読者が読む順番で登場人物の生死が決まる! 小説史上例を見ないギミックの魅力を語り尽くす『I』刊行記念【道尾秀介×影山優佳対談】

文芸・カルチャー

PR 公開日:2026/1/24

あなたの選択が、人の生死を決定する――。読む順番で世界の見え方が変わる『N』から4年、道尾さんが挑んだのは読む順番で結末が完全に変わってしまう『I』。刊行を記念して、元日向坂46メンバーであり現在は俳優、そして業界屈指の謎解き好きである影山優佳さんとの対談が実現! 「体験型ミステリー」をこよなく愛する二人に、小説の枠を超えた衝撃の一作について語り合っていただいた。

©道尾秀介/集英社
©道尾秀介/集英社

■どちらの順で読む!? 究極の選択を決した理由は――

道尾 影山さんは謎解きがお好きなんですよね。

影山 毎週イベントに行くくらい大好きなんです。道尾先生と「リアル脱出ゲーム」のSCRAPさんがタッグを組んだ本格犯罪捜査ゲーム「DETECTIVE X」シリーズもやってみたのですが、「道尾先生と謎解きはすこぶる相性が良い!」と感動しました。あ、なんだか上から目線の言い方になっていたら申し訳ないのですが……展開がまったく読めないところが新しいエッセンスになって、最後の最後まで解きたくなる謎解きでした。こうしてお会いすることができて、本当に嬉しいです。

――『I』を読まれた影山さんに、道尾さんがまず訊ねたいことは何でしょう?

道尾 やはり「二つの章をどの順番で読みましたか?」ですね。

影山 「ゲオスミン」から「ペトリコール」です。ストーリーが頭の中にこびりついているので、逆順からはまだ読めていなくて。

道尾 皆さんそう仰るんですよ。最初に読んだ物語が頭に残っているから、逆の順で読み返しても、先に読んだ物語をなぞってしまう。『I』は「ゲオスミン」と「ペトリコール」、それぞれの作中で、ほんの小さな選択ミスや小さな偶然がとんでもないことを引き起こしていきます。二つの物語の主人公同士も、ある場所で行き合い、影響し合って互いの人生を大きく変えていく。そのあたりの構造にはこだわりました。

影山 「このひと言が人生を変えた」みたいなことってよく言われますが、言わないこと、やらないことこそが人生を変えてしまう――「無」こそが意味を有するということを物語から教えていただいたような気がしました。

――影山さんは読む順番をどのように決められたのですか?

影山 「ゲオスミン」という単語を知っていたんです。高校時代にクイズ研究会に所属していたのですが、そのときに出題されたことがあって。馴染みのある言葉のほうから読んでみようかなと。

道尾 へえ! 言葉を知っていたから読んだという人は初めて会いました。「ペトリコール」も「ゲオスミン」も、ほとんどの人が知らない言葉だろうなと思ったんです。検索する人もいるだろうけど、検索したところでさらに順番が決められなくなるような単語を選んだんですよ。

――最初の一行目を読んで順番を決める人もいそうですね。

道尾 はい。なので、読んだら余計選べなくなるような1行目にしてあるんです。

影山 道尾先生はすべてお見通しなのですね!(笑)

道尾 これほど1行目に力を入れた作品はありませんでした。

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