上坂樹里、朝ドラヒロインに抜擢。オーディションで「すごく焦りました」と語る理由は?【初写真集『日日是好日』インタビュー】

エンタメ

公開日:2025/7/25

 俳優の上坂樹里が、20歳の誕生日を迎えた7月14日に、初の写真集『日日是好日』(幻冬舎)を発売した。10代最後の姿を収めた本作には、ありのままの自分を映し出したカットが詰まっている。さらに、来春放送のNHK連続テレビ小説『風、薫る』では、見上愛とのダブル主演が決定。注目を集める上坂に、写真集に込めた思いや朝ドラオーディションの舞台裏、本好きな彼女ならではの読書と演技のつながりについて話を聞いた。

“ありのままの姿”を見せられたら

——本作は上坂さんにとって初めての写真集となりますが、出版のお話を聞いたときの心境はいかがでしたか?

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上坂樹里さん(以下、上坂):写真集を出すことは一つの夢でもあったので、それを20歳という大切な節目に叶えられると聞いて、本当にうれしかったです。写真集は、いつも応援してくださっているファンの皆さんに届けられる特別なもので、「いつか出せたらいいな」という気持ちは、ずっと持っていました。

——『日日是好日(にちにちこれこうじつ)』というタイトルはご自身で考えられたそうですね。どんな思いを込めたのでしょうか?

上坂:「日日是好日」という言葉には、“人生には良い日も悪い日もあるけれど、その日その日を大切に受け止める”という意味があります。私自身、そのときにしか感じられないことや、そのときの気持ちを日々大切にしたいと思っているので、その思いをタイトルに込めました。漢字5文字の並びもすごく好きで、迷いなくこのタイトルに決めました。

——10代最後というタイミングでの撮影となりましたが、どんな作品にしたいと考えて臨みましたか?

上坂:今の自分にしか出せない、ありのままの姿を見せられたらと思っていました。いい意味で「ああしよう、こうしよう」と決めすぎず、そのときに訪れた場所や、感じたままの表情を切り取っていただけたんじゃないかなと思っています。

——“ありのまま”ということは、撮影に向けて特別な準備をすることもなく?

上坂:そうですね。体調や肌を整えるために、無理のない範囲で食事など気を付けるように心がけていました。

——撮影は長崎県の五島列島で4日間行われたそうですね。お気に入りのカットがあれば教えてください。

上坂:本当に全部見てほしいくらいなんですけど…(と、見開きで小さなカットがたくさん並んでいるページを見せながら)これなんかは、本当に“素の自分”が出ていると思うので、ぜひ注目してもらえたらうれしいです。

上坂樹里1st写真集『日日是好日』/幻冬舎(撮影:神藤剛)

——個人的には、遊覧船で撮影されたカットの笑顔がとても素敵だなと感じました。

上坂:ありがとうございます。うれしいです! 遊覧船での写真は、撮影最終日の最後の最後に撮ったものなんです。テンションがかなり上がっていて、自然に笑えていたと思います。

——改めて、完成した写真集をご自身で手に取ってみていかがですか?

上坂:自分しか載っていない本って、これまでなかったので、すごく感動しました。書店に並んだり、イベントでファンの方に直接お渡しできたりするのを想像すると、わくわくします。何年か経って、自分がもっと大人になったときに、この一冊を読み返して、また何か感じられるものがあったらいいなと思っています。

朝ドラオーディション秘話「カットがかからなくて…」

——2026年前期放送のNHK連続テレビ小説『風、薫る』で、見上愛さんとダブル主演を務めることが発表されました。6月に行われた発表会見には、どんな気持ちで臨んでいましたか?

上坂:夢の中にいるみたいな感覚で、ずっとドキドキしていました。もう緊張で手が震えて…。自分の名前が呼ばれて、皆さんの前に立ったあの瞬間の気持ちは、これから先も一生忘れないと思います。

——涙ぐんでいましたね。

上坂:それまでも「実感」というか、その一歩手前くらいの感覚はあったんですけど、会見の場で初めて、「現実なんだ」って思えたんです。「本当だったんだ」って気持ちが一気に湧いてきて、感極まって…。気づいたら涙が出ていました。

——ヒロインに決まったことは、会見までご家族にも伝えていなかったそうですね。

上坂:会見の直前に、家族のグループメッセージに会場で撮った写真と「これから会見に行ってきます」という一言だけ送っておいたんです。反応は会見が終わってから見たんですけど、家族も理解が追いついていない感じで、「どういうこと!?」と、困惑していました(笑)。その日の夜、家に帰ってから改めて直接伝えたら、すごく喜んでくれました。

——ご家族からはどんな言葉をかけられました?

上坂:それぞれにエピソードがあって。お姉ちゃんはいつも応援してくれているんですけど、最初の返信は「笑笑」だけで(笑)。そういうところがお姉ちゃんらしいんですけど、私が帰宅したら、1人で焼き鳥を作っていて。普段は一番おいしいところをくれないのに、その日は「それ全部食べていいよ」って言ってくれました(笑)。

 お父さんは、私がオロナミンCのCMに出演していることもあって、「ROYALPOLIS」っていう金のラベルのオロナミンCを買ってきて、渡してくれて。

 お母さんは、知り合いから「おめでとう!」ってたくさん連絡をもらったらしくて、急きょ、本人不在の祝福会が3つ、4つくらい計画されたそうです(笑)。全部含めて、本当に幸せだなと思いました。

——家族それぞれの反応に、個性が出ていますね。今回の朝ドラオーディションは3回目の挑戦だったそうですが、今までと手応えは違いましたか?

上坂:これまでのオーディションでは、対面で実際にお芝居を見ていただくところまで進んだことがなかったんです。今回はじめて、その機会をいただけたので、その時点で本当にうれしかったです。

 もちろんその分、緊張感も高まったんですけど、朝ドラは自分にとって一番の夢だったので、正解はわからなくても「とにかく自分を見てもらおう」という思いで臨みました。

——オーディション中に印象に残っている出来事はありますか?

上坂:最終オーディションで、なぜかカットがかからなくて、すごく焦りました。ただ、芝居は止めずに、とにかく突っ走った記憶だけが残っています。

 そのとき自分がどんな演技をして、どんな表情をしていたのかは全く覚えていないんですけど、それくらい集中していたんだと思います。

20歳の年は「ひたむきに演技に向き合う1年に」

——上坂さんは読書がお好きで、インスタグラムにも感想を投稿されていますよね。「ダ・ヴィンチWeb」は本を紹介するメディアということもあって、読書についても伺わせてください。読書が好きになったきっかけは何だったのでしょうか?

上坂:父の影響です。中学2年生くらいのときに、父が東野圭吾さんの『パラドックス13』を貸してくれて。それがけっこう分厚い本だったので、最後まで読み切れるか不安だったんですけど、ものすごく面白くて、あっという間に読んでしまったんです。そこから本が好きになりました。

——最近読んだ本で、特に面白かったものはありますか?

上坂村田沙耶香さんの『生命式』という短編集を、つい最近読んだんですけど、一気に読んでしまったくらい、引き込まれました。

——どんなところに惹かれたんでしょう?

上坂:内容としてはすごく恐ろしい話なんです。人が亡くなると、その人を生きている人たちで食べるという行為が当たり前の世界の話から始まっていて。あまりにも現実離れしているので、最初は怖くて「これは無理かも」と思うんですけど、読み進めていくうちに、その世界観にどんどん引き込まれてしまって、気づいたら、それが日常のように感じられるようになっていたんです。恐ろしさも含めて、本当に面白かったです。

——聞いただけでも、ものすごく気になるストーリーですね…。そうした読書の習慣が、演技にも影響していると感じることはありますか?

上坂:本を読むことで、想像力が豊かになったと思います。台本を読んで頭の中でイメージを膨らませるという作業は、読書と通じる部分が大きいです。演技をする上での土台のようなものを、読書が作ってくれている気がします。

——写真集の発売日には20歳の誕生日を迎え、朝ドラの撮影も控えています。今年は特別な1年になりそうですが、20歳の年をどんな年にしたいですか?

上坂:ちょうど朝ドラの撮影があるので、周りの方への感謝を忘れずに、ひたむきにお芝居と向き合っていきたいです。たくさん演技ができる年になるといいなと思っています。

——朝ドラで演じる役柄は“ずる賢い”ところもあるキャラクターとのことですが、こうしてお話を伺っていると、上坂さんからは全くそんな印象を受けませんでした。どう演じられるのか、とても楽しみにしています。

上坂:ふふ、うれしいです(笑)。頑張ります!

取材・文=堀タツヤ、撮影=川口宗道