うまれるまでの10か月って、どんな世界?『あなたがおなかのなかにいたとき』 【NEXTプラチナブック】

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/31

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年2月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

あなたが生まれるまでの10か月って、どんな世界か想像できる? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『あなたがおなかのなかにいたとき』。赤ちゃんが誕生するまでの様子を描く、美しいこの絵本。どんな内容なのでしょう?

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

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そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

うまれるまでの10か月って、どんな世界?『あなたがおなかのなかにいたとき』

あなたがおなかのなかにいたとき

作:せきやゆうこ絵:嶽 まいこ

みどころ

あなたが生まれるまでの10か月って、どんな世界か想像できる?

命のもとになる卵子は、お母さんが生まれた時から体の中にあって、あなたが生まれる9か月半前に精子と出会い、「受精卵」というたまごになったんだ。その時のたまごの大きさはたった0.1ミリメートル、重さは100万分の3グラム。そこから、子宮と呼ばれる場所に移動して、ゆっくりと少しずつ大きくなっていく。

生まれる8か月前、お母さんが妊娠に気づく頃のあなたは、サクランボくらいの重さ。7か月前になると、目や耳、手や足、口や歯ができはじめて人らしくなってくる。重さはまだイチゴくらい。さらに胎盤ができあがり、耳が聞こえるようになり、呼吸の練習を始め、そうして大きさも少しずつ変化していくのです。

生まれるおよそ7か月前。サカナの仲間みたいだった姿も、少しずつ人らしくなってくる頃。目や耳、手や足、口や歯などができはじめます。でもまだ重さは、イチゴくらい。

生まれるおよそ6か月前になると、今度はおかあさんの子宮の中で「胎盤」ができあがる。胎盤は、あなたが大きくなるために必要な栄養や酸素のうけわたしをする大事な場所。へそのおを通ってあなたへとはこばれるのです。

こんな風に1か月1見開きを使って、胎児の状態や体の中と外の様子を丁寧に説明していってくれるこの絵本。具体的になればなるほど、その世界はより神秘的に感じられます。さらに胎児の大きさを果物で例え、居場所を宇宙や森や海の中などの自然の風景として描く絵はファンタジックかつダイナミック。視覚からも、この世に生まれてくることの奇跡や喜びが、ダイレクトに伝わってきます。270日かけて、たったひとつの細胞が、たったひとりのあなたになる。なんて素敵なできごとなのでしょう。

「赤ちゃんはどうやって生まれてくるの?」

小さな子どもたちの中に生まれたこの疑問や好奇心は、年齢を重ねるにつれ、どんどん大きくなっていくことでしょう。自分のお腹の中で大きくなっていく我が子を思いながら、読む方もいるでしょう。巻末にはさらに詳しい解説も付いています。その感動の瞬間を、じっくりと実感してみてくださいね。

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編集長のおすすめポイントは……

より具体的に、より感覚的に

おかあさんのお腹の中にいる赤ちゃんは、いったいどんな風に過ごしているんだろう。考えれば考えるほど不思議でたまらなくなるのは、子どもたちだけではありませんよね。でも、その赤ちゃんが「イチゴくらいの重さ」だとか、「キャベツくらいの大きさ」になっただとか聞いた途端、とても具体的に存在を感じることができるのです。さらに森の木々や草花に包まれている赤ちゃんの姿を見れば、理屈を超えて、その存在の尊さを実感することでしょう。「生命の誕生の神秘」を絵本で触れることができるのは、とてもありがたいことですよね。

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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