モンスターパニック×不可能犯罪。── 『ミノタウロス現象』レビュー【本が好き!×カドブン】

文芸・カルチャー

公開日:2024/5/7

『ミノタウロス現象』レビュー【本が好き!×カドブン】

書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
今回のベストレビューは、けんたさんの『ミノタウロス現象』に決まりました。ありがとうございました。

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最初はおや?っと思ったけど、最後の伏線回収が凄まじい1冊でした!

レビュアー:けんたさん

今回は献本していただきありがとうございます。

この本を一言で表すなら、
『まるでロックみたいな1冊』でした

(ロックが何なのかは知らないけど)

物語は
ミノタウロス出現の謎
ミノタウロスを利用した殺人事件の謎
が権力者たちの思惑をはらみながら進んでいきます。

オーストリア郊外の牧場にある日突然、
あのミノタウロスそっくりな怪物が出現するところから物事が始まります。
その怪物は、なんの前触れもなく世界中に出現し、日を追うごとに出現数が増えていきます。

そんな状況のなか、今回メイン舞台となる日本の眉原市では、27歳の女性市長が怪物対策を話し合う市議会に挑んでいました。

市議会の2大勢力である党首たちの思惑をはらんだ質問に対し答弁をしようとした矢先、
あの怪物が会議場の真ん中に現れます。

その怪物から必死に逃れたと思ったら、なぜかもう一匹怪物が…
そいつを駆除したと思ったら、中から出てきたのは2大政党の一翼を担う党首でした。
なぜ、怪物が現れたのと同時に着ぐるみを着て現れたのか。
これは偶発的な事故だったのか?それとも誰かが仕掛けた殺人事件なのか?

この事件をきっかけに、ミノタウロス出現の謎と殺人事件の謎に迫っていきます。

この全く関係のない2つの謎を権力者たちの思惑を絡ませることによって、
見事に1つの物語として進んでいきます。

最初は「この感じで物語が進んでいくの?あんまり面白くないかもしれない」と思ったのが率直な感想ですが、中盤以降は続きが気になって一気読みしてしまいました!

そして、最後の伏線回収は見事でした!

久しぶりにミステリー作品を読みましたが、やっぱりミステリーは面白いなと再発見しました!

ぜひ、お手に取って読んでみてください。

▼けんたさんのページ【本が好き!】
https://www.honzuki.jp/user/homepage/no15832/index.html

書誌情報

ミノタウロス現象
著者 潮谷 験
発売日:2024年02月02日

モンスターパニック×不可能犯罪。

近い将来、人類はこの怪物に駆逐されるのか。そんな世界で、不可能犯罪が起こった。

目の前には三メートル超えの怪物、背後には震える少年。好感度を何よりも重視する史上最年少市長・利根川翼は、人生最大のピンチに陥っていた。だが、その危機からの脱出直後、「異様な死体」が発見される――。容疑者の一人になってしまった翼は、自身の疑惑を晴らすために謎解きを始める。『スイッチ 悪意の実験』『時空犯』で話題の新鋭が挑む、渾身の本格ミステリ。

〈著者・潮谷験さんからのメッセージ〉
 この現代に突然、ファンタジーに登場するような怪物が現れたら、社会はどんな風に変わるだろう? しかも一体や二体ではなく、とんでもない数だったら? そんな空想を膨らませて書き上げた作品です。楽しんでいただけましたら幸いです。

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322310000279/
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