北村匠海がSUPER BEAVER・渋谷龍太を撮影──「渋谷さんは『偽ること』を、自分自身に対して許していない感じがある」クリエーションを共にした2人の対談

文芸・カルチャー

更新日:2023/3/10

渋谷龍太さん

時間をかけて遊んで、ゆっくりおたがいのことを知っていきたい

──おふたりとも、活動の幅をどんどん広げていらっしゃいます。おたがいに、「次はこんな表現が見たい」という希望はありますか?

北村 僕、ボーカリストはみんな、役者もできると思うんですよ。だから、仲のいいボーカリストには、ぜひ役者をやってみてほしいんです。いつか、アーティストが主演のオムニバスを監督してみたいんです。とくに渋谷さんは、一発撮りで歌うコンテンツ「THE HOME TAKE」がすごすぎて……僕らのまわりで、かなり話題になっていて。曲はもちろん、渋谷さん自身の表現も身を削っている感じがして、ヤバいくらいいい。MVを見ていても、感情表現がのっている感じがするし。なんというか、画が浮かぶんですよ。3分から5分のスーパーショートで、舞台は都会というよりも、一本道の風景。画としての違和感はありますが、その違和感がおもしろそうだなと思います。映画のセオリーとして、主人公は絶対に走りますから、渋谷さんが走っているところも見たい。兄弟ものも似合いそうですね、お兄ちゃんのイメージがあるからこそ、弟を演じたほうがおもしろいかも。

 ギャップを見たい、正反対のシチュエーションにしてみたいと考えるのは、僕がいつもそういう環境に置かれてきたからだと思います。「どうして自分がこの役に?」っていう挑戦と、おもしろさがいっぱいあった。でも案外、役にハマりすぎると、あまりにも自分が出ちゃって、「これでいいのか?」って思うんですよね。ギャップのある役柄を演じてハマったときのほうが、自然にやれて楽だし、腑に落ちるんです。

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渋谷龍太さん
北村さんが撮影した渋谷さん

──北村さんから出演のオファーがあったら、どうしますか?

渋谷 匠海くんに言われりゃ、チャレンジしてみたいとは思いますね! それこそ、芝居はやらないの、やってみたらと言われる機会は多いのですが、具体的な話はまだないし、本当にやったことがないからどうなんだろうと思っているんです。でも、できる、できないは別として、そんなふうに言ってもらえるなら、チャレンジしてみたいです。

 匠海くんは、カメラの前で芝居もできるし、ステージに立ったときも華がある人間だからこそ、完全な裏方を見たいなと思います。表に出せば絶対に映えるし光る、それが周知の事実だからこそ、「北村匠海」という名前だけで土台づくりをするところを見てみたい。監督を務めるっていうのは、まさにそういうことですよね。表にいる人間がどんな感情でいるのかわかっている人間だからこそ、裏に回ったときにおもしろいことになりそうです。

北村 時間をかけて、企画してみます。『東京リベンジャーズ』を走り切ったら、そういう絡み方ができてもおもしろいかもしれませんね。

──お互いにメッセージなどはありますか?

北村 とりあえず、飲みに行きたいですね!

渋谷 そうだね(笑)。なかなかスケジュールが合わなくて、実現してないもんね。

北村 お互いの居心地のいい場所に行きたいですね。僕がいつも行く、ごはんがおいしくて落ち着く店とか……渋谷さんに見てほしいものがたくさんあるんです。そこで、そういう話をしたいなって。

渋谷 ふつうにもっと遊びたいですね、もっと一緒に仕事もしてみたい。匠海くんは、掘れば掘るだけ出てくるような人だと思っているので、そういう部分を、時間をかけて見たいなと。だから、今すぐになにかを聞きたいとか、伝えたいっていうことはありません。時間をかけて遊んで、ゆっくりおたがいのことを知っていくというのがおもしろそうだと思うから……とにかく遊びたい、飲みに行きたいね。

しぶや・りゅうた=1987年5月27日生まれ。
ロックバンド・SUPER BEAVERのボーカル。2009年6月メジャーデビューするものの、2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを実施。2012年に自主レーベルI×L×P× RECORDSを立ち上げたのち、2013年にmurffin discs内のロックレーベル[NOiD]とタッグを組んでの活動をスタート。2018年4月には初の東京・日本武道館ワンマンライブを開催。結成15周年を迎えた2020年、Sony Music Recordsと約10年ぶりにメジャー再契約。「名前を呼ぶよ」が、人気コミックス原作の映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に起用される。現在もライブハウス、ホール、アリーナ、フェスなど年間100本近いライブを行い、2022年10月から12月に自身最大規模となる4都市8公演のアリーナツアーも全公演ソールドアウト、約75,000人を動員した。さらに前作に続き、2023年4月21日公開の映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』に、新曲「グラデーション」(4月19日(水)リリース)が、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』の主題歌に新曲「儚くない」が決定。同年7月に、自身最大キャパシティとなる富士急ハイランド・コニファーフォレストにてワンマンライブを2日間開催予定。

きたむら・たくみ=1997年11月3日生まれ。
4人組バンド・DISH//のボーカルとしても活躍。ドラマ「星降る夜に」(テレビ朝日系)に出演中。公開待機作に『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』(4月21日公開)、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(6月30日公開)、Netflixシリーズ「幽☆遊☆白書」(12月全世界同時配信)がある。

取材・文=三田ゆき

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