体の不調を我慢していると、心の健康も損なう可能性も。「気象病」のしかるべき対処法とは?/「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本

健康・美容

公開日:2022/4/30

「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本

「気象病」という医学的な〝病名〟はありません。

 これは、天気の影響を受けて体に慢性の痛みが生じたり、症状が悪化したりする病気の総称です。

 天気の変化を体が感じると、その変化がストレスとなって自律神経の交感神経に作用し、痛みが大きくなる、症状が悪化するというメカニズムになっています。すなわち気象病は、天気の変化ありきで体調に異変が起きるのではなく、もともと持っている体の不調の程度が、天気の影響を受けて増幅するということなのです。

 本項では、天気の影響を受けやすい病気や症状のなかから、代表的なものをいくつか紹介していきます。

 該当する病気や症状にふだんから悩んでいる人や、それを持病として認識している人は、症状の悪化を食い止めるために対策を講じていきましょう。

【頭痛】

 こめかみ周辺がズキズキ、ドクドクと脈を打つように痛むのが特徴の「片頭痛」と、首(広頚筋群)、頭部(側頭筋)、肩・背中(僧帽筋)などの筋肉の緊張で起こる「緊張型頭痛」がおもに該当します。片頭痛の詳しい原因は、近年解明されてきていて、痛みを脳に伝える三叉神経が血管の拡張で刺激されることによって生じると考えられています。

 片頭痛では、症状が出る数日〜数時間前から「眠い」「気分が悪い」「生あくびが出る」などの予兆があり、その予兆が天気の変化(気圧の変化)と連動している場合が多く見受けられます。

 緊張型頭痛は、微妙な気圧の変化が身体的ストレスとなって交感神経の働きが優位になり、首や肩の血管が収縮して血流が低下し、引き起こされると考えられます。

【首痛・首のこり】

 首の筋肉の弱い人やスポーツ等で首を痛めたことのある人に症状が現れることが多いです。首回りの筋肉が緊張し、血行が悪くなることで起こりやすいです。

 気象病の症状と深くかかわっている自律神経は、脳の視床下部から首を通って全身に張り巡らされているので、首にダメージがあると自律神経にも影響が及び、痛みなどの症状を引き起こすのではないかと考えられます。

【肩痛・肩こり】

 痛みの発生するメカニズムは首の痛みやこりと同じで、筋肉の硬直と血行不良がおもな原因です。

 デスクワークの時間が長く、前傾姿勢になりがちな人に多く発症し、気圧の微妙な変化による自律神経の乱れが症状を増幅させると考えられます。

【めまい】

 体のバランスを保つ感覚をつかさどる耳と脳のシステムに異常が発生することによって起こる症状です。

 ストレートネックで首が不安定な状態になり、めまいが起こるケースもあります。後述しますが、気象病の発症には内耳のセンサーが大きくかかわっているため、内耳が気圧の変化に反応することで症状が現れると考えられます。

【気管支喘息】

 突如として呼吸が苦しくなり、咳が出て、それが止まらなくなってしまう病気です。ハウスダストや花粉などによるアレルギー反応が起こると、症状が出始めます。気温と気圧が大きく下がる秋口などの季節の変わり目は、とくに悪化しやすいので要注意です。

【関節リウマチ】

 手足の関節に痛み、腫れ、こわばりなどが生じる病気です。膠原病のひとつとされ、昔から「雨が降ると症状が悪化する病気の代表例」と認識されています。細菌やウイルスなどから身を守る免疫機能が誤作動を起こし、自身の体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。

 雨の日に症状が悪化するといわれており、気圧や湿度の変化が痛みを悪化させるという研究結果も出ています。また、ひざ痛や腰痛などの関節痛も気圧の変化で悪化するといわれています。

【うつ・不安症】

 マイナス思考が進み、仕事をはじめとする行動に対する集中力が落ち、無気力、不眠、食欲不振などをもたらす心の病です。楽しいことを楽しいと感じられなくなり、場合によっては頭痛などをまねくケースもあります。

 うつは、脳内の神経伝達物質に異常が生じることで起こるとされており、治療には神経伝達物質のバランスを調整する抗うつ薬などが用いられます。心の病を抱えている人は、気圧の微妙な変化が症状と関連していることがわかってきています。

【耳鳴り】

 周りで何も音が鳴っていないのに、耳の中にさまざまな音が聞こえるという状態です。代表的な音としてはゴー、ザー、ジー、ボーンというような低い音やキーン、ピーという金属音などがあります。

 原因不明とされることが多い耳鳴りですが、中耳炎などの疾患が原因となったり、ヘッドフォンなどで大音量の音楽を聴いたりすることで起きることもあります。精神的・身体的ストレスによる自律神経の乱れで起こりやすい傾向があり、気圧の変化が自律神経に影響を与え耳鳴りを引き起こしている可能性があります。

<第7回に続く>

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