『桜Trick』の前にちょっと復習。これがガチの百合アニメの名作だ!

アニメ部

2013/12/27

 百合とは女性同士の同性愛を描いたジャンルだということは、みなさんご存知だと思います。近年のアニメ、マンガでは、この百合を積極的に扱った作品が多く登場し、百合ジャンルの認知度はさらに広がっています。

 そんな百合ですが、ジャンル内でもその内容によってさらに細かいジャンル分けがされています。まずは女子が同性のキャラに憧れやときめきを感じたり、ふたりきりになると手を握るといった軽めのイチャイチャしたスキンシップがあるもの。これはそのまま“百合”と呼ばれています。同名作品が由来で“ゆる百合”と呼ばれることもあるこのジャンルは、とっつきやすさから多くの作品が題材として扱っており、みなさんが触れる機会も多いと思います。そして、この百合がさらに進行したものがいわゆる“ガチ百合”と呼ばれるジャンルです。

 “ガチ百合”とはその名が示すとおり、ガチ(真剣、本気)な百合のこと。手を握るなどの軽めのスキンシップに留まっていた“百合”からもっと発展したもので、女子同士の恋愛描写はもちろん、相手を抱きしめる、キスをするといった性的な描写に関しても、はっきりと描かれることが多いです。それゆえに“百合”より抵抗感を持たれることも多く、アニメでガチ百合を取り扱った作品が作られることは少ないのが現状です。

 しかし“ガチ百合”アニメは少ないながらも非常に良質な作品が多く、一見の価値はあるものばかり。その代表的な作品をいくつか紹介して、ガチ百合アニメを少し振り返ってみましょう。

●『マリア様がみてる』


 今野緒雪の少女小説が原作の言わずと知れた百合作品の金字塔です。リリアン女学園高等部に通う福沢祐巳を中心に、高等部生徒会「山百合会」の面々によって紡がれるストーリーは多くのファンを虜にしました。また、最近のアニメでも年齢や立場の違う女性二人が好意を寄せ合うシーンのパロディーとして頻繁に登場するぐらい、アニメ界にも大きな影響を与えた作品です。この作品こそ、百合というジャンルを確立し、世間に広めた最大の功労者とも言えるでしょう。内容を知らない人でも、作品タイトルや『マリみて』という愛称を聞いたことがあるのではないでしょうか。

●『青い花』


 『放浪息子』などでも知られる志村貴子先生のマンガが原作のアニメです。鎌倉と江ノ電沿線の町を舞台に、別々の高校に通うふたりの女子高生を軸にした女性同士の恋愛、友情模様がときに淡く、ときに鮮やかに描かれています。この作品は女性間の性愛もしっかりと描かれており、女性同士の同性愛を真摯に描いています。この記事でこういうのもなんですが、筆者はこの作品に関してはガチ百合という言葉に押し込めていいのか少し迷うくらい、本当に名作ですよ。

●『ストロベリー・パニック』


 ゲーム・マンガ雑誌の電撃G’s magazineにて連載された読者参加企画を元にしたアニメ作品です。3つの女学院が点在するアストラエアの丘と、その3つの女学院の共同寄宿舎であるいちご舎を舞台にした、3人の少女による恋愛模様が描かれています。ちなみに、アニメ実況などで百合描写を表す用語としてすっかり定着した「キマシタワー」という言葉を生み出したのはこの作品です。

●『Candy☆Boy』


 ニコニコ動画にて配信された短編アニメシリーズです。タイトルにBoyとありますが、男性はほぼ登場しません。お互いに好意をもつ双子の姉妹、櫻井雪乃と奏が主人公の学園コメディなのですが、百合要素はかなり強め。実際の姉妹同士のガチ百合という背徳的な題材を取り扱っていますが、姉妹のイチャコラが激しすぎてそんなこと気にする必要もない作品でもあります。

●『神無月の巫女』


 このアニメはほかのガチ百合作品とはかなり毛色が違い、来栖川姫子、姫宮千歌音というふたりのヒロインと、大神ソウマという男子の三角関係を描いた愛憎劇です。しかも、バトル要素があって巨大ロボまで登場するというごった煮っぷり。普通なら女子達が男子を取り合う三角関係になりそうなところを、千歌音とソウマで姫子を取り合うという形にしている意外な展開の作品なのですが、特に千歌音の姫子に対する愛ゆえの行動はかなり凄いです。クレイジーサイコレズの走りと言えるのではないでしょうか。

 ここまで代表的なガチ百合アニメをいくつか紹介しましたが、前述したとおり、ガチ百合という題材を扱った作品が作られる機会はあまりないのが現状です。そんな中、2014年1月から開始する新番組で、久しぶりにガチ百合アニメが登場することとなりました。それが『桜Trick』です。


 高山春香と園田優というふたりの主人公の百合っぷりが描かれているこの作品ですが、なんと同名の原作4コママンガでは毎回キスシーンがあるガチっぷり。このキスシーンは作品の根幹部分にも関わるものなので、アニメでもしっかり描いていくそうです。『桜Trick』が良質ガチ百合アニメの仲間入りを果たせるかどうか、要チェックですよ。

 ガチ百合アニメの多くは良質な作品であると同時に、作品として純粋に面白いものもたくさんあります。食わず嫌いでそれに全く触れずにいるのはもったいないと筆者は思うのです。もちろん個人の好みという問題はありますが、ただ闇雲に拒絶するのではなく、少し歩み寄ってみるだけでも、新たな面白さを開拓できることがあるかもしれませんよ。

(文=ひろきら)