(ウルニャンイ:著、吉川南:翻訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)

プロローグ

猫には9つの命がある。

僕は何度も生まれ変わった。
事業家の猫として、
作家の猫として、
少女の猫として……。
つらかったこともあれば、
この上ない幸せを噛み締めたこともある。

これまで8回の生で、
さまざまな人間を観察してきたけど
みんな、どこか変だった。
いつも忙しそうにしていながら、
どこに行くのかもわからず、何かで傷つくと、
傷ついた自分を憎むのだった。

いちばん変だったのは、
いつも「なんとなく」と言っているところだ。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

なんとなく好き、
なんとなく嫌い、
なんとなく休みたい。

こんなふうに人間たちは、理由が多すぎるとき
「なんとなく」と言う。

照れくさくて口に出せない胸のときめきも
言わなくても理解してほしい悲しみも
自分でも見つめられない心の闇も
全部その一言に詰め込まれる。

今回の人生では、こういった
他人にはとても言えない気持ちを
聞いてあげることにした。

ひっそりとした公園のどこかで
たまたま言葉の話せる猫に会ったら、

それが僕、
猫生9度目の猫カウンセラーだ。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

燃え尽きるな

「すごくつらい。でも、がんばって笑顔を見せてるんだよ。
いつも平気な顔で、大丈夫だってふりをしてるだけで」

「つらいときや悲しいときは、
その気持ちをそのまま口にしてみて。
泣きたいときには泣けばいい。
つらいって言う人を、誰も責めたりしない。
僕もきみのことを慰めてあげたいよ」

ロウソクに火をともしつづけていたら、
そのうち燃え尽きてしまう。
無理して自分の心を燃やしながら
生きなくてもいいんだよ。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(最初の生 誰でもこの世に生きるのは初めてだから)

私のせいかな

「ひどいことを言われたり、
心ない言葉を投げつけられたりすると、とても腹が立つ。
でも考えてみたら、全部自分のせいかも。
もっと理解してあげるべきだったと思うし、
不満をもう少し抑えていれば、
喧嘩することはなかったんじゃないかなって」

「相手の立場に立ってみるのは大事だね。
でも、いつも自分のせいにしてしまうのは、
自分が愛されていないことに気づくより
そのほうが楽だからじゃないの?
その微妙な違いをよく見てみよう。
きみのプライドを傷つけるような人を、
理解してあげる必要はない。
心にできた傷に自分で塩を
すり込むようなものだからね」

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(2度目の生 こんなにつらいの、私の恋だけ?)

いずれ終わりが来るんだったら

「別れが怖くて、誰かを好きになることもできないんだ。
幸せな恋愛のゴールは結婚だとばかり思ってたけど
結婚が永遠の幸せを約束してくれるわけでもないでしょ?
結局、いつか別れの日が来るんだったら、
最初から人を好きにならないほうが、
気が楽なんじゃないかな」

「そうさ。
僕たちはいずれ、すべてのものと別れる運命なんだ。
愛する人とも、無二の親友とも、
最後はこの世ともお別れする。
でもね、だからこそ、
最後まで幸せでありたいと思って努力するんだ。
きみは、まだいい縁に恵まれてないだけだよ。
いつか別れが来るにしても
“あなたと出会い、付き合い、愛することができて、
本当によかった”と思えるような人、
そんないい縁に巡りあえるはず」

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(2度目の生 こんなにつらいの、私の恋だけ?)

<第2回に続く>

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