加藤浩次「本を選ぶときに一番信頼しているのは光浦さんからのオススメ」

あの人と本の話 and more

2015/6/5

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある1冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、舞台『イルネス製作所』の公演を控える極楽とんぼ・加藤浩次さん。かなりの本好きである加藤さんがもっとも信頼しているのは、長年番組を一緒にやっているあの人だったーー。

「本を選ぶときに一番信用しているのは光浦(靖子)さんの口コミですね。長年の関係でこっちから、“なんか面白いのある?”って聞くこともあれば、“カトさん、あの小説読んだ? 面白いよ”って薦めてくれるときも」

『サラバ!』を読んだ加藤さんが光浦さんに薦めたところ、当然のような顔で「読んだよ。だって私、西さんと知り合いだもん」と言われたそうだ。

「それまで西加奈子さんを知らなくて、はじめて読んだのが『サラバ!』だったんです。めちゃくちゃハマったよ、と光浦さんに言ったら、“カトさんみたいな男でもわかるんだ。男の人で共感する人ってあまりいないのかと思ってた”と言われたんだけど、確かに周りの連中に薦めたらハマる奴と、分からないって奴がいましたね。感情移入してみんな読んでたみたいだけど、俺は感情移入というよりも、西さんはどんな気持ちで書いたんだろうなと思いながら読みました」

『サラバ!』では主人公の歩と共に4歳上の姉の人生も描かれる。損得で生きる主人公の歩にイラつきつつも、波瀾万丈の生き方をする姉の行動には納得するものがあったという。

「目に見える成功をしていなくても、自分自身が納得していればいいんだってところで凄く共感できました。読後感がとてもよかったですね。どうしてこんな発想の物語を書けたのか、西加奈子さんの心理を知りたくなりました」

7月には舞台『イルネス製作所』の公演が控える。昨年はチケット発売開始1分で完売したという公演。今回、キャストはそのままに新作が上演される。前回は冒頭から加藤浩次、六角精児、矢作兼、マンボウやしろ、秋山竜次、吉村崇の6人がインド音楽をバックにダンスするというシーンでスタートしたが、今回も何かサプライズはあるのだろうか。

「中年のどうしようもないダンスね(笑)。今年はダンスとかはやめようってなっています。去年はけっこう練習して、できたつもりだったんですけど、見返したらキレがなくてね(笑)。今年はバランスよく、みんなのいいところを引き出していければなあと思っています。去年の脚本よりかなり練ったんですけど、どうなりますかね」

(取材・文=高畠正人 写真=下林彩子)

加藤浩次

かとう・こうじ●1969年北海道生まれ。上京後に出会った山本圭一とお笑いコンビ・極楽とんぼを結成。歯に衣着せぬ喋りで一躍人気者に。現在のレギュラー番組に『めちゃ×2イケてるッ!』『スッキリ!!』『なら婚』『この差って何ですか?』などがある。

 

『サラバ!』書影

紙『サラバ!』(上・下)

西 加奈子 小学館 各1600円(税別)

1977年、イランで生を受けた歩は、猟奇的な行動が目立つ4歳上の姉、社交的な母親、石油系の企業に勤める父親と共に、幼少期はイランー日本ーエジプトで暮らす。姉の奇異な行動に目をそらしつつ、無難に生きる歩だったが、家族の崩壊と共に自分自身を見失ってしまう。第152回直木賞受賞作品。

※加藤浩次さんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ7月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

舞台『イルネス製作所』

『イルネス製作所』出演/加藤浩次(極楽とんぼ)、六角精児、矢作 兼(おぎやはぎ)、マンボウやしろほか 東京グローブ座 7月4日(土)〜7月5日(日)
●加藤浩次が座長を務めた『イルネス共和国』から約1年半。前作と同じキャストが結集し、新作コント劇を上演。現在、明かされているのは、前作とは世界観がまったく違うということと、“今世紀、最大の発明。”を巡る物語になるということのみ。芸達者なキャスト陣が繰り広げる独特な世界観を楽しみにしたい。