はじめてのひとり読みにピッタリ! 幼年童話・児童書(2023年3月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/19

我が子の小学校入学のタイミングや学年がひとつ上がるとき、多くの親御さんはこう思っているのではないでしょうか。「そろそろ自分で(絵本以外の)本を読んでほしい……」と。

出版業界や教育業界で、子どもが自分で本を読むことを「ひとり読み」と言います。実はこの「ひとり読み」、大人が思っている以上に子どもにとってハードルが高いんです。そして読み聞かせをよくしているご家庭ほど、「読み聞かせ」と「ひとり読み」の間の高い壁にぶつかり、「こんなに読み聞かせを頑張ったのに、うちの子は本を全く読んでくれない」と頭を抱えると言われています。

その理由は、「読み聞かせ」は「耳で聞いたストーリーと、絵を合わせて物語を理解する」ことに対して、「本を読む」という行為は「ひらがなを読む」ことと「書いてある文字を文章にする」ことと「書いてあることを理解して物語を想像する」ことを同時にやらないと物語を楽しむことができないからと言います。読むことに慣れていないうちに「ひとり読み」を推し進めてしまうと「ひらがなを読めても、文字を文章にすることができない」「文章にすることばかりに一生懸命になってしまい、おはなしをイメージできない」となり、次第に「読んでもらう絵本は楽しかったけど、自分で読む物語は大変だし、面白くない……」と本自体を敬遠することにつながっていきます。本好きとしてはとても悲しいことです……。

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では「読み聞かせ」から「ひとり読み」の高い壁を乗り越えるために、大人ができることはなんでしょうか。それは「幼年童話を絵本と同じように読み聞かせすること」。まずは絵本よりも長い物語を聞いて、内容を理解することに慣れること。そして、長いおはなしも絵本とは違った面白さがあるんだと気づいてもらうことが大切です。「幼年童話や児童文学も面白い」そう思った子どもは、少しずつ自分で文字を読んでおはなしを理解しようとします。そうなったらあとはきっと早いはずです。気づいたらシリーズ全てを読んでしまったという成長を遂げる子も出てくることでしょう。「ひとり読み」はまさに一朝一夕にあらず。読み聞かせの習慣を子どもにつけるためにかかった時間よりも、もしかしたら長くかかるかもしれません。でも、絵本を読み聞かせた時間が親子の大切なコミュニケーションになったように、「幼年童話・児童書の読み聞かせ」も振り返ればとても貴重な時間と思える日が来るはずです。

そんな長い「ひとり読みまでの道」の心強い相棒となる今月の幼年童話・児童書をご紹介します。

サル、ブタ、キツネ、そしてイヌ、誰のほら話が一番か? 読んでいる間にきっと何度も『そんなのうそだ!』と言っちゃうことでしょう

そんなのうそだ!

著:ジーン・メリル 坂口 友佳子訳:小宮 由

出版社からの内容紹介

なまけ者のサルとブタとキツネは、いつも旅のお客にほらばなしをきかせて、ココナッツジュースをごちそうになっています。ある日、そんな3びきのまえに、豪華な服をきたイヌがあらわれます。よし、あの服をうばいとってやろう! 3びきは、ほらばなしの勝負でイヌをだまそうとしますが……。さて、勝ったのはだれでしょう?

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南の島に住む少女・アンニンちゃんとイヌのパオズのすてきな毎日! Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した堀川理万子さん、初の幼年童話『アンニンちゃんとパオズ』

アンニンちゃんとパオズ

著・絵:堀川 理万子

出版社からの内容紹介

アンニンちゃんの毎日は、冒険とわくわくがいっぱい!

アンニンちゃんは南の島に住む女の子。
虫取りしたり、歌をつくって歌ったり、ちょっぴりいたずらしたり……楽しい毎日。
ある日、すてきな相棒・犬のパオズがやってきました!
パオズとの出会いからアンニンちゃんの世界がどんどん広がります。

絵本作家として初めてBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した堀川理万子が描く初の幼年童話。
全ページに愛らしい挿し絵入り。
短いお話を7話収録しているので、読み聞かせにも、ひとり読みにも、朝読にもぴったりです!

【目次】
であい
パオズの ふしぎ
グルメ犬!?
ぬいぐるみ
かざぐるまと あたらしい ともだち
こどもオートバイ
水あび

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今週の日曜は『こどものりょうりえほん(1) 日曜日の朝ごはん』を開いて、豆腐の味噌汁を作ってみよう!

こどものりょうりえほん(1) 日曜日の朝ごはん

文:碧 海酉癸 五味 恭子 松田 直子絵:落合 稜子 田中 恒子

出版社からの内容紹介

こどもだけでも、大人といっしょでも、安全においしい料理が作れる
<こどものりょうりえほん>シリーズ第1弾!

こどもだけでも作れる簡単でおいしい料理を、かわいらしい動物のイラストで解説した楽しい料理絵本。
食事作りの準備から後片付け、実際の料理の仕方や調理器具の扱い方まで、一通りの知識が無理なく身につけられる構成です。
すべてのレシピは見開き2ページで完結しており、キッチンで本を広げながら料理をするのにも向いています。

▼内容
このほんをつかうおともだちへ
あんぜんにおりょうりをするために
このほんでつかう「じ」と「やくそくごと」
おりょうりをはじめるまえに
・とうふのみそしる
・たまごやき
・ポテトスープ
・コンビーフキャベツ
・ミックスサラダ
・クロックムッシュー
・ピラフ
・カレーうどん
・フレンチトースト
・モカフラッフ
・フルーツしらたま
・ごはんのたきかた
あとかたづけ
このほんでつかうおもなどうぐ

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灯台守のベンと彼に助けられた少年・アランの交流と人々の絆を描く、マイケル・モーパーゴの新作『パフィン島の灯台守』

パフィン島の灯台守

著:マイケル・モーパーゴ絵:ベンジー・デイヴィス訳:佐藤 見果夢

出版社からの内容紹介

イギリスのシリー諸島付近は航海の難所です。ある夜、嵐で船が沈み、乗客30人が岩にしがみついていたとき、パフィン島の灯台守ベンが手漕ぎボートでやってきて、全員を救出してくれました。助けられた乗客の中にいた5歳の少年アランは、この夜のことを忘れず、ベンが描いた船の絵をもらって大切にしていました。学校を卒業するとすぐ、パフィン島に向かい、なつかしい灯台守に再会します。一羽の傷ついたパフィンを看病することで、ベンとアランは家族のように絆を深めていきます。パフィン島が、文字どおりパフィンでいっぱいの島になるまでを、人と人のつながりをからめて情感豊かに描きだす物語。オールカラーのすばらしいイラストに飾られた贅沢な作品です。

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さあ肩の力を抜いてめっちゃ変な早口言葉を言ってみよう! 『かむもかまぬも神だのみ めちゃヘンな早口ことば』は大人も子どもも盛り上がること間違いなし!

かむもかまぬも神だのみ めちゃヘンな早口ことば

著:大谷 健太

出版社からの内容紹介

「急にきゅうり9本食う子急増」
「ダブル歩き炙りカルビ」
個性的なイラストとともに繰り出される、前代未聞のヘンテコ早口ことば。

数々のバラエティ番組で注目を集め、SNSでも話題となっているフリップ芸人、
大谷健太のオリジナル早口言葉が児童書になりました。

友達や家族といっしょに、さぁ挑戦!
「噛んじゃった!」「言えてないよ!」
みんなで大はしゃぎして遊べる一冊です。

言えたらヒーロー!
言えなくても笑いがとれる!
さぁ、キミは言えるかな?

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【動画公開中】世界を知る 自分と出会える絵本22選

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