YouTubeチャンネル登録者数114万人! 吉本興業の人気芸人・はいじぃが綴る、自分らしく楽しく生きるコツ
公開日:2025/8/26

今の自分は10年前に思い描いていた自分になれているだろうか。このまま今の働き方を続けていって、10年後に自分は何者かになれるのだろうか。間違った道を歩いているのかもしれないと不安になることもあるけれど、いまさら違うことに挑戦するのも怖い……。
そんなふうに感じている人におすすめしたいのが、2025年7月16日に発売されたエッセイ『明るく生きているつもり』(はいじぃ/KADOKAWA)だ。はいじぃ氏は吉本興業東京本社所属のピン芸人だが、YouTuberとしてのイメージのほうが強いかもしれない。13年前から続けているYouTube「はいじぃ迷作劇場」には食べ歩きや大食いなど食レポ中心の動画がアップされており、チャンネル登録者数は114万人を誇る。
しかし、本書はYouTubeのまとめ本でも、食べ歩きのお店紹介の本でもない。はいじぃ氏が、幼少期からオーディションに受かるまで、芸人としての新人時代、40代になってから現在に至るまでの心境を綴った自伝的エッセイだ。
大人にはなりたくなかったが、芸人にはなりたかったというはいじぃ氏は、NSC東京校に3期生として入学。コンビ結成を試みるもうまくいかず、ピン芸人として活動を始める。インターネットの生配信に面白さと適性を感じ、ほどなくしてブログを開設、YouTubeにも動画をアップするようになったという。
今日ではあまり想像できないが、当時はネットよりもテレビが力を持っており、「純度の高いお笑いこそ正義」という空気感があった。芸人がブログを更新したり、YouTubeに動画をアップしたりすると、「ヨゴレ」と見なされ、バカにされることもあったようだ。
周りの多くの人たちがある一点を目指して歩いているなか、自分だけ違う方向へ歩き始めるのは勇気がいる。しかし、はいじぃ氏は、自身には圧倒的なお笑いの才能がないと認め、芸人らしい芸人像に近づくことを前向きに諦めた。本書では「いい加減な価値観」と書かれているが、売れなくても何かしらを頻繁に作り、皆に見てもらって活動を続けられればそれでいいと思えたからこそ、YouTubeという活路を見出せたのではないだろうか。
何かを諦めず、結果が出るまでやり続けることは美徳とされてきた。しかし、自分らしく生きていくためには、もっと柔軟に手段や環境を変えたり、方向転換をしたりしてもいい。大事なのは、自分がやっていて楽しく、人から求められる共通の部分を見つけること。それさえできれば、何者かにならなくても自然に楽しく生きていける。
現在49歳のはいじぃ氏と同世代の人が本書を読めば、年を重ねるにつれ、若い頃の自己顕示欲が弱くなり、「主役じゃなくていい」という思考に至ったことに共感できるだろう。そして、「10年後に自分は何者かになれるのだろうか」と不安を感じている若い人が読めば、どの道を選んでも大丈夫だという勇気と、自分が本当に望むものは何であるかを考えるヒントをもらえそうだ。
文=ayan
はいじぃ●1975年8月26日生まれ。東京都目黒区出身。NSC東京校 3期生。吉本興業東京本社所属のピン芸人。YouTube「はいじぃ迷作劇場」には食べ歩きなど食レポ中心の動画をアップ。クスッと笑えるトークがくせになり、ハマる人が多く、チャンネル登録者数114万人を誇る。
・Youtubeチャンネル:はいじぃ迷作劇場