ベルリンに戻る列車の中、目を輝かせた少女から声を掛けられた亜生。その理由とは？／思えば遠くにオブスクラ⑧

靴下ぬぎ子著の書籍『思えば遠くにオブスクラ』から厳選して全8回連載でお届けします。今回は第8回です。火事で住居を失った28歳のフリーカメラマン・片爪亜生。引っ越しを余儀なくされた彼女が次に住むと決めた場所は、ドイツ。仕事も大志もない、だけどフラリと海外移住。文化、食事、人との出会い…亜生の未体験だらけの生活が始まる――。プラハでの撮影を終え、電車に乗って再びベルリンへ戻ることに。自作の偽キャビアのサンドイッチをほおばっていると、ある少女に話しかけられる。