大人気シリーズ初の劇場版が公開!『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』原作・鈴木央インタビュー

アニメ・マンガ

2018/8/17

『週刊少年マガジン』で6年に亘り連載されている『七つの大罪』。累計2800万部超の人気シリーズがこの8月に初の劇場版作品を公開する。しかも、本作のシナリオは原作者・鈴木央さんの描き下ろしだ。これまで四大週刊少年誌での連載を経験し、本作についても超人的な仕事ぶりを見せる鈴木さんに、劇場版を入り口に『七つの大罪』の現在とこれからについて語ってもらった。

『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』キービジュアル

鈴木 央
すずき・なかば●福島県出身。1994年に「Revenge」で集英社『週刊少年ジャンプ』の新人漫画賞であるホップ☆ステップ賞で佳作を受賞しデビュー。代表作に『ライジングインパクト』『金剛番長』など。現在、講談社『週刊少年マガジン』にて『七つの大罪』を連載中。

 

劇場版のためにネームを290ページ分描き下ろしました

『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』の制作は原作者・鈴木央による構想から始まった。

「劇場版をつくるのでネームを描いてもらえませんか?とアニメ製作サイドから依頼があったんです。どういう客層に向けて、どんな要素を入れたいのかをざっくり聞いて。週刊連載の合間にネームを描きました。それをもとに今回のアニメーションを作っていただいています」

 なんと、描き下ろしたネームのページ数は290ページ超。単行本1冊分よりも多いページ数だ。作品のベースを原作者本人が手掛けたことで、原作マンガと劇場版がリンクしている作品になった。

「劇場版に登場するソラーダとエルラッテは、メリオダスとエリザベスにそっくりなキャラクターなんです。それを出すときに、連載前に執筆した読み切り版を思い出しまして。そのときに描いたメリオダスとエリザベスは髪型も違うし、性格も違う。読み切りを読んだことのあるファンが楽しんでもらえればいいなと思って登場させることにしました」

『七つの大罪』の読み切り版は、連載の約1年前に執筆された(初出『週刊少年マガジン』2011年52号)。ストーリーは連載版の第1話に近いものになっているが、メリオダスは真面目で、エリザベスはガサツな性格に描かれている。

「読み切りを描いたあとに、連載用の第1話のネームを10種類ぐらい描き直しているんです。読み切りの段階で編集長から『これでOK』と言われていたんですが、読み切りよりも面白いものになれば文句はないだろうと。話の流れも違うし、キャラクターも変えています。やっぱり連載になると、これから毎週描いていくことに耐えられるキャラクターでなくちゃいけない。何度も試して、より面白いキャラクターになるように磨きをかけていきました」

 連載版のメリオダスはひょうひょうとした性格に。エリザベスは内気な少女となった。

「読者には毎週、気楽に読んでいただきたいと思うし、主人公とヒロインに興味をもっていただきたい。それでひょうひょうとしつつも、謎をもった主人公像になりました。そうやってメリオダスとエリザベスについては細かく考えていましたが、ほかのキャラクターについてはあえて決め込まずに連載を始めました。当初、バンは真面目でカッコいい、ギルサンダーみたいなイメージだったし、ディアンヌも担当の編集さんから『2~3メートルで』と言われてもいました。でも、もっと面白くしようと思って、いまのバンやディアンヌができたんです」

 原作マンガ『七つの大罪』の連載が始まったのは2012年。現在、連載は270話を超え、単行本は32巻となる長期連載作品となった。

「週刊連載はあらかじめ決め込んでいると、読者に先を読まれてしまうものになりがちなんですよね。だから、毎回ネームを描くときに、担当編集が『え? 次回はどうするんですか?』と聞きたくなるような展開やアイデアを入れているんです。担当さんは展開を予想しながらネームを読んでくれる最初の読者ですし、彼らが驚くようなものになっていないと、読者を驚かせることなんてできない。担当さんが『面白い』と言っても、もっと面白いものにしようと全部描き直すこともあります」

 毎週新しいエピソードを描き下ろしていく中で、新たなアイデアを加えていく。一体いつ新しいアイデアを考えているのだろうか。

「ペン入れ(清書)をしているときってヒマなんです、頭が(笑)。ペンを動かしながら、頭の中では次の話を考えているんですね。担当編集との打ち合わせとは違うけれど、こっちのほうが面白そうだなと思ったらメモっておいて。それで次の話数を描く。週刊連載で重要なものは瞬発力なんです」

『七つの大罪』がアニメ化されて4年。先日まで第2期「戒めの復活」を放送。原作の196話までがアニメ化された。

「アニメはアニメ。原作とは別物だと思っています。アニメは多くのスタッフによるチームプレイですし、マンガは個人競技みたいなもの。アニメのアフレコを見学させていただくこともあるんですが、アフレコ現場にお邪魔しても、僕は自分の仕事をしていることが多いので結局アフレコを見ることができなかったりします(笑)。ただ、原作でメリオダスのセリフを描くときは、梶(裕貴)さんの声でセリフが聴こえてくることがありますね。メリオダスっぽいセリフを考えるときに、声からイメージすることもあります」

『七つの大罪』は現在、魔神王直属の精鋭部隊〈十戒〉をめぐる物語に突入中。物語はクライマックスへ迫っていく。

「当初は3部構成とお話ししていたんですが、それは変わってきていて。ヒロインと主人公の話を最後まで描ききりたいと思っています。だいたい全部で40巻前後。あと1年くらいの連載になりそうです。結末は最初から決めていて、少年誌の作品にふさわしい大団円になると良いなと思っています。そこまでたどり着いたら、次は続編的な作品を描きたいなと思っているんですが……それは編集部の判断次第ですね。もしかしたら次は野球マンガかもしれない(笑)」

取材・文:志田英邦

『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』

『劇場版 七つの大罪 天空の囚われ人』場面写真

〈七つの大罪〉の活躍によりリオネス王国に平和がもたらされたころ。幻の食材・天空魚を探していた団長メリオダスと豚のホークは、雲の上にある天空宮へたどり着く。そこには翼をもつ天翼人たちが暮らしていた。そのころ天翼人のソラーダがエリザベスのもとに現れる。天空宮に封じられた魔獣をめぐり、魔神族との戦いが始まる。
原作:鈴木 央/総監督:阿部記之/監督:西片康人/脚本:上江洲 誠/キャラクターデザイン・総作画監督:佐々木啓悟/プロップデザイン:宮川治雄/色彩設計:茂木孝浩、岡崎菜々子/美術監督:伊東広道/美術設定:成田偉保/撮影監督:木村俊也/CG監督:軽部 優/音楽:澤野弘之、和田貴史/音響監督:若林和弘/制作:A-1 Pictures/配給:東映

ソラーダ 雲の上にある天空宮に暮らす天翼人の少年。魔神族から天空宮を守るため、伝承のオシロ様を探している。メリオダスにそっくりな風貌。

エルラッテ 天翼人の少女。掟を破り地上へ行ってしまったソラーダの帰りを待っている。姿はエリザベスに似ているが、中身は勝気なおてんば娘。

ベルリオン 天翼人の命を狙う、強靭な魔神族の集団〈黒の六騎士〉のリーダー。その強さは、魔神王直属の精鋭部隊〈十戒〉に次ぐといわれている。