白亜紀に生きた、空を飛ぶ翼竜を描いた『プテラノドンのそらとぶいちにち』インタビュー(偕成社)

文芸・カルチャー

公開日:2023/12/6

白亜紀に生きた、空を飛ぶ翼竜、プテラノドンの1日を描いた『プテラノドンのそらとぶいちにち』。『ピン・ポン・バス』のコンビで知られる竹下文子さんと鈴木まもるさんの、恐竜たちの絵本シリーズの第3弾です。実生活ではご夫婦でいらっしゃるおふたりに、本作の制作過程についてお話を伺いました。

プテラノドンのそらとぶいちにち

作:竹下文子 絵:鈴木まもる

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出版社からの内容紹介

のりもの絵本で人気のコンビの、トリケラトプス、ティラノサウルスに続く、恐竜絵本の3作目。主人公のプテラノドンは、先の2種類の恐竜たちとほぼ同時代に生きていた翼竜。そのプテラノドンのある一日を描きます。空を飛ぶ翼竜なので、それだけにスピード感もある展開です。俯瞰図の場面では、トリケラトプス、ティラノサウルスほか、たくさんの恐竜を見ることができます。
また「恐竜」ではありませんが、同じ時代の海生爬虫類の一種、ティラノサウルスをも食すといわれる、モササウルス、大迫力の場面も!
自由に空を飛ぶイメージのプテラノドンですが、鳥とは違って地面から飛び立つのは苦手。風にのって飛べる場所を、一生懸命歩いて歩いて探すようすは、ひょうきんさを醸し出しています。

恐竜シリーズ3冊目になります。おふたりは、もともと恐竜がお好きなお子さんでしたか?

竹下:私は、恐竜も怪獣もまったく興味がなくて、すべて大人になってから、子どもが生まれてからです。絵本や図鑑を息子と一緒に見ながら、これのどこがそんなに面白いんだろうって最初は思ってたんですけど、何十回も読まされたおかげで、こちらもいろいろ詳しくなってしまいました。

鈴木:ぼくは、とても好きでした。子どものころ、「少年タイガー」と「少年ケニヤ」という山川惣治さんの絵物語の本があり、その中で、ティラノサウルスやケラトサウルスなど恐竜の住む世界に迷い込む部分があり、何度読んだかわからないくらい読みました。

ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」で、恐竜が出てくる場面も子供心に強く残りました。そのあとも、ネス湖のネッシーとか未確認生物などの情報にワクワクしていました。

今回の主人公をプテラノドンにした経緯、プテラノドンのみどころについても教えてください。

竹下:前の2冊(『トリケラトプスのなんでもないいちにち』『ティラノサイルスのはらぺこないちにち』)は、草食動物と肉食動物の違いを見せたくて、2冊セットで作りました。それが白亜紀の恐竜だったので、次は時代をさかのぼってジュラ紀で2冊かな……と考えたんですけど、結局ステゴサウルスでもトリケラトプスでも、地面の上を歩いて食べてという生活は同じ、背景も似たような感じになってしまう。がらっと変えようということで、3冊目は翼竜になりました。

なんといっても空を飛べるというのが最大の魅力ですから、地上の恐竜とは違ったスピ-ド感と自由さが伝わるといいなと思います。

トリケラトプスのなんでもないいちにち

著:竹下文子 絵:鈴木まもる

ティラノサウルスのはらぺこないちにち

著:竹下文子 絵:鈴木まもる

鈴木:最初、頭の中に「プテラノドンの とんでる いちにち」というタイトルが出てきて、「プテラはどうでしょう?」と文子さんに言いました。空を「飛んでる」と心が弾む、「とんでる」でかわいいなあと思ったのでしょう。

空を飛ぶには相当な軽量化が必要だと思います。絶対コモドオオトカゲみたいなのでは空を飛べません。大海原を飛翔する水鳥のイメージで描いたので、そんなビュンビュン感を感じてもらえると嬉しいです。

あとは全2作同様、同じ地球の上に住む生物としての自然な感じです。いつも海外の秘境やジャングル、家の周りの山の中で、ここに恐竜がいたらどう見えるかなと思った気持ちを描くようにしています。

途中で海から出てくる、巨大なモササウルス(同じ時代の海生爬虫類の一種)のシーンは大迫力でした。

竹下:映画「ジュラシック・ワールド」の終盤で、突然ざばーっ! と出てくるシーンがあるでしょう。ああいうのやりたいなと思っていて、モササウルスを主役にする案も出たくらいです。でもモササウルスは分類上「恐竜」ではないし、舞台が完全に海の中になってしまうと、陸上の他の恐竜を登場させるのが難しいので、こういう形でのゲスト出演になりました。

鈴木:ページをめくると……ドーンというのは、描いていても楽しいです。

プテラノドンのそらとぶいちにち

作:竹下文子 絵:鈴木まもる

ティラノサウルスのはらぺこないちにち

著:竹下文子 絵:鈴木まもる

トリケラトプスのなんでもないいちにち

著:竹下文子 絵:鈴木まもる

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