何気ないやり取りだけど表情や感情たっぷり伝わる『ありがとう なかよし』<ブランニュープラチナブック>

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/1

子どもから大人まで魅了するおはなし 心温まる余韻を楽しんで

ありがとう なかよし

作:しもかわら ゆみ

みどころ

おっとっと!
石につまづいて転びかけたねずみくんを助けたのは、とかげくん。
「ありがとう」
お礼を言ったねずみくんは、お花をとかげくんにあげます。
すると、とかげくんも「ありがとう」。
何気ないやり取りですが、段々と2ひきがうちとけて、仲が深まっていく様子が、なんともほほえましいのです。

そして「ありがとう」の輪は、ひまわりさんやおはなさんにまで広がって…… その理由は? 最後には、題名にも納得の心地良さの余韻を味わってください。

『ぽつぽつだいじょうぶ』、『おすわりどうぞ』、『ねえねえ あのね』などの作品で、温かい気持ちを内包した愛らしい動物たちの何気ないやり取りを描いてきた、しもかわらゆみさんが描く最新作。ねずみととかげという異色の取り合わせですが、リアルな造形なのに、表情や感情がたっぷり伝わってきます。寄りそうような花々も、物語をさりげなく導いてくれますよ。子どもから大人まで魅了する心温まる余韻をお楽しみくださいね。

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レビューのご紹介

仲良しになるまで。

ある日、石につまずいて転びそうになったところを、とかげくんに助けてもらった、ねずみくん。お礼にきれいな花をあげると…。「うれしい」気持ちを分かち合った二人の出会いから仲良しになるまでの心の交流が描かれています。とても穏やかな気持ちになります。

(ぼんぬさん)

花の蜜の記憶が、よみがえる。

写実的なイラストながら、ねずみくんもとかげくんも、とても表情豊かなのが印象的でした。

ねずみくんが花の蜜を吸うところで、子供が「花の蜜って本当に甘いの?」と聞いてきました。
そういえば、この子はその辺に生えている草花を口にするような体験をしてこなかったな…と思いました。
コロナ禍を幼少期に過ごした子供たちは、特にそういう体験をしていないのではないかと想像します。

私が子どもの頃、家の近所に咲いていたつつじの花の蜜を吸ったときのことを思い出しました。
独特の青くささの中に、しっかり甘みを感じたのを何十年も経った今も覚えていることが不思議。

子供も楽しんでいたようですが私にとっても思いがけない記憶を呼び覚ましてくれた、素敵な作品でした。

(だっこらっこさん)

ありがとう なかよし

作:しもかわら ゆみ

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