副業するなら起業すべし! 気軽に始められる週末起業の方法

ビジネス

2019/7/31

『大人の週末起業』(藤井孝一/クロスメディア・パプリッシング)

 筆者は最近、今の仕事と違ったことも始めてみたいという欲求があり、模索中である。ざっくりとしたアイデアはあるのだが、どうも今ひとつしっくりこない。そんなときに見つけたのが『大人の週末起業』(藤井孝一/クロスメディア・パプリッシング)だ。

 先日発表された「老後に2000万円ほど不足する(かもしれない)」問題に衝撃を受けた人は多いのではなかろうか。いや、個人的には多くの人が2000万円では足りないと思う。長引く不況のせいで年金を十分に納めていない人が多いからだ。一時的に困窮した人に向けての免除制度はあるが、中には一切納めていない人もいるという。そしてその前に、2000万円とはどんなデータをもとに算出されたものか疑問だ。

 すでに年金を受給している人に実情を聞いてみると、受給額は小遣い程度であることに驚く。筆者のところにも将来受け取れる受給額の目安などが時折送られてくるが、目を疑うのは確かだ。将来の年金に代わる収入源を確保するためにも、今から何か準備しておきたいという人は多いと思う。働き方改革で事実上副業が解禁されたことは、まさに「渡りに船」状態である。というかむしろ、国が年金不足を見込んで用意した法改正なのではないか。いずれにしても、本業を辞めずに新たな仕事を始めやすくなったわけだ。

 本書を紹介したいと感じたのは、自営業がおすすめだからである。個人事業主である筆者から言わせると、雇用されるよりも自分で仕事を作れる方が強みがあるからだ。雇用されていれば確かに毎月決まった給料が得られ、安心感はある。しかし、会社が傾いたときにはなす術もなく一緒に沈むしか道はない。その点、自営業、特に個人の場合は定年退職もない。自分がしっかりしている限りは続けられる。

 しかし、誰でも起業できるというわけではない。向き不向きは当然ある。そこで本書の登場というわけだ。本書では「準備」と「実践」に分け、初めて起業する人でも挑戦しやすいよう、丁寧に解説している。準備の段階では、自分の経験からできそうな仕事をピックアップする方法を書いていて参考にしやすい。この、経験については何でもいい。職場で得たスキルでもいいし、プライベートなことでもいい。例えば家庭教師のバイトをした経験を生かして、週末だけ塾を開講する、といった具合だ。

 副業で起業する強みは失敗を恐れずに挑戦しやすいことである。本業がある以上、本業から得られる給料で取りあえず生活の心配はないだろう。起業未経験者であってもいくらか気軽に始めることはできる。

 起業は他にもメリットがある。雇用されている場合、本業で何らかのストレスを抱えてしまうことは多いが、自分で事業を立ち上げれば自分が社長なのだ。もちろん、業務内容によってはまったくストレスがないとは言い切れないが、自分で調整しやすいし、やりがいがあるのは大きい。

 さらに本書の中で関心を持ったのは後半部分、チャプター5の「起業のやってはいけない!10のタブー」だ。初めて起業する人が陥りそうなことがあげられている。例えば安易な法人化やお金の使いすぎ、仲間との起業などだ。どれもタブーである印象は受けないが、失敗しやすい要因なのである。

 筆者の知人の例をあげてみよう。顧客が見込める前に数千万円もの設備投資をし、さらにいきなりスタッフを雇用して仕事を任せ、自分は代表として現場に出ないという人がいた。本人は「社長」という肩書きだけが欲しかったようだが、数カ月で見事に資金が尽きたのである。

 お金をいくら儲けなければいけないと考えると仕事は辛くなる。しかし、ひとまず本業で暮らしが保証されているなら、週末は自分の好きなことで小規模から起業してみるのも楽しい。楽しんでいるうちに本業より大きなものになっているかもしれない。まずは気軽に副業を始めたいと考えている人は本書を一読してみてはどうだろうか。

文=いしい