まずはどこから整えるべき? 「センスがいい」家にするための秘訣とは?/暮らしが整う「片付けない」片付け

暮らし

公開日:2021/12/28

何から始めるか? どこから整えるか?

 整理収納を始めるのにおすすめは、毎日使うところです。なぜなら、効果が実感しやすいからです。

「じゃあ、キッチンだ!」とヤル気に満ちた声が聞こえてきそうですが、いきなりキッチン全体は疲れ果ててしまうと思います。一番よく使う引き出し一つから始めてみてください。

 冷蔵庫も取り掛かるにはいい場所です。食品は賞味期限があるので「使う/使わない」が機械的に判断できます。

 同じ理由で常温の食品ストック棚も手をつけやすい場所です。

 

 間違っても、思い出の品などから始めないようにしましょう。写真や手紙など、つい見入ってしまったりして、なかなか整理が進みません。

 事務的な書類でさえ、なかなかやっかいです。読まないと「使う/使わない」を判断できないので、意外と時間がかかります。

 そういうモノが集まりがちなリビングルームは最後にやることをおすすめしています。

 

 リビングを最後にしたほうがいい理由はもう一つあります。

 そこには家族みんなのモノが混在しています。たとえ家族でも、どんなに小さな子どもでも、自分以外のモノは勝手に判断しない、というのは整理収納アドバイザーの心得の一つです。

 

 整理収納は自分のモノから、自分のモノだけ。

 家族のモノは、みんながいるときに、一つひとつ聞きながら。

 

「これいる?」「これ使っている?」「どこで使う?」「いつ使う?」「大切なの?」その答えは本人にしか分かりません。だから、ゴールデンゾーンはどこかとか、置く/掛ける/引き出しなど、どれが取りやすいのかも、家族だってまちまちです。

 それを一つずつ自分自身で判断しないと、結局すぐに元の状態に戻ってしまいます。

 

 手間がかかるようでも、整理収納の段階で聞いておくと、家族全員にとって暮らしやすい家になります。すると自分のことは自分でしてくれる、それぞれが自分で片付けやすくなる、「ママ、あれどこ?」と聞かなくなる、「あれ探して」と言わなくなる……いいことばかりです!

センスよく見せたいなら「色」だけ揃えてみる

 こうして家を整えていったら、「センスがいい」と褒められるようになりました。正直、これには自分でも驚きました。

 もともとセンスがいい人間ではありませんし、インテリアの勉強をしたわけでもなく、もっと言えば「センスよく見えるように」とがんばったつもりもありません。

 

 ただ、生活エリアにあるモノを使っているモノだけに絞っていくと、それだけで素敵に見えるようなんです。

 また、その過程で自分が心地いいと思うモノだけを選んでいくことになるので、自然に統一感が生まれます。

 私の場合なら、白色や白木のモノ。これは意図的にそうしたわけではなく、見るとほっとしたり、気に障らないモノを残していった結果、自分の好みがはっきり分かるようになりました。

 そして、見た目が自分好みで揃っていると気分がいいことが分かったので、新しく買うモノも同じトーンで合わせるようになりました。そうやっていくうちに、全体が一体化して見えて、それが「センスよく見える」につながったようです。

 つまり、私のセンスの秘訣は「必要最低限のモノにして、色を揃える」。以上です(笑)。

 

 ちなみに、昔は物欲の塊のような人間で、見ると手当たり次第買ってしまう傾向がありましたが、整理収納を身につけたおかげで、それも収まりました。

 いまは、自分にとってベストなモノを見つけると「それだけでいい」と思えます。タオル、ハンガー、マグカップ、スプーン、箸などは同じメーカーのもので統一し、浮気心はわきません。それでますますスッキリ見えるようです。

 ついでに言うと、最近は靴下や下着も1種類、トップスは仕事用と普段用でそれぞれ1種類、普段履きの靴は1足です。「おしゃれ」と思うモノをあれこれ買っていた時代と比べて、おしゃれじゃなくなったのかもしれませんが、いまのほうが「センスがいい」と言われます。

 ちょっと不思議な気分です。

家族が片付けに協力してくれないときは?

 自分は暮らしを整えたくても、家族が協力的でなかったら?

 自分のモノだけを淡々と片付けていけばいい、と私は思っています。

 とにかく自分のエリアの暮らしを整えてスッキリしたり、気分がよくなるのが一番です。それを見て、家族が何かを感じてくれたらラッキーくらいに思っています。

 

 片付けは、暮らしのストレスをなくすためにやるものです。

「片付けて!」と言ったり、言われたりすることでストレスが増すようなら、片付いてないほうがいい、とさえ思っています。

 

 昔の私も、夫に「片付けて」と言われても、全然やる気になれませんでした。自分で気づくことがあったり納得できたからこそ、ここまで続いています。

 いま勉強しているコーチングでも人を変えるというのはなかなか難しいと言われます。でも、自分だけなら変われます。そして、自分が変わると環境がちょっとずつ変わります。

 まずは自分が楽しむ。好きなモノに囲まれて心癒される場所にして、家にいるだけで幸せだと感じられる空間にする。そうやって楽しみながら暮らしを整えていく。

 そんな自分を家族に見せられるだけでもいいんじゃないかなと思います。

 

 次の章から、私やお客さまが感じていた暮らしのストレスや、私の整え方の試行錯誤をたくさん紹介していきます。

 ただ、私の整え方は、あくまで私にとっての正解です。家族間でも使いやすさ、暮らしやすさが違うように、ご紹介する方法がみなさんのベストとは限らないかもしれません。

 でも、だからこそ、本書にたくさんの方法を書いてみました。すべてがドンピシャ! とはいかないかもしれませんが、お客さまやフォロワーさんから「参考になった」「アレンジしやすい」と好評だったものを集めました。

 ご自身に合うかどうか、楽しみながらあれこれお試しいただければ幸いです。

<第4回に続く>

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