金子大地「演技に対する自分なりの意見をもって、“ものづくりに参加したい”という気持ちが強くなってきました」

あの人と本の話 and more

2017/11/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、映画『ナラタージュ』の新堂慶役でも注目を集めた金子大地さん。今、新たに挑んでいるのは、連続ドラマ『明日の約束』で演じる“僕は、先輩のせいで死にます”という言葉を背負ってしまった難役。作品にかける意気込み、そして今年6作もの映画に出演し、変化を遂げた“役者意識”について伺った。

金子大地さん
金子大地
かねこ・だいち●1996年、北海道生まれ。「アミューズオーディションフェス2014」俳優・モデル部門を受賞し、翌年、ドラマ『カサネ』で俳優デビュー。今年は『ナラタージュ』『橋上ブルー』『逆光の頃』など6作もの映画作品に出演し、注目を集めている。公開待機作に、映画『探偵はBARにいる3』『デメキン』。

 本をよく読むようになったのは、役者の世界に入ってから、と金子さんは言う。
「小・中・高校と、僕はどこか文字から逃げていたところがあったんです。でも初めて台本をいただいたとき、これは心を決めて文字に向き合わなくてはいけない、と実感した。そこから本を読み始めるようになったら、読書ってこんなに面白いものだったのかと。気付くの遅いよって(笑)。でも今からでも遅くない、どんどん読んでいこうと思っています」

 おすすめ本で挙げてくれたのも、その言葉を立証するような大長編、町田康の『告白』。出演する作品で、原作のあるものはすべて読んでいるという。
「高校の演劇部員、新堂慶役を演じた『ナラタージュ』の原作では、映画で描かれていない彼のその後にも触れることができて。より深く、役の気持ちに寄り添うことができました」

 そうした役へのアプローチは、これまであまり表に出すことのなかった演技に対する自分の意見も、言葉にできる力となっていったという。
「ものづくりに参加したい、という気持ちが強くなってきました。その大きなきっかけのひとつは、今年公開された『橋上ブルー』という映画への出演。学生さんたちの自主制作映画で、現場では自分と同年代のスタッフさんたちと、どんどん意見を出し合っていったんですね。それがとても刺激的で新鮮だった。作品への関わり方の意識がすごく変わりました」

 その変化した意識は、現在、出演中の、ドラマ『明日の約束』にも生かされているという。
「現場で学ぶこと、教えていただくこともすごく多くて。第3話で、酷い言葉を投げつけられ、僕、演じる大翔がキレて、及川光博さん演じる霧島先生が彼を止めるシーンがあったのですが、及川さんが本番直前に、“止める僕の手、ふり払っていいからね”と、さりげなくおっしゃってくださったんです。その言葉で吹っ切れたのでしょうね、満足のいく、リアルな演技をすることができたんです。その後、及川さんに“よかったよ”と言っていただいたのもうれしくて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。こうした一場面、一場面、先輩方や同年代の役者、スタッフの方々から現場で吸収していくことはすごく多いですね」

 ひとりの生徒の自殺、その死の謎と彼の闇を追求していくストーリーは、これからどんどん加速していく。大翔はその謎に大きく関わっていく存在感ある役。金子さんの演技に注目が集まる。
「今、僕は演じることが楽しくて仕方ないんです。“みんなでいい作品にしよう”という『明日の約束』の撮影現場の、活気ある空気のなかで」

(取材・文:河村道子)

 

連続ドラマ『明日の約束』

連続ドラマ『明日の約束』

脚本:古家和尚 演出:土方政人、小林義則 出演:井上真央、及川光博、仲間由紀恵、工藤阿須加、佐久間由衣、金子大地ほか 毎週火曜 21:00~フジテレビ系
●高校のスクールカウンセラー・藍沢日向が直面した生徒の自殺。原因究明に動く日向が出会っていくイジメ疑惑、毒親など彼の抱えていた闇。そして自身もまた母との歪な関係に悩んでいた――ドラマオリジナルの骨太なヒューマンミステリー。