キングオブコント2025ファイナリストのトム・ブラウン布川。札幌出身だから目指したい、芸人としての最終目標とは?【布川ひろきインタビュー】

文芸・カルチャー

更新日:2025/10/11

お笑い以外の活躍の広がりと、トム・ブラウンとして目指したい今後の目標について

――近年、トム・ブラウンはポケモン番組へ出演されたり、絵本を作られたりと子ども向けの活動が増えているように感じています。こうした活動は、今後も増やしていこうと考えているのでしょうか?

布川:子ども向けの番組やイベントにも全然出たいです。もう、6年くらい前から「出たいです」って言い続けています。…まあ、そうした仕事はないんですが。

――そうしたファミリー向けの仕事やバラエティで「素」を出すと、漫才の狂気的なキャラクター性が薄まってしまうという懸念があるような気がするのですが…。

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布川:最初のころはそうした懸念もありました。テレビに出始めると、人間性を知られてしまって漫才がウケづらくなることは実際にあるんです。でも、僕らはそういうことがそれほどなくて。

 おそらく、漫才をうまく作れる人は、こうやった方がウケるということが分かってるから、そういう人が陥るケースだと思うんです。でも、僕らはただただネタをぶつけてるだけなので、番組に出たからといって漫才のウケの量は変わりませんでした。

 どの番組も「地」でやっているので、キャラが崩れるとかないんです。

――あのキャラクターは「地」だったんですね。

布川:みちおなんてあれが「地」の「地」です。「殺します!」みたいなボケをするけれど、あれは「地」なんですよ。

――そうなると、トム・ブラウンのネタはみちおさんの「地」を活かしたネタ作りになると思うのですが、どこから生まれてくるのでしょうか?

布川:設定自体はみちおが考えているんです。僕がボケを考えるときは、徹底的に「みちおに合うかどうか」を軸にしています。「お前はそのボケは言わないわ」とか「お前がやったら怖すぎる」とか。反対に、「お前がやったら弱すぎるわ」と言って調整することもあります。

 例えば、みちおがカッターナイフで人の手を切る展開があったとすると、そこまで怖くないんじゃないかと思うんです。カッターナイフじゃなくて、日本刀で斬るくらいの方がいいんじゃないかみたいな判断をしています。

――写真集を出したり、子どもに絵本を読み聞かせしたりとトム・ブラウンとして「芸人以外の活動」が広がってきていると感じているのですが、今後目指していきたい目標はありますか?

布川:色々なところで言わせてもらっているのですが、僕は札幌市出身なので「さっぽろ雪まつりの雪像」になりたいです。おそらく、北海道出身の芸人ではタカトシ(タカアンドトシ)さんくらいしか雪像になったことがないはずなので。

 多分、雪像になるには色々なステータスや人気を高めないと無理だと思うんです。だから、ゴールをさっぽろ雪まつりの雪像に定めて、逆算しています。

――雪像になりたいと思う理由を教えてください。

布川:やっぱり幼少期からずっと見てきたので、札幌出身の人間としての憧れが大きいです。僕にとってさっぽろ雪まつりは当たり前にあるものなので、雪像になれれば人間としてひとつ「成功したのかな」と思える気はします。

――逆算してどのようなことに取り組んでいこうと考えているのでしょうか?

布川:まずはキングオブコントで優勝します。それから、「天才てれびくん」に出演したいです。あとは、主婦層からの人気を獲得するために、「夫が寝たあとに」にも出たいですね。

――なるほど。

布川:準レギュラーになると思ってます。急には無理だとしても、そういうような要素をいっぱい積み重ねていきたいですね。同時に、そういう好感度の高い仕事だけになると、芸人として終わってしまうという懸念もあります。

 だから、ちゃんとススキノのアダルトな知識もしっかり勉強しておこうと思います。僕のやっぱ根本には、そういうエッチな要素があるので。

――良い面だけの人間ではないことを見せていきたいという…。

布川:そうですね。良い面だけを出そうとすると「嘘」になるなと思っていて。好感度を上げるためであっても、嘘をつくのは嫌なのでちゃんとススキノにも行きます。

――ススキノにも行くけれど、雪像にもなれたらかっこいいですね。

布川:もはや無敵だと思いますね。ススキノで「さっき見たよ!」とか言われたいです(笑)。

 いや、そんなこと言わないと思いますけど、もし言ってもらえたらめっちゃうれしいですね。そうやって総合的な評価を高めていきたいです。

取材=金沢俊吾、文=押入れの人、写真=干川修

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