収録種数最多約1600種!いつか、”魚の図鑑を作りたい”――ぶれない情熱が掴んだ夢(『学研の図鑑LIVE 魚 新版』)(Gakken)

文芸・カルチャー

公開日:2023/5/25

Gakkenが生み出す、数々の個性的で魅力的な商品・サービス。その背景にあるのはクリエイターたちの情熱です。Gakken公式ブログでは、ヒットメーカーたちのモノづくりに挑む姿を、「インサイド・ストーリー」として紹介。今回は『学研の図鑑LIVE 魚 新版』の改訂に抜擢された、無類の“魚好き”を公言する図鑑編集部の高田竜です。

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学研の図鑑LIVE 魚 新版

総監修:本村 浩之

出版社からの内容紹介

▼▼▼3歳から大人までずっと使える本格図鑑 学研の図鑑LIVE▼▼▼

シリーズ累計230万部!「学研の図鑑LIVE 魚 DVDつき」がパワーアップした新版として発売します。
美しい標本写真と分かりやすいレイアウトで色や形といった種ごとの特徴が比べやすくなりました。
日本から世界まで、様々な環境に生息する魚たちを1600種掲載!魚の多様性がよくわかります。
総監修の本村浩之先生をはじめ総勢30名以上の研究者たちが集結! 最新・正確な情報で小学校高学年まで使えます。
3大特典の1つ、完全オリジナルのDVDは魚のスゴ技紹介や水族館の裏側紹介など、年齢問わずお楽しみ頂ける内容です。
新しくなった「学研の図鑑LIVE 魚新版」で、魚が好きになったら海や水族館へ出かけてみましょう!

【本誌 進化した10のポイント】
■美しい標本写真と分かりやすいレイアウトで、色や形といった種ごとの特徴が比べやすくなりました。
■日本から世界まで、様々な環境に生息し、様々な姿形をした魚たちを掲載!魚の多様性がよくわかります。
■解説は見た目の特徴から生態まで詳しく!コラムも充実で、親子で読むと魚の理解がさらに深まります。
■収録種数は1,600種で類書中NO.1!他社未掲載種は300以上で調べたいと思った魚がきっと見つかります。
■総監修の本村浩之先生をはじめ総勢30名以上の研究者が集結! 最新・正確な情報で小学校高学年まで使えます。
■アクティビティ特集は6テーマ14ページ!釣り方、アクアリウムの楽しみ方、魚のさばき方など、魚とふれあいたくなる情報満載。
□軽くなった紙と本誌の角を丸くカットする加工で、小さなお子さまでも安全にお使い頂けます。
□あらゆる人に見やすく読みやすいユニバーサルデザインフォントを採用しています。
★おうちのどこでも貼れる!B3サイズの魚の漢字学習ポスターがもれなくついてきます。
★3DARが進化!人気のカクレクマノミやジンベエザメなどがリアルに動きます。

【動画 進化した5のポイント】
●飛ぶ!歩く!泳ぐだけじゃない魚の驚きのスゴ技や、人気のチンアナゴなどの可愛い仕草まで、映像だから伝わる魅力が満載です。
●沖縄美ら海水族館、新江ノ島水族館、沼津港深海水族館の裏側に潜入!ジンベエザメのエサやりなど、ここでしか見られない映像がたっぷり。
●3万kmを旅するサケの壮絶な一生を紹介。身近な魚、サケの知られざるドラマに迫ります。
●学習図鑑史上初!DVDに加えて、スマホやタブレット等でも視聴可能で、いつでもどこでも動画が楽しめます。
●数多くの子ども向け人気番組を手掛ける映像制作会社DIRECTIONS制作の完全オリジナルの動画です。
動画の目次
1.おさかなアスレチック大会
2.びっくり仰天!おさかな忍法
3.潜入!水族館ツアーズ 沖縄美ら海水族館
4.潜入!水族館ツアーズ 新江ノ島水族館
5.潜入!水族館ツアーズ 沼津港深海水族館
6.おさかな大パレード
7.旅するおさかな
8.おさかなクイズ

収録AR一覧(3DCG他)
ジンベエザメ/オニイトマキエイ/二ホンウナギ/クロマグロ/シーラカンス/カクレクマノミ/トビハゼ/テッポウウオ/マイワシ/チンアナゴ/アリゲーターガー/キッシンググーラミィ

個性派が集まる学研・図鑑編集部のなかでも、彼ほどまっすぐに夢を叶えた編集者はいない。幼いころから魚が好きで、親に買ってもらった愛読書『学研の魚図鑑』は、ボロボロになるまで読み、海や川で魚の観察に明け暮れ、大学院では海洋生態学を修めた。

 「履歴書から最終面接まで“魚の図鑑を作りたいです”としか言ってませんでした」――学研の入社試験でも、魚が好きという一心を貫いた。

 そんな高田が、夢を叶えた。編集を担当した『学研の図鑑LIVE 魚 新版』がついに完成を迎えるのである。

魚の世界は“多様性”に満ちている。このおもしろさを知ってほしい

毎年、数百種もの新種が発見されているという魚。『学研の図鑑LIVE 魚 新版』の収録種数は、旧版を300種ほど上回った約1600種を掲載、ページのすみずみまで高田の熱意とアイデアが光る渾身の1冊に仕上がった。

 「新版でもっとも大切にしたのは、魚の世界の“多様性”です。魚って、わかっているだけで3万5千種以上と多種多様です。全部載せたいという気持ちはありましたが、やはり限界があります。最初に読む人たちに、情報もわかりやすく伝えられ、多様性も感じてもらえるのに最適だと考える数に厳選し、収録種を約1600としました」

 魚の生態の違いを紹介するために、まずは“見せ方”から再設計。 通常の学習図鑑なら“○○科”まで入れるのが一般的だが、新版では、解説のある魚のデータ部に“○○科○○属”までの分類を記載。旧版や、類似の子ども向け魚類図鑑を見回しても、分類を“属”まで細分化して記載した図鑑は今回が初だという。

 「クマノミっていうと、イソギンチャクの近くで暮らしているイメージですよね?でも、クマノミが属する“スズメダイ科”のみんながイソギンチャクと暮らすわけではないんです。スズメダイ科にはクマノミ属やスズメダイ属などがいて、イソギンチャクと暮らしているのはクマノミ属。スズメダイ属はサンゴ礁などで、群れをなして暮らしています。
 科は同じでも、属によって見た目や生態が違うことがあるんです。だからこれまでひと括りで紹介されていた“属”の分類も、分けて示しています」

細部の特徴がわかる、幼魚と成魚の見た目比べができるのも図鑑ならでは

さらに写真も、それぞれの種間の“違い”がわかりやすくなるよう細部まで工夫を施している。

「インパクトをねらうと、さまざまな角度やポーズの写真をのせたくなりますが、基本の魚の形は、やはり横からの見た目です。水族館でも、正面よりも横からの姿をみることのほうが多いのではないでしょうか。

また、採用する標本写真も、種による違いをみせるために細かい部分にこだわっています。たとえば、それぞれのひれを広げた状態にしたり、からだの線の位置や形にこだわったりと、魚の分類において非常に大事な要素が比べたときにわかることを第一に考えました」

 ふだん見慣れている魚にも、新たな発見があるかもしれない。

また新版では、同種でも性別や成長段階によって見た目に違いのある魚についても積極的に取り上げている。

 「ベラの仲間で、“オビテンスモドキ”という魚がいるのですが、この幼魚の姿は、成魚の時とはまるで違うんです。幼魚は漂う枯れ葉に擬態しているような見た目なんですが、成魚は全く違う姿をしています。こうした成長過程における違いもおもしろいですよね」

▲誌面左下が「オビテンスモドキ」。

 

総監修は魚類分類学のトップランナー・本村教授。30人以上の研究者が監修・執筆

新版の総監修には、鹿児島大学総合研究博物館の本村浩之教授を迎えた。高田によれば、今回目指した“魚の多様性”を展開するためには「この方しかいない」と心に決めていたという。

「多種を掲載し多様性を示すという点で、監修者は、それぞれの魚の分類ができるエキスパートでなければなりませんでした。
 そこで、魚類分類学の専門家である本村先生にご相談しました。先生とは、多様性についての考えや、どう表現していくかの方向性、魚のおもしろいと思う観点が近かったことも大きいです。先にお話した、成長過程の違いが独特なオビテンスモドキのおもしろさを伝えたいという気持ちも一緒でした。“幼生から成魚までを絶対に載せましょう!”と、先生と意気投合したんです」

 さらに、今回の紙面づくりには、もうひとつこだわりがある。

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