【都市ボーイズ/はやせやすひろ×クダマツヒロシ】あなたの実家も呪われている? 本当にあった実家の怖い話に背筋が凍る『ヤバい実家』インタビュー
公開日:2025/8/30


怪談ユニット・都市ボーイズのメンバー、そして怪異ハンターとして呪物や怪異譚の取材・発信を続けるはやせやすひろ氏。そんなはやせ氏と作家のクダマツヒロシ氏が、家や実家にまつわる恐怖体験を集めて1冊にまとめたのが『ヤバい実家』(はやせやすひろ・クダマツヒロシ/文藝春秋)だ。すべての人に身近な家系や血縁というテーマだからこそ、本書で描かれる人間の業や愛憎は、恐怖を超えた感動や共感を読者に与える。そんな本書を完成させた手応えを、はやせ氏とクダマツ氏に話してもらった。
絶対に逃げられない血縁や家族にまつわる呪い
――『ヤバい実家』の書籍化のきっかけを教えてください。
はやせ 僕の怪談を小説にするというお話をいただいて、まずは「覗くと死ぬ鏡」のエピソードを取り上げたんです。ある鏡を覗いた人がバタバタ死んでしまうというお話なんですけど、その時、編集さんと、「家にまつわる怪談って血筋や家族に関わるから面白いね」という話になったんです。事故物件なら引っ越せばいいけど、家族の絆って断ち切れないし、その恐ろしさから絶対に逃れられない。本来なら安らげる場所で奇妙なことが起こるというのは誰にでもありえる。それがこの本の一番のフックになっています。僕のところには、家のことで何百年にわたって困ってますというような話が集まってくるので、それを軸に連載をしようという形で始まりました。
――クダマツさんのとのタッグはどういうふうに実現したんですか?
はやせ クダマツさんとは最初、西日本の怪談を話すのがすごく上手い人ということで出会ったんですけど、それ以上に彼は怪談小説を高く評価されていたんですね。クダマツさん自身も「自分は喋りよりも、自分の文章に力を感じていて、文章で食べていきたいんです」って仰っていて。応援したい気持ちになったし、僕はまったく書く力がないんで、文藝春秋さんにクダマツさんを推させてもらって、文春さんにも書く力を認めていただいて、このタッグに決まりました。
クダマツ はやせさんにこのお話をいただいて、即答しましたね。ありがたいことに、「クダマツさんのやりたいようにやってほしい」と言っていただけたので、僕の力でできる限り面白いものを書かせてもらおうと思いました。
主人公はオカルトハンターとしての「新訳・はやせ」
――クダマツさんが、はやせさんのお話や体験を小説にする時、大切にしたことは何ですか?
クダマツ まずは僕がはやせやすひろという人間を知ることが重要だなと思ったので、都市ボーイズさんの動画を見漁って、僕の中のはやせ像を固めていきました。ただ、面白い小説にするために僕が書くのなら、この物語だけのオリジナルなはやせやすひろを主人公にしたいと思ったんです。だから、家族のあり方や人間の業と対峙した時、はやせさんならどう返すのか、どう考えるのかという部分プラス、僕自身の考察をエッセンスとして加えていきました。その上で、読者がはやせさんの取材に同行しているような緊迫感や没入感を感じられる見せ方を念頭に置いて書きましたね。僕が調べた知識も放り込んでいって奥行きを出すことで新たなはやせ像を作っていったので、この主人公は「新訳・はやせ」です。

はやせ まるで、普段の僕は奥行きがない、みたいな言い方ですけど。
クダマツ いやいや。そんなことはないですよ!(笑) だから、この小説のはやせ像は、現実のはやせさんよりちょっと偏屈といいますか……現実も偏屈な方ではあるんですけど。
はやせ いやいや、違いますよ。
クダマツ (笑)小説で活躍するオカルトハンターとしての主人公・はやせですね。
はやせ でも、実際の自分はもっと性格悪いですし、もっと疑ってますね。僕は「信じてる」じゃなくて「信じてあげたい派」なんです。これは、僕の師匠の山口敏太郎先生の言葉をリスペクトして僕も使わせてもらっているんですけど、僕は、相談者さんに言われたことをすべて信じて、怖いですね、幽霊ですねっていうのはちょっと違う気がしていて。霊が写ってるって写真を見せられたりしても、違うと思ったら「いや、これはレンズフレアです」とか「これはこういうことです」って言いますね。普段の僕そのままだと、読み進められないぐらい性格悪いんで(笑)。それよりかっこよく書いてくれたなと思いますね。