美しい海の絵本(2023年7月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

公開日:2023/7/14

海は美しい。
世界のどこかにある、深く、どこまでも澄んだように青い海。干潟に生きる、色とりどりのカニ。水面で青く光るイカの群れ。ずっとずっと深いところを泳ぐ、不思議な姿の深海魚たち。

海は、想像を膨らませてくれる。 クジラの楽隊、ペンギンの島、宝物を隠し持つウミウナギ。海に生きる生き物たちも、絵本の中ではいつだって友だちになれる。

ダイナミックに描かれる絵や鮮やかな写真を通して、海や海の生き物たちの美しさを感じることができる絵本を集めました。小さな驚きや感動は、自然への興味へと繋がっていくはずです。海が恋しい季節、目の前の絵本の世界が、本物の大海原へと繋がっていくような、豊かな時間を過ごしてみてください。 

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音楽好きの船員と、海の生き物たちの交流。英語と日本語と美しい音色に聴き惚れる『英日CD付 英語絵本 うみのがくたい The Ocean-Going Orchestra』

英日CD付 英語絵本 うみのがくたい The Ocean-Going Orchestra

作:大塚 勇三絵:丸木 俊英語訳:サラ・アン・ニシエ

みどころ

どこまでも広がる大海原に一艘の船。
赤く燃える夕日が沈むころ、どこからともなく楽しげな音楽が聴こえてきます。音楽好きの船乗りたちが甲板にあつまり、自慢のラッパやヴァイオリンを演奏しているのです。美しい夕日に映える素敵な音楽は、いつの日からか海にすむクジラやイルカ、たくさんの魚たちを魅了しました。ある嵐の日、船乗りたちが乗っている船は沈没しそうになります。そんな彼らを真っ先に助けてくれたのは、彼らの音楽ファンになっていた大きな鯨たちとたくさんの魚たちだったのでした。

1964年に出版された名作『うみのがくたい』は、音楽好きの海の男たちとクジラが紡ぐ友情と音楽の美しい物語。赤い海の上で船乗りたちが奏でる陽気なラッパが今にも聴こえてきそうな楽しい絵本、その名作がなんとCD付き英語絵本になったんです。
英語の絵本、しかもCD付き。一体どんなものになったのか気になりますよね!

The evening sun shone on the sea.
ゆうひが海に照りはえ、
The music floated out over the ocean.
音楽が海にただよう。
It was wonderful.
それはとてもすてきだった。

陽気な楽隊の演奏と共に、英語と日本語のナレーションが歌うように交互に入り、英語がわからずともあっという間に絵本の世界観に引き込まれてしまいます。情感あふれる日本語のナレーションは、俳優の江守徹さんが担当されているのも驚きなのですが、一流のスタッフによって構築された音の世界は、原作の世界を壊すことなくより豊かに、より瑞々しく絵本のイメージを昇華してくれるのです。

“That’s okay.”
「いいとも。」
“Take your time.”
「ごゆっくり」
“We can wait.”
「こっちはかまわないよ。」

“But ships are heavy, aren’t they?”
「でも船って重いんだね。」
“We’ve never done this before.”
「はじめてこんなことやってみたよ。」
“What happened to the orchestra last night?”
「ゆうべ がくたいはどうしたの。」
“We were too busy with the storm.
「嵐でそれどころじゃなかったんだよ。
When we finish our work, well play all you like.”
 仕事がすんだら、たっぷり聞かせてあげるよ。」

船乗りとクジラたちとの会話劇がたくさんあるのも特徴的で、感情のこもった表現は耳で聴きとってすぐ英語で口に出したくなります。魚の名前や楽器の名前、船や海にまつわる表現もたくさんでてくるので、英単語やフレーズを暗記しただけでは使いこなせないリアルな英語を物語を通して学べるのも嬉しいところ。
原作の『うみのがくたい』をご存知の方もそうでない方も、お食事時やドライブ、好きな時にいつでも絵本の世界へ導いてくれる本作、是非ご家族で一緒に聴いてみてくださいね。

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南太平洋に浮かぶ小さい島の、鳥の兄弟をめぐる昔話。空と海の、どこまでも深く澄んだ青に魅了される『アアウをとってこい』

アアウをとってこい

作:秋野癸巨矢 絵:秋野不矩

出版社からの内容紹介

「アアウ」。それは、人に素晴らしい力を与える、とても不思議なもの。そのアアウがあるのは、とんでもなく恐ろしい場所だった。エブ島の長老イリリクは、ベチュワク少年を後継ぎにと考えていました。けれどベチュワクはのんびり屋で、何をやっても弟に先を越されてしまいます。そこで長老は、ベチュワクにすばこしさと運のよさを与えるため、巨人に命じました。「アウウをとってきてくれ!」

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とびっきりの素敵な島を見つける旅。文字がなくても、絵が語りかけてくれる。豊かな余白を味わう絵本『アイランド』

アイランド

作:ロナルド・トルマン マライヤ・トルマン

出版社からの内容紹介

ことばはなくても、絵が、かたりかけてくれる。とびっきりの素敵な島をみつけるために、海に浮かぶ島々をめぐる旅に出る。トルマン父娘による文字のない絵本第2弾。

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ツリーハウス

作:ロナルド・トルマン マライヤ・トルマン

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深海に生きる珍しい深海魚の姿を鮮明に伝える写真絵本。『ぎょ! おどろきのしんかいぎょ』好奇心と探究心を掻き立てるクイズも

ぎょ! おどろきのしんかいぎょ

写真:JAMSTEC監修:藤原 義弘(JAMSTEC 海洋研究開発機構 地球環境部門)

出版社からの内容紹介

深海には不思議な生き物がいっぱい。めったに見られない深海魚たちの姿を鮮明な写真で伝えます。モグール号からクイズを出題! 
答えを考えながら、楽しく読むことができます。

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赤、青、黄色、色とりどりのカニたちが住む、ひがたの不思議。小さな驚きから自然への興味を育む『ひがたはたからばこ』

ひがたは たからばこ

写真:よしのゆうすけ

出版社からの内容紹介

ここは日本の南にある西表島。
海べの水がひくと、
広いどろの地面があらわれる――
「ひがた」だ。

ひがたのできる場所は、海になったり、
陸になったりする。
どろばかりに見えるけど、
よく見ていると…
たくさんの小さないきものに会える。
命のかがやきがつまった、
たからばこのような場所だ。

片方のハサミが大きなシオマネキや、
大群で移動するミナミコメツキガニ、
エサを食べたあとに
泥のだんごができるコメツキガニ…。

40年以上海の生き物を撮り続けてきた
海洋写真家が、
西表の干潟の小さな世界に見つけた
大自然の営みを紹介します。
自然への興味をはぐくむ写真絵本。

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富山湾での真夜中の漁や、光るカラダのしくみ、謎の現象……たくさんの写真で知るホタルイカのすべて『ホタルイカは青く光る』

ホタルイカは青く光る

作・写真:阿部 秀樹

出版社からの内容紹介

日本の海にいる、不思議で美味しい生き物

日本の海に、とっても不思議なイカがいるって知っていますか?

富山湾ではホタルイカが名物、ホタルイカ漁がさかんに行われています。
漁船が網をしかけた場所に到着すると、漁師さんが網を引き上げ始めます。

船の明かりを消してもらうと……
網の中が、青い小さな光でいっぱいです!

ホタルイカは、ふだんは水深200メートルをこえる深海でくらしています。
それが、富山湾では毎年3~5月の夜になると、メスが産卵のために海面近くにやってくるのです。

ホタルイカには、もうひとつの不思議があります。

それは、産卵を終えたホタルイカが、深い海にもどれずに、海岸に大量に打ち上げられてしまうのです。
この現象は「ホタルイカの身投げ」とよばれています。
そのようすは、まるで青い光の波がおしよせてくるようです。

産卵におとずれるホタルイカは数百万匹。
それぞれがたくさんの卵を生みます。
おとなになれるのは、その中のわずかですが、次の世代はしっかり残されていて、また翌年の春にもどってくるのです。

街のすぐ近くの海で、毎年くり返される、ホタルイカの不思議な現象を通じて、人と生き物の関わりを考える写真絵本です。

【編集担当からのおすすめ情報】
とても美味しく、私も大好物のホタルイカですが、どんな生き物なのか、改めて勉強になりました。
「食材」としてのホタルイカ、「生き物」としてのホタルイカ。ホタルイカの知識が満載の写真絵本です。
食卓で、海辺の自然観察で、ぜひご覧いただけたら幸いです。

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【動画公開中】さぁ、夏をはじめよう!

文:栗田奈緒子 編集:木村春子

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