多くの女性が抱える悩み、PMSや更年期障害。天気の影響で症状が増幅されることも/「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本
公開日:2022/4/29

痛みの感覚はきわめて主観的なものなので、他人はなかなか理解できません。
切り傷、打撲、骨折などの「急性痛」は、患部を見れば痛みが生じていることがわかりますので、他人でも痛みの程度はだいたい想像できます。
でも、気象病と深くかかわっている「慢性痛」は、見た目にはどこにも異常がないことが多いため、なかなか理解してもらえません。
他人に理解されにくいだけにとどまらず、原因がはっきりしないケースが多いため、その痛みを誰にも相談せず我慢してしまう人が多いのです。これは症状を悪化させる要因になってしまうこともあるので、絶対にやめましょう。きちんと症状を伝えて適切な治療を受ければ、症状を改善していくことにつながります。
痛みがくり返し起こることで脳自体が変容することが判明
では、なぜ慢性痛を我慢していると症状が悪化してしまうのか?
そのメカニズムを説明していきましょう。
慢性痛は、あまり痛くない時期と、急に痛みが激しくなる発作時が交互に訪れる症状のため、後者が嫌な記憶として脳内で何層にも積み重なっていきます。
そして、疼きが始まると「またか」となり、「痛みが出ると○○ができなくなる」「予定を変えなければならない」「つらい」「苦しい」といったマイナスの記憶や感情がよみがえります。
これをくり返すことによって、痛みの感覚が日増しに強固なものとなり、どんどん悪化してしまうのです。
本来であれば、慢性痛には痛いときと痛くないときの波があるのですが、この悪循環に陥ってしまうと、四六時中痛みを覚えるようになります。なぜなら、痛みに対する脳の認知が変わってしまうからです。
「大げさに言っているのではないか」「気のせいではないか」と思ってしまうかもしれませんが、この状態になると、患者さん自身は本当に耐えがたい痛みを感じているのです。
最近の研究で、痛みがくり返し起こることによって、脳自体が変容することが明らかになりました。
慢性痛により、痛みだけでなく、それに付随する心理的なストレスを感じ続けることで、脳の扁桃体(不安や恐怖などの感情に大きくかかわる部位)が過敏になったり、前頭前野(感情や行動を抑制するなどの働きをする部位)や海馬(記憶や空間学習能力をつかさどる部位)が萎縮してしまったりすることが確認できたそうです。こうなると、本当は痛くなかったはずなのに、脳が「痛い」と錯覚し、常にひどい痛みに襲われてしまうようになるわけです。
これが、慢性痛を我慢することによって起こりうる恐ろしい現象です。ほったらかしは厳禁と、強く心に刻みましょう。