お礼や挨拶は相手に届いてこそ意味があるもの! 身近な人に「ありがとう」「おはよう」を言葉にして伝える習慣を/下品大全

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更新日:2022/7/21

「ありがとう」「ごめんなさい」をはっきり言わない

“言ったつもり”では人間関係も損ねてしまう。挨拶は、相手に届いてこそ意味があるのです。

挨拶もちゃんとできないなんて…

 同僚に、「先月のデータある?」と声をかけたら、「5分以内にキミのアドレスに送っとくよ」と言われた。こんなとき、ちゃんと「ありがとう」と言っていますか?

 軽く頭を下げただけ。手刀を切ったつもりなのか、手をちょこっと上げただけ。小さな声で「助かるう」とか、「ど(う)も」と返すだけ、だったり。

 実際、自分が思っているほど、「ありがとう」を言う回数は多くない。そんな調査結果があるくらいです。

 ある調査によれば、日本人が1日に「ありがとう」と言う回数は、平均7.5回。一方、「ありがとう」と言われた回数は4.9回と落差があるそうです。

 つまり、自分ではちゃんと言っているつもりなのに、相手は「ありがとうと言われた」と思っていない。これでは、「ありがとう」をちゃんと言っていない(伝わっていない)ことにしかなりません。

 

 人間関係において、挨拶、とくにお礼や感謝、あるいはお詫びの言葉が届いていないのは、いちばん失礼にあたります。これでは、「ろくにお礼も言わない。なんて図々しいヤツなんだ」と不快感を持たれてもしかたありません。

「ありがとう」だけでなく、「ごめんなさい」「すみません」などの謝罪の言葉もはっきり言わない。「わあ、どうしよう」とうろたえるばかりだったり、黙ってうなだれているだけだったり。こうした傾向は、最近、とくに目立つように感じます。

 挨拶は相手にきちんと届いて初めて、挨拶なのです。朝、会ったときも「おっ」とか「よっ」ではなく、「おはようございます」と最後まできちんと言うようにしましょう。それだけで、マナーをわきまえた上品な人だという印象を与え、互いに気分よく1日をスタートできます。

 

店員や配達員にも「ありがとう」を

 海外旅行などの折、外国人、なかでも欧米人はちょっとしたことにも必ず「サンキュウ!」と言うことに気づきます。

 カフェやパブでドリンクを買うとき、売り手も買い手も「サンキュウ!」。混みあう地下鉄で通りやすいよう、立ち位置を変えてもらった場合も「サンキュウ!」。街中、いたるところに「サンキュウ!」が満ちています。

 そこへいくと、日本人は、見ず知らずの人に「ありがとう」とか「すみません」をあまり言いません。

 宅配便の配達員や郵便局員などに対して、「いま、行くよ」と不機嫌そうな声で玄関ドアを開け、品物を受け取ると同時にドアをピシャっと閉める。それに対して、「遅い時間にありがとう」「暑いところ、ご苦労さま」と一言プラスするのとでは、配達員の気持ちは想像以上に大きく違うでしょう。

 あなたがドアをピシャッと閉めるところを見かけた隣の住人は、「○号室のヒトは、なんだか感じが悪いなあ。きっとイヤなやつに違いない」と、思うはずです。

 

家族間で挨拶しない家庭が増えている

 テレビドラマを見ていて気づいたのですが、最近、家族間できちんと挨拶する家庭が少なくなっていませんか。

 ご主人が「おはよう」とも言わず、「なんで、もっと早く起こしてくれないんだよ」と奥さんに当たり、奥さんは奥さんで「行ってらっしゃい」の代わりに「ゴミ袋、忘れないでよお」の一言だけ。

 子どもも「おはよう」や「いただきます」を言わずに朝食にかぶりつき、「行ってきます」もなしで家を飛び出す。

 こんな家庭では、挨拶知らずの品のない子どもしか育ちません。

 大人になっても、挨拶言葉が口から出てくるわけがありません。世間は容赦なく、「礼儀を知らない下品な人」と評価するでしょう。

 品のある振る舞いは、付け焼き刃ではできません。毎日が大事です。今日からさっそく、わが家の挨拶習慣を見直しましょう。

<第2回に続く>


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