別れた相手が忘れられない…。その愛おしさは、もう戻れないからこそ生まれる/夜の公園で、猫に人生を相談してみた②

文芸・カルチャー

公開日:2021/8/11

ウルニャンイ・著、吉川南・翻訳の書籍『夜の公園で、猫に人生を相談してみた』から厳選して全4回連載でお届けします。今回は第2回です。なぜかいつも満たされない、恋も仕事もうまくいかない、いいことなんて全然ない…そんなモヤモヤに、9回生きた猫がそっと耳を傾けてくれます。韓国発の、今を大切にしたくなるイラストエッセイ。

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夜の公園で、猫に人生を相談してみた
『夜の公園で、猫に人生を相談してみた』(ウルニャンイ:著、吉川南:翻訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)

別れの始まり

「別れてもなんともなかった。全然平気だった。
それなのに、だんだん心が痛くなってきて、虚しくなってきた。
別れた日は悲しくもなかったのに」

「別れとは、別れようと言った瞬間に
訪れるものじゃないんだ。
あたりまえにしていた夜中の電話がなくなり、
あたりまえに会っていた週末を一人で過ごし、
あたりまえに口にしていた言葉をのみ込む。
そうやって相手の不在を感じながら、
やっと本当の別れが来るんだよ」

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(3度目の生 別れが悲しいのはあたりまえ)

いま出会っていれば

「ふたりがもう少し遅く出会っていれば、
何か違ってたかな?
あのころの私は子どもだったし、
未熟で人生経験も足りなかった。
いまは気持ちに余裕があるし、
前よりずっと大人になったのに、
あの人がそばにいないなんて」

「その人が恋しいのは、子どもで、未熟で、
人生経験もなかったけれど、だからこそ、
かわいかったあのころの自分が恋しいからだよ。
もう戻れないからこそ、いとおしいんだ。
結婚は運命の相手とするものじゃなくて、
結婚すべきときに出会った人とするものだって言うよね。
なんだか妥協しているみたいに聞こえるけれど、
つまり、いまそばにいる人を大切にしてという
意味じゃないかな。
この先、どんな人に会おうとも、
心おきなく大切にして、後悔のないよう愛せたらいいね」

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(3度目の生 別れが悲しいのはあたりまえ)

一時停止

あまりにつらくて、もうやめたくなったとき、
自分をいちばん苦しめているのは、ひょっとすると
もっとがんばれたんじゃないだろうか、
やっぱり努力が足りなかったんじゃないか、
という自責の念かもしれない。

泳ぐことができるのは、腕と足に力があるときだけだ。
力を使いはたしたとき
水に溺れないようにする方法は、
むしろ何もしないこと。

人生を泳いでいると
誰でも体の力が抜ける瞬間が訪れる。
止まっているからといって、自分を責めないようにね。
じゅうぶん休めば
また力を出して泳いでいけるはずだから。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(4度目の生 もう一度勇気を出してみる)

重すぎる

なんとか耐えていても、ある日急に倒れることがある。
それも、ほんの些細なことで。
ぎりぎりまで重い荷物を背負っていると、
その上に舞い落ちた羽一枚で
倒れてしまうこともある。
だけど、知ってる?
再び立ち上がるときも同じだよ。
ほんの些細な問題がひとつでも解決すると
なんでもうまくいくような気がして
なんでもやってみようという勇気が出るんだ。

いま倒れているなら、少し待ってみよう。
すぐに、些細なきっかけで立ち上がれるときが来るよ。

夜の公園で、猫に人生を相談してみた

(4度目の生 もう一度勇気を出してみる)

<第3回に続く>

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