「直木賞」歴代受賞作品 一覧【2025年最新版】

文芸・カルチャー

公開日:2025/12/24

第59回 受賞作なし

第58回 聖少女

無道徳だが、爽快な奔放さと埋められぬ空しさとをもつ少年少女を生き生きと捉えた直木賞受賞作「聖少女」のほか、「背後の影」「汚れた天使」など四篇を収録。(荻久保泰幸)

第58回 アメリカひじき・火垂るの墓

アメリカひじき・火垂るの墓

アメリカひじき・火垂るの墓

昭和20年9月21日、神戸・三宮駅構内で浮浪児の清太が死んだ。蚤だらけの腹巻きの中にあったドロップの缶。その缶を駅員が暗がりに投げると、栄養失調で死んだ4歳の妹、節子の白い骨がころげ、蛍があわただしくとびかった――。
浮浪児兄妹の餓死までを独自の文体で印象深く描いた『火垂るの墓』、そして『アメリカひじき』の直木賞受賞の2作をはじめ、著者の作家的原点を示す6編。

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第57回 追いつめる

追いつめる

追いつめる

志田刑事は暴力団浜内組幹部を追跡中、同僚刑事を誤射して引責退官している。妻側からもらった離婚慰謝料を資本(もとで)に、志田前刑事の浜内組追及は続けられた。暴力団の“経営革命”すら行なって尻尾を出さぬ浜内組と孤独な退職刑事との凄まじい闘い! 直木賞を受賞し、ハードボイルドを日本の土壌に開花させた秀作!

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第56回 蒼ざめた馬を見よ

蒼ざめた馬を見よ

蒼ざめた馬を見よ

ソ連の体制を痛烈に批判した小説をめぐる恐るべき陰謀。レニングラード、モスクワ、ソフィアなどを舞台にした所期の代表的傑作集

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第55回 白い罌粟

剣ヶ崎・白い罌粟

剣ヶ崎・白い罌粟

直木賞受賞作含む、立原正秋の代表的短編集

日本と朝鮮の血を引く家系に生まれた兄弟が、戦争という得体の知れないものに翻弄されながらも、自分たちの存在を確かめようと、”血”とは何かを追求した「剣ケ崎」。
金貸業者を踏み倒す事を仕事にしている奇妙な男にひかれて、その不可解な魅力と付き合っているうちに、自らも破滅してゆく中年の教師を描いた「白い罌粟」。
没落寸前の旧家・壬生家。その終焉を闇夜に輝く篝火に象徴させ、従弟との愛を”死”で締め括った人妻を描いた「薪能」。
義弟との束の間の愛に燃えた若妻を描く「流鏑馬」、麻薬窟に出入りし、女と薬に溺れる男を描く「薔薇屋敷」。
直木賞受賞作、芥川賞候補作など立原正秋の代表短編5編を納めている。

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第54回 八百長

少年・戸上永伍は、淀の競馬場で一頭のサラブレッドに出合い、衝撃を受ける。家族の反対を押し切り騎手を志願。免許試験に合格する。そしてあのサラブレッド、ハヤテオーで初勝利、人気騎手になっていく。やがて紀宮恭子と知り合う。それは、彼の一人八百長への道のスタートであった。

第54回 虜愁記

終戦直後の中国を舞台に、捕虜となった日本兵の流浪を描いた小説

第53回 虹

虹

1950年敗戦直後の大阪。四国の田舎町から、広島から、名古屋から、丹波から天王寺駅界隈にすみついた戦災孤児たちはたくましく生きる。そのひとり、虹を見るといつも泣き出すカズヒコと交番の巡査との暖かい心の交流を、独特の大阪の匂いにのせて描いた第53回直木賞受賞作。表題作ほか「風土」「善界」「牧歌」「世染-私版・夫婦善哉」を含む珠玉短編集。

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第52回 炎環

炎環

炎環

激しく、あるときは陰湿に。
源頼朝の挙兵、鎌倉幕府の成立――台頭する武士たちはどう生きたのか。
直木賞受賞作の傑作歴史小説

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第52回 張少子(チャンシャオツ)の話

花あざ伝奇

花あざ伝奇

兄王への謀叛を企んだとされ、追われる身となった季王韶(しょう)。名を秘し、張少子(チャンシャオツ)と呼ばれ、逃亡生活に入った。牛荘(ニュウチャン)で奉公をはじめ、お嬢様の趙小姐(チョウシャオチェ)と打ち解けるが、少子が正体を明かすと……。という直木賞受賞作の「張少子の話」ほか、妲己(だっき)・曹操など歴史上の人物を題材に、謀略・反乱・悲恋……、歴史を題材に虚実を取り混ぜて描く、傑作中国歴史短編7編。

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第51回 受賞作なし

第50回 巷談 本牧亭

巷談 本牧亭

巷談 本牧亭

東京・上野の本牧亭は、落語や講談の中心地として、人々に親しまれていた。そこにつどう落語家、講談師、なじみの客たち、そしてあるじ。客席、舞台、そして楽屋うらが一体となっての、ちょっと哀愁をただよわせた人間模様。芸を愛し育てた人々が住むどこか懐かしい別世界の物語。第50回直木賞受賞作。

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第50回 塵の中

塵の中

塵の中

第50回直木賞を受賞した単行本『塵の中』は、「道祖神幕」「暗い血」「強い女」、そして「塵の中」という4篇からなる。
選考委員のあいだでとくに評価が高かったのは、安藤広重の浮世絵を巡って張り合う男女の機微を描いた「道祖神幕」で、4作品中唯一の書き下ろし。また、外国人とのあいだにできた子を育てる蝶子が、数々の不運に見舞われつつたくましく生きていく「強い女」は、「老猿」として雑誌に掲載され、直木賞候補にあげられている。
表題作の「塵の中」は、吉原の遊女だった咲子が、普通の幸せを求めて、妻に先立たれた男と所帯を持つものの、夫婦関係や夫の連れ子との関係が思うに任せないもどかしさを描いた中篇。その前半が「露草」として雑誌に掲載され直木賞候補に、後半は「塵の中」として芥川賞候補になっている。
女の情念を描きながら、その実、著者の半生を映した私小説でもある珠玉の一冊。

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