NPO法人「おてらおやつクラブ」を設立した松島靖朗さんの半生を描いた「おやつのおぼうさん」が刊行

　株式会社くもん出版は、新刊児童書『おやつのおぼうさん おすそわけで子どもたちを笑顔に！』(著：井出留美さん)を刊行した。

　祖父の寺で育ちながらも僧侶になることを拒み、学校に馴染めず、不登校・引きこもり・退学と葛藤を抱えた松島靖朗さん。やがて「自分で考え、自分で決める」ことを軸に歩み直し、結果としてお坊さんの道へと進んでいく。

　のちに、子どもの貧困と食品ロスに挑むべく認定NPO法人「おてらおやつクラブ」を設立した松島さんの原点と半生を、ジャーナリストの井出留美が丁寧に描き出したノンフィクションの児童書だ。

おそなえのおさがりを、おすそわけ

　松島さんは仲間のおぼうさんたちと、2014年１月に「おてらおやつクラブ」を設立。「子どもの貧困」と「食品ロス」の問題を解決しようとする団体で、お寺に「おそなえ」されたおやつを、ほとけさまからの「おさがり」としていただき、子どもをサポートする支援団体や18歳未満の子どものいるひとり親家庭に「おすそわけ」している。

「グッドデザイン大賞」を受賞した「おてらおやつクラブ」

　お寺の「ある」と社会の「ない」をつなぐことで、食品ロス問題と子どもの貧困を同時に解決するためにデザインし直したことが評価され、2018年に「グッドデザイン大賞」を受賞。

　立ち上げから10年、“おやつのおぼうさん”と呼ばれるようになった松島さんは「何かをしてあげたり、してもらったりしているわけではないんですね。ただ、お互いに支え合っているだけなんです」と感じている。

今回の書籍について担当者に話を聞いてみた。

――今回の書籍の狙いは？

　食品ロスや子どもの貧困や不登校、孤立などの社会課題を、「おそなえのおさがりをおすそわけ」という仏教の教えに基づいて解決しようとするおぼうさんの半生と、おてらおやつクラブの活動の面白さを伝えたく、刊行しました。

――読者(ユーザー)へのメッセージは？

　おやつは、おなかを満たすだけの食べものではありません。おやつは大人も、子どもも、みんなをわくわくさせてくれるもの。ごはんが体の栄養なら、おやつは心の栄養です。
おてらおやつクラブをはじめて十年が経ちますが、今日も松島さんたちは今日も心の栄養をおすそわけし続けています。

2025年12月21日(日)15時から『おやつのおぼうさん』出版記念トーク＆サイン会開催！

『おやつのおぼうさん』の著者・井出留美さんと、認定NPO法人おてらおやつクラブ理事・野田芳樹さんによる、『おやつのおぼうさん』出版記念トーク＆サイン会が開催される。

　テーマは 「本には書けなかった『おやつのおぼうさん』――制作の舞台裏と広がる支援の輪」。参加は無料(要事前申込み)で、寄付チケットもあるので、詳細については販売ページも確認を。