ゆっくりゆるーり、ゆるるるん。『でんでんでんしゃ』 【NEXTプラチナブック】

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/27

絵本ナビがおすすめする「NEXTプラチナブック」(2023年5月選定)から、ご紹介する一冊はこちら!

雨が降りだすとやってきたのは、でんでんでんしゃ。「おいそぎでない かたは どうぞ ごじょうしゃくださーい」。 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介する絵本は、『でんでんでんしゃ』。雨の日限定、特別なお出かけのお話です。いったいどんな内容なのでしょう?

NEXTプラチナブックとは…?

絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。

そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。

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ゆっくりゆるーり、ゆるるるん。『でんでんでんしゃ』

でんでんでんしゃ

作:林 木林絵:ひがし ちから

みどころ

雨が降りだして、虫たちが葉っぱの下で雨宿り。

「みなさーん、あめの ひの おでかけは いかがですかー。
 おいそぎでない かたは どうぞ ごじょうしゃくださーい。」

虫たちは、でんでんでんしゃに飛びのります。でんでんでんしゃは、ゆっくりゆるーん。歩いていくより遅くて、ケロケロタクシーが追い越していきます。光るしずくのそばをそろーり通り、葉の上や葉の下や、蔓がすべるつるつる峠をぐるぐるめぐり、時には道に迷って戻ることもあるけれど、でんでんでんしゃの進む道はどこも本当に素敵なのです。さあ、クライマックスはあじさいトンネル。晴れた空みたいなきれいなトンネルを抜けると……。

雨の日限定、ゆるるーゆるるるんと進むでんでんでんしゃ。急いでいない人だけが楽しめる特別なお出かけ。いいなあ、こんなでんしゃ。

みずたまりの前を通ったかと思えば、こんなつるつるぐるぐる目の回る道も。あれれ、迷っちゃったみたい? でも大丈夫。急ぐ必要なんてないですからね。

独自の視点から多彩な作品を生みだす林木林さんと、その世界を愛らしく詩情たっぷりに描き出すひがしちからさん。二人の人気絵本作家が繰りだすのは、ささやかだけれど美しく輝く憧れの風景。退屈な雨の日こそ、絵本を開いてゆったりした時間を楽しんでくださいね。

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編集長のおすすめポイントは……

想像してみれば、もっと広がる絵本の世界

「はのうえ」「はのした」「ぽたぽたばし」に「あじさいトンネル」、いったいどんな風景が見えるのでしょう。「そろーりそろーり」「ゆるーりゆるーり」「ゆるん ゆるるるん」、どんな乗り心地なのでしょう。聞こえてくる音と、乗客のとびっきり可愛らしい虫たちの表情を見ながら、この優雅なおさんぽの感覚を想像してみれば、絵本の中の世界がもっともっと広がっていくはず。「そのままどうぞ、ごゆっくり」、いってらっしゃーい。

磯崎 園子(いそざき そのこ)

絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。

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