短所は克服できる? ネガティブな性格をプラスに変える5つの質問

暮らし

公開日:2016/1/5


『自分っていったい何? こころめがねで見てみよう』(加藤史子/主婦の友社)

 小さなことが気になってクヨクヨしたり、ネガティブな性格だったり、はずかしがりやだったり…人間ならひとつくらいは短所を抱え、悩んでいる。大人でもそうなのだから、多感な子どもであればなおさらのこと。わが子が自分の短所に悩んでいるとき、「努力して短所を長所に変えろ」とはっぱをかけるのは酷な場合がある。

 『自分っていったい何? こころめがねで見てみよう』(加藤史子/主婦の友社)は、子どもに向けて、短所を長所に変える方法を紹介している。著者の加藤史子氏は、卓球の平野早矢香選手のメンタルトレーナーとして、ロンドンオリンピックで銀メダリストになるための助言をした実績を持つ。本書で紹介されている方法や考え方は、子どもに助言するときの参考になるだけでなく、自分を見直したいと考えている大人にもタメになりそうだ。

 本書は、「見方次第で短所が長所になる」という視点の変換が中心になっている。小さなことが気になってクヨクヨしてしまうのは、その理想に近づきたいという向上心の現れであり、ネガティブな性格は「イヤだったことを記憶して、未来の困難に備えようとしているから」といえる。はずかしがりやの人は、でしゃばることがないから、人にかわいがられやすいと考えられる。短所をポジティブな視点で捉えることで、短所を長所として肯定できるようになるのだ。

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 そうはいっても、誰もが自分のウィークポイントだと思い込んできた部分を、すぐに視点変換できるわけではない。そこで、本書は、たとえば次のような「視点変換をしやすい具体的な方法」も紹介している。

【小さなことが気になってクヨクヨしてしまう】

試合が終わるたびに反省ばかりしていた卓球の平野選手に提案した方法。
次の3つを自分に質問してみる。

(1)この出来事(試合)で良かったことは何か?
(2)次に同じような場面があったら、どこを、どのように変えてみたいか?
(3)そのためには、今、何をすればいいのか?

 この質問によって、「後悔していたこと」が「未来への課題」に変わり、前向きに取り組んでいきたいという気持ちになる。

【ネガティブな性格】

 次の5つを自分に質問してみる。

(1)“本当にそうなる”と、100%言い切れる?
(2)そう考えたとき、気分はよくなると思う?
(3)その考え方は、この問題を解決するのに役立つ?
(4)その考え方は、将来もずっと自分や相手のために役立つ?
(5)その考え方は、相手との関係を良くするために役立つ?

 本書によると、ネガティブな性格の人はひとつの考え方が思い浮かぶと、その他の考え方が見えなくなってしまうことが多い。しかし、5つの質問によって、考え方が選び直しやすくなる。

【はずかしがりや】

 誰でも人前で発表するときは多かれ少なかれ緊張する。自身もはずかしがりやだという著者が、人前で話せるようになりたいと考え、見つけたのが次の3つの方法。

(1)「人前でうまく話すのは“むずかしい”」という考えを、「伝えたいことが人に伝わるのは“楽しい”」と変えてみる。
(2)「自分が人からどう見えているか」なんて気にするのはやめて、「自分は今、目の前にいる人に何を伝えたいのか」ということに集中する。
(3)話の最初の部分に“質問”を入れて、聞いている人の“注意”を自分からそらす。

 これらにより、著者自身がはずかしいという気持ちを忘れ、話すことに集中できるようになったという。

 本書は巻末で「どんな出来事も、美しく誤解できれば、人は幸せに生きていける」と述べ、すべての子どもが「自分を好きになれる」ようエールを送っている。

文=ルートつつみ