入学・進学シーズンにおすすめの幼年童話&児童書(2024年3月新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

更新日:2024/3/25

4月からは新一年生。入学・進学を控える子どもたちは、いつもとちょっとちがう春を迎えていることでしょう。これから出会う場所や仲間たちとの日々にワクワクしている子、見知らぬ新しい環境に緊張している子、長く過ごした友だちや先生たちとの別れにさみしさが募っている子……抱いている思いはきっとそれぞれなのでは。

新たな一歩を踏み出す子どもたちの、心の成長に寄り添う本をご紹介します。 仲良しな友だちとけんかしちゃった帰り道、猫たちが通う学校に遭遇したら? 好き嫌いがあって不安な給食、でも好きなメニューのおかわりができるとしたら? 誰にも言えない心のうちを、ノートに描いた“あの子”にだけ話すことができたら……。

高学年の子どもたちには、家族や友だちなど周囲の人々や、自分自身と向き合うきっかけになる物語を。 登場人物に心を重ね、追体験できるようなストーリー。新生活や思春期に向かっていく子どもたちに力を与えてくれる本を、ぜひ手渡してあげてください。

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仲良しの友だちとケンカをしたゆうくん。飼い猫のにゃおを見かけてついていくと、そこは学校の教室、たくさんの猫が!?『ねこねこがっこう』

ねこねこがっこう

作:苅田 澄子絵:つちだ のぶこ

出版社からの内容紹介

なかよしのとし君とけんかしてしまったゆう君。飼い猫のにゃおを見つけたので遊ぼうと追いかけたら、たどり着いたのは学校? しかも、そこにはたくさんの猫が集まっていて、おまけに喋れないはずのにゃおが「ここはねこねこ学校」言ってきて…。「ねこねこ学校」ってなに?

チョコレートプリンをおかわりしたい! でも苦手なニンジンを残しちゃいけない……『ウサギのトリン きゅうしょく、おかわりできるかな』好き嫌いのある子の背中を押してくれる一冊

うさぎのトリン きゅうしょく、おかわりできるかな

作:高畠 じゅん子絵:小林 ゆき子

出版社からの内容紹介

ニンジンが苦手なウサギのトリン。給食であまったチョコレートプリンをもらうには、給食を残さず食べなければいけません。ところが、給食にはニンジン入りのポテトグラタンが…。
トリンはプリンをもらうことができるでしょうか?
好き嫌いのある子を優しく応援するような、楽しいお話。

転校した新しい学校になじめないかえでちゃんは、ノートに描いた「もじゃりん」にだけ、自分の心の内を打ち明けるようになり……『かえでちゃんとひみつのノート』

かえでちゃんとひみつのノート

作:大久保 雨咲絵:植田 真

出版社からの内容紹介

転校生になってしまった、かえでちゃん。新しい学校になじむことができず、元の学校の友達にもらったノートに落書きを始めます。かえでちゃんが描いたのは、クマみたいな「もじゃりん」。毎日、ひみつのノートに「もじゃりん」を描きながら、新しい学校での出来事を話しかけていると…!? 転校生のかえでちゃんが新しい学校で友達ができるまでを「もじゃりん」の視点で優しく綴ります。

王立学校への入学に向けバレエに打ち込むロッティ。ある日一匹の子犬と出会い……少女の成長を描くゴッデンの傑作が新訳で登場『ナイチンゲールが歌ってる』

ナイチンゲールが歌ってる

著:ルーマー・ゴッデン 網中 いづる訳:脇 明子

出版社からの内容紹介

バレエに打ちこむロッティは、おばちゃんとふたり暮らし。才能を認められ、寄宿制の王立バレエ学校を受験します。ところが一匹の子犬と出会ったことから、心に大きな秘密をかかえることに……。さまざまな出来事をのりこえ、踊ること、生きることのよろこびに目ざめる少女の姿。『トウシューズ』として愛された物語の新訳。

だれでも、心の中に、うさぎがいる――4人の子どもたちの葛藤と小さな前進。抒情豊かな文章と柔らかな絵で紡いだ短編集『うさぎになった日』

うさぎになった日

著:村中 李衣絵:しらと あきこ

出版社からの内容紹介

村中李衣×しらとあきこ 初の短編物語。
よわいからって、つよくないわけじゃない
だれでも、心の中に、うさぎがいる

◆「よわいからって、つよくないわけじゃない。だれでも、心の中に、うさぎがいる」
 心温まるちいさな4つのお話と3つの詩。
◆野間児童文芸賞受賞作家・村中李衣と、大人気うさぎ画家・しらとあきこ初の書籍。

「うさぎ、うさぎ
よわいからって、つよくないわけじゃない
よわいからこそつよい、ってことだってある
だれでも、心の中に、うさぎがいる」

自分の気持ちをうまく言葉にできない、りこ。
過ちをおかしてしまった、たくと。
葛藤を抱えた4人の子どもたちが、動き出す―。
児童文学作家・村中李衣の詩情豊かな文章と
うさぎ画家・しらとあきこの美しく柔らかな絵で紡ぐ、短編物語。

―走れ走れ、にげろにげろ。明日は、きみが、うさぎになる。

<小学校中学年から>

スズキコージさんの絵が醸し出す奇妙で不思議な賢治ワールド! お客として入った2人の紳士になぜか次々と注文が降りかかり……『宮沢賢治の絵本 注文の多い料理店』

宮沢賢治の絵本 注文の多い料理店

作:宮沢 賢治絵:スズキ コージ

出版社からの内容紹介

2人の紳士が山の中でたどり着いたのは一軒の西洋料理店、「山猫軒」。 お腹をすかせていた男たちはどんな料理が出てくるのか楽しみにしながら、扉に書かれた注文を受けていくのです。一体、扉の向こうには何があるのか!?ページをめくる度に現れる注文の数々に 興味をひかれずにはいられません!おなじみのこの名作にスズキコージによる不思議な雰囲気の絵が新しい風を吹き込みます。改めて読み返してみると、驚くほどえほんの中へ引き込まれていきます。

「宮沢賢治の絵本」シリーズ

【著者プロフィール】 スズキコージ 1948年静岡県生まれ。絵本や挿画のほか、イラストレータとしてポスター・壁画・舞台美術などでも活躍。絵本は「うみのカラオケ」(クレヨンハウス)「サルビルサ」(架空社)「ブレーメンのおんがくたい」(ミキハウス)ほか多数。「エンソくん きしゃにのる」(福音館書店)で小学館絵画賞、「ガラスめだまときんのつののやぎ」(福音館書店)と「やまのディスコ」(架空社)で絵本にっぽん賞、「おばけドライブ」(ビリケン出版)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。エッセイ「てのひらのほくろ村」(架空社)がある。

12歳の誕生日に、第一次世界大戦前にタイムスリップ! 現代に戻るための方法を探すエミリー、そのキーマンとなるのは……?!『アインシュタインをすくえ! 時間と空間をこえた8日間』

アインシュタインをすくえ! 時間と空間をこえた8日間

作:コーネリア・フランツ訳:若松 宣子絵:スカイ エマ

出版社からの内容紹介

12歳の誕生日、NYへの船旅中のエミリーは、気づくと第一次大戦前の豪華客船にタイムスリップしていた! 同じく現代からきた男の子ふたりと、元の時代に戻る方法を探しますが…。その鍵をにぎるのは、あのアインシュタイン!?

親子2人、森で自給自足の生活を送るオクトーバーは父の入院で離れていた母と都会で暮らすことに。揺れる心が繊細に描かれる『わたしの名前はオクトーバー』

わたしの名前はオクトーバー

著:カチャ・ベーレン訳:こだま ともこ

出版社からの内容紹介

父親と二人、森の中で半分自給自足の生活をしてきた少女オクトーバー。自分たちが「野生」であることに誇りを持ち、巣から落ちたメンフクロウの赤ちゃんを大切に育てていた。が、11歳の誕生日に転機が訪れる。父親が大怪我を負って入院し、「母親とかいうひと」と都会で暮らすことになったのだ。フクロウも保護センターに預けなければならない。都会の暮らしに全力で反抗するオクトーバー。その中で、友だちと呼べる子に出会ったり、ロンドンでも「自然」を感じられるテムズ川に癒されたり、徐々に心がほどけていく。揺れる少女の心理が詩のような文章で繊細につづられる、2022年のカーネギー賞受賞作。

うずまく陰謀との最終対決、選ばれし者のための「サロモンの書」の謎が今、解き明かされる!「青の読み手」シリーズ最終巻『紫の女王』

紫の女王

著:小森 香折絵:平澤 朋子

出版社からの内容紹介

おれは世界の傷を癒すために、ここにいるんだ

北の大国ザスーンの皇帝となったアレクセイの企てに対抗し、<青の読み手>ノアのもとに、秘術の使い手たちが集まる。
ノアは異変が起きているという隣国に行き、魔王バルバヤーガを呼びだすが、魔界に引きこまれてしまう。バルバヤーガは、世界のすべてを滅ぼす石板のこと、その封印方法についてノアに漏らす。

一方、ラベンヌ王国の女王セシルは政敵の罠にかかり、謹慎の身となる。そこへ助けにきたのは、ひとの言葉をしゃべる白ネズミ・パルメザンであった。
陰謀のうずまくなか、アレクセイは、ラベンヌへ攻め入り王城へ魔弾を撃ちこむ。ノアはアレクセイと対決し、古代の大導師サロモンと裏切者レト、サロモンの書、その真実が明らかになる。
選ばれし者だけが読める魔法の本、サロモンの書をめぐるファンタジー最終巻。

【動画公開中】

文:竹原雅子 編集:木村春子