「生きている限り、希望はある」4年ぶりとなる細田守監督の新作『果てしなきスカーレット』に、現役高校生から感動の声が続々!

文芸・カルチャー

PR 公開日:2025/11/26

 細田守監督による4年ぶりの新作として注目を浴びる映画『果てしなきスカーレット』。公開に先立ち、KADOKAWAから原作小説も刊行されている。

『果てしなきスカーレット』とタイアップしている“ネットの高校”を掲げる広域通信制高校・N高等学校・S高等学校・R高等学校(以下、N高グループ)では、11月5日のジャパンプレミア(国内初上映)にグループ生が参加。鑑賞を終えた9名から感動の声が届いた。

 本作の主人公は、国王である父を殺され、敵への復讐を心に誓う王女スカーレット。彼女は“死者の国”で目覚め、現代からやってきた看護師の青年・聖(ひじり)と遭遇。彼への愛情と信頼を募らせるうちに、その心は変化を遂げていく——。配役には、スカーレット役に芦田愛菜、聖役に岡田将生ら豪華キャストが集結。現代に生きるすべての人に「生きるとは」という普遍的なテーマを突きつける。

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 今回鑑賞した高校生は、19歳のスカーレットと同世代。本作でスカーレットに共鳴した彼らからは、「生きること」について考えた形跡が確かに伝わってくる。あなたはこの映画から何を受け取るのだろうか。『果てしなきスカーレット』は2025年11月21日から全国で上映中だ。

“自分にもこんな人生があったかもしれない”

 どのシーンも本当に良くて一番を決めがたいのですが、特に印象に残ったのはスカーレットが髪を切る場面です。現代に行ったとき、聖と一緒に歌って踊りながら、“自分にもこんな人生があったかもしれない”と感じていたスカーレット。物語を通して心情が大きく変化するところに人間らしさが感じられるキャラクターなので、覚悟を決め、現代に行ったときと同じ姿になろうとして剣を握りしめる表情に、心を揺さぶられました。物語の合間に流れる音楽やエンディングの曲も素晴らしく、映像と共に心にスッと入ってきました。映画館の大きな画面で観ることで、キャラクターの気持ちを直に感じることができると思います。

小さな表情の変化から気持ちを読み取るのが楽しかった

 映像・音・演出のどれもが高い完成度でした。自然と引き込まれ、観終わった後もしばらく余韻が残っていました。特に印象に残ったのは、アニメーションの美しさと音の迫力です。終盤のとあるシーンの床が——なんと言えばいいのか分からないのですが——とても心に残っています。また、丁寧に描かれたキャラクターの表情の変化から心の揺れや葛藤が伝わってきて、小さな表情の違いから登場人物の感情を読み取るのが楽しかったです。音は、心臓まで伝わってくるようなものすごい迫力。映像と一体となって物語の緊張感を高めており、自分がその場にいるかのような臨場感を味わえました。

問いを投げかけられ、「生きる意味」について考えさせられた

「復讐」や「生きる意味」といった重い題材を扱いながらも憎しみや怒りだけでは終わらず、スカーレットが聖を通じて「見返りを求めない愛」や「人を信じる心」に触れ、温かい心を取り戻していく感動的な作品でした。

 世界観も非常に印象的でした。映像表現が美しく、「死者の国」で登場する波の中の稲妻や龍の迫力に圧倒されましたし、キャラクターの感情に合わせた色彩や音楽でも、さらに物語に引き込まれました。鑑賞後に、何が正しいのか、生きるとは…という深い問いを投げかけられるようで、私自身も「復讐は本当に正しいことか?」「生きる意味とは?」と考えさせられました。

アニメと現実世界が融合したような映像が衝撃的

 最初に衝撃を受けたのは、今までにない映像体験です。場面によって絵がCGに切り替わり、岩や海などの背景がものすごく写実的に描写されている場面もあって、まるで劇中のキャラクターと現実世界が融合しているようでした。そんなリアルな映像に合わせて流れてくる音楽や効果音も、作品に圧倒的な迫力と臨場感を与えており、スカーレットが生きる世界に引き込まれずにはいられませんでした。何より、復讐に燃えるスカーレットが聖と旅を続けるうちに、真実を知り、心情が変化していくというお話の内容が素晴らしかったです。

もう一度観たい。何度見ても新しい発見がありそう

 体が震えるほど重厚感あふれる音、スカーレットの視点と共に変わる絵のタッチなどに迫力を感じ、大好きな作品になりました。細田守監督作品は4年ぶり。キャラクターの声、セリフ、表情、音楽、メッセージ性など、まったく新しい表現に圧倒されていたので、観終わった後にやっと全身の力が抜けたのを覚えています。

 今回は「イラストコンテスト」にも参加しました。自分なりの解釈でスカーレットの絵を描いていましたが、映画を観たら、想像を超える強さやたくましさを感じましたし、少女のような顔つきに変わる瞬間を愛おしく思う自分もいて、ある種の答え合わせができたようで楽しかったです。何度見ても新しい発見がありそうな作品なので、もう一度映画館に足を運びたいです。

これ以上の絶望はない。でも、生きている限り、希望はある

 希望と絶望を同時に与えてくれるような映画でした。舞台となる《死者の国》では、人々が奪い合い、殺し合い、弱いものは《虚無》となって消えてしまいます。もし、自分たちの死後にも、現世と同じ、あるいはそれ以上の苦しみが待っているのなら。死ぬことが終わりではないのなら。これ以上の絶望はありません。その一方で、生きている限り、必ず希望があることも教えてくれます。現実には苦しみが溢れていて、理想や綺麗事だけでは決して生きていけません。そんな世界でも希望を捨てず、信念に真っ直ぐに生きようとする主人公の姿に心を打たれました。

 スカーレットは私と同世代の19歳です。まだまだ未熟で、この先に長い人生が待ち受けているスカーレットの姿が自身と重なりました。生きている限り、希望はある。スカーレットが、この映画が教えてくれたことを胸に、これからの人生を生きていきます。

スカーレットのような人間に自分もなりたい

 予告編で、今作がシェイクスピアの古典『ハムレット』を題材にしていることを知って驚きました。復讐劇『ハムレット』には人間の醜さや恐ろしさが描かれています。これまでの細田守監督作品からは想像しがたいけれど、どんな映画になるのだろうと興味を持ちました。実際に試写を観て感じたのは、理想の大切さでした。人間から理想を奪ったらどんな恐ろしい世界になるのか、それを描くためにも『ハムレット』が下敷きになっているように感じました。

 スカーレットは、理想を持つという一種の現実逃避を自分に許していません。しかし、理想主義者の聖と出会い、その思想は変わっていきます。かつて私に絶望と恐怖を与えた『ハムレット』という作品が、細田守監督の作り出す世界観や登場人物によって、希望を与える物語に変わっていることに感動しました。

 人類はこれからも惨劇を繰り返すでしょう。そんな世界の中でも、理想に向かって果てしない努力を重ねて生きていく、スカーレットのような人間に自分もなりたいです。

「愛は行動に表れる」「未来のために生きる」という考えが生まれた

 年寄りの長が「信用」「信頼」についてスカーレットに話していたシーンが印象に残っています。ネタバレを避けますが、その言葉が物事の核心をついているように感じ、すごく心に響きました。

 この作品を観て、私の中に「愛は行動に表れる」「未来のために生きる」という考えが生まれました。新たな視点だと感じる描写が多々あり、たくさんの気付きがありました。細田守監督作品はこれまでにもたくさん観てきましたが、未だかつてない作画に監督のこだわりを感じました。作中の楽曲もとても美しかったです。本当に観て良かったと感じます。

平和の尊さ、人との出会いについて改めて考えた

 スカーレットの純粋無垢な人物表現、他の登場人物たちを含めた迫力あふれる表情、ダイナミックな絵の動きなどから、次第にストーリーに没入し、気がつくと彼女の“復讐”を応援していました。そして、“復讐”に決着をつけた彼女のどこか清々しくも感じられる表情が忘れられません。

 戦闘の場面や、心の傷に苦しむ彼女の姿には心を締め付けられましたが、「生きたい」と叫ぶ彼女の目は、復讐心に駆られていた時とはまったく違うもの。自分とは異なる世界で生きる聖との出会いによって変わっていく彼女の姿を見て、人と出会うことの素晴らしさを感じました。

 また、生きる時代が違えば別の人生を送れたかもしれない…とスカーレットが涙を流すシーンを見て、現実世界にも彼女と同じようなことを思う子どもたちがいるのではないかと胸が詰まりました。平和の尊さや人との出会いについて、改めて考える機会をもらえる作品でした。

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