Maison book girlメジャー2ndアルバム『yume』インタビュー①――「ブクガの“自己紹介”」

エンタメ

2018/11/20

 11月21日にリリースされるMaison book girl(以下、ブクガ)のメジャー2ndアルバム、『yume』。ブクガは2014年に活動をスタートし、2016年11月に1stシングル『river (cloudy irony)』でメジャーデビューを果たした。音楽家・サクライケンタによる、現代音楽とポップミュージックを融合した楽曲群と、メンバー4人がステージ上で繰り広げるパフォーマンスは徐々に注目を集め、「一定の支持」を獲得してきた。この「一定の」というワードが、『yume』を語る上でのキーワードとなる。

『river (cloudy irony)』から2年、メンバーの歌やダンスの技量は飛躍的に向上し、自信を深めながら、サクライの楽曲に呼応して楽曲の力をさらに引き出すパフォーマンスを見せている。「夢」をコンセプトに掲げ、全21曲の力作を作り上げたサクライケンタの音楽は、これまで以上に鋭さとポピュラリティを獲得している。『yume』は、ブクガという音楽集団を拡張する力を携えた、傑作である。このアルバムが完成した今、「一定の支持」でとどまっている場合ではない。ぜひとも多くの人に触れてもらいたい。

 今回、Maison book girlの『yume』を知ってもらうにあたり、3本のインタビューをお届けする。第1回は、ダ・ヴィンチニュースには初登場となるメンバー4人のパーソナリティを紹介したい。確かな成長を実感し、自信が垣間見える彼女たちの言葉からは、今後ブクガが迎える躍進の予感が伝わってくる。

自分の体で体現できる範囲が広がったので、それを実際に選択することができるようになった(和田)

──Maison book girlはメジャーデビューしてからもうすぐ2年になるわけですけど、これまでの活動で自分自身のここが変わった、成長した、と感じている部分について教えてもらえますか。

コショージ:ライブに優劣をつけるわけではないんですけど、「このライブはマジでやらなきゃいけないやつ」みたいなことを感じるようになりました。ワンマンも緊張しなかったんですけど、今はそういう感じではなくなったかもしれない。

──それを意識した結果、どうなるんでしょうね。ここぞのときに力が出る、とか?

コショージ:結果がどうなるかはいつもわからないんですけど、ライブ後にすごくネガティブになる(笑)。「できなかった……」みたいな。「大丈夫だったよ」って言われても、そんなにできなかったわけではなかったとしても、なぜかそういう精神状態になってしまうんですよ。

──自分に求めるものが高くなったということでいいのかな?

コショージ:そうかもしれないですね。たぶん、ライブ中は冷静ではないと思うんですよ。「こうすればよかった」とかいろいろ考えてる気はするんですけど、ライブ中はわーってなっていて、忘れてるんです。

井上:わたしは、余裕が持てるようになりました。ずっと、頑張るだけだったけど、たぶん技量が上がったことによって余裕を持てて、いろんなことを考えたり、できるようになったと思います。

和田:わたしも唯ちゃんと似てるんですけど、ダンスや歌でできることが増えました。以前は、「ひとつの正解をめがけてがむしゃらに頑張る!」みたいな感じだったんですけど、今は「この曲、この場面にはこっちのニュアンスと別のニュアンスがあるけど、どっちがよりよいパフォーマンスなんだろうか」ということを考えられるようになったと思います。自分の体で体現できる範囲が広がったので、それを実際に選択することができるようになった感じですね。

矢川:2年間、日に日に歌うのが楽しくなってきました。あと、2年前よりも「自分がMaison book girlなんだ」って自信を持って思えるようになった、というか。今回のアルバムの曲でも落ちサビをひとりで任されてたりして。前は「どうしよう、緊張するな」「ちょっと恥ずかしいな」と思ってたところでも、最近は「もっとやりたい!」って思うようになって。「ここはわたしを見てください! わたしのパートです!」みたいなことを恥ずかしくなく思えるし、ライブでもできるようになったと思います。

──どうして恥ずかしくなくなったんだろう?

矢川:なんだろう? でも、時が経って、たくさんライブもしてきたし、この3人と一緒にやってきた自信がついたんだと思います。

──では、Maison book girlはダ・ヴィンチニュースではじめましてなので、自己紹介的な意味も兼ねて、メンバー同士で「この人のここがすごい!」と思うポイントを挙げてほしいんですけども。

井上:矢川葵さんの歌声がいいと思います!

矢川:やった~(笑)。

和田:そしてかわいい!

コショージ:かわいい! あと、芯が強いと思います。

井上:自分の見せ方をわかっている。

矢川:虫が殺せる。

──自己申告が出た(笑)。

コショージ:(笑)でもね、ひとり虫が殺せる人がいることって大事なんですよ。

──「井上唯のここがすごい」。

和田:唯ちゃんは、見るたびにダンスがうまくなっててビックリする(笑)。

井上:おっ、やった。

矢川:ラジオを始めて思ったんですけど、ツッコミが的確(笑)。唯ちゃんのおかげでちゃんと話がまとまって、次の話題に行けることが多い気がします。

和田:うんうん。

コショージ:努力家ですよ。そこがすごいと思う。

和田:人としてちゃんと信頼できる(笑)。いい人。人に優しくできる。

矢川:他の3人が優しくない、みたいにならない?(笑)。

和田:他の3人は素直だから。

井上:わたしがすごい我慢してるみたいじゃん(笑)。「いいヤツ」って書いておいてください。

──はい。では、「和田輪のすごいところ」。

井上:メカに強い! わたしが携帯を替えて、アプリの設定がわからなくなっちゃったんですけど、和田に相談したら一発でできて。「すげえなあ!」って尊敬しました。

矢川:シンプルに、頭いいよね。

和田:まあね(笑)!

コショージ:なんか、論理的というか……利己的?

和田:利己的は自己中って意味だよ?(笑)。

コショージ:そうなんだ? ははは!

矢川:理論的って言いたかったの?

コショージ:そう、理論的(笑)。

井上:(笑)基本おバカな4人なんですけど、和田は取材のときも、賢い言葉で話してくれます。

コショージ:なんか、「たぶんこの人、メガネかけてるだろうな」って感じがするんだよね(笑)。姿が見えなくても、「これ絶対メガネかけてるな」って。

和田:わからんでもない、というかすごいわかる(笑)。

矢川:メガネキャラとして大成功だよ(笑)。

コショージ:身体から精神がポンと出てきたとしたら、それも絶対メガネかけてるじゃん。

和田:ははは。精神がポンて出たとき、絶対和田輪の形してるね(笑)。

コショージ:絶対そう!

井上:完成してるんだもんなあ。すごいことだよ。

──「コショージメグミのすごいところ」。

矢川:コショージさんは面白い。

井上和田:ははは。

矢川:なんだろう、ほんとに……クラスが一緒だったら絶対に仲よくなれなかっただろう人が、同じグループになって、こんなにも毎日ゲラゲラ笑いながら一緒にいられるのが、不思議だなって思う(笑)。

和田:すごいところは、コミュ力。社会性? じゃないな、社交性。社会性はない(笑)。

井上:社会性はない! 社会性がない代わりに、想像力と右脳が発達してる。昨日もラジオで言ったんですけど、お布団って冬用と夏用で分けるじゃないですか。夏は暑いから羽毛布団とか片づけますよね。その話をしたら、「え、布団って2個あるの?」とか言ってて、意味がわからなくて。

和田:どこで育った(笑)。

井上:森とかで育ったんじゃない?

コショージ:そうなんですか? みんな、布団は2個なんですか?

──うん。

コショージ:そうなんだ!

井上:社会性とかのレベルじゃないんだけど。でも、布団が2個あることを知らない代わりに、ブクガのためにできることがたくさんある。だからいいんです。

コショージ:よかったあ、布団が2個あること知らなくて。

和田:どっちも知ってたほうがいいけど(笑)。

──ここまでの話だと、コショージと各メンバーとの間に真逆の矢印が成立してる気が(笑)。

コショージ:ははは。ヤバっ!

井上:でも、ないものとあるものを補い合ってますよね。

和田:右脳と左脳がないと、右手と左手は動かないからね。

井上:今の、めっちゃメガネかけてたよね(笑)。

コショージ:かけてたよねえ~。そう、和田が寒い日に急にジャンプし始めて、「なんだ、どうした?」って言ってたら――。

和田:「運動エネルギーを、熱エネルギーに変換しています」と言いながらジャンプしてました。

井上:ははは! はぁ~、これ一生面白いわ。

このアルバムで大きな一歩が踏み出せた気がする(井上)

──メジャー2ndアルバムの『yume』、とても素晴らしい内容ですね。

井上:おっ、やったあ!

コショージ:最近のブクガの感じ、どうですか? きっと、このアルバムで少し変わってると思って。

──でも、ブクガという音楽集団の芯の部分は変わってないと思う。自己紹介を含めてお互いのすごいところを話してもらったけど、2年前から4人の内面がものすごく変わったわけでもない。だけど表現者としては変わっているはずで、そうでないと、この2ndは素晴らしいアルバムにはならなかったのではないか、と。『yume』をきっかけに、ブクガの音楽はいろんな人に届く、そう感じさせる1枚ですよ。

コショージ:ほんとですか? 嬉しいです。

井上:たぶん、今までもシングルを出すたびに「ブクガのできることがまたひとつ広がった」みたいな感覚はあったんですけど、このアルバムで大きな一歩が踏み出せた気がします。今までと雰囲気がちょっと違う曲も何曲かあるけど、聴いていると最終的には「やっぱりこれがブクガだな」ってなるので、成長を感じられる1枚だと思います。

矢川:わたしも、すごく好きなアルバムになったな、と思ってます。ブクガのよさも残しつついろんなことを表現したいって、曲を出すたびにずーっと思ってきて。今回はアルバム1枚、インストを入れて21曲になっても、ちゃんとブクガのパッケージ感は守りつつ、人にオススメしやすいアルバムになりました。今まで以上に、いろんな人に「聴いてね」って言いたくなるアルバムになったと思います。

和田:純粋に、4人とも歌がうまくなったな、と思っていて。サクライさんの曲は複雑で、それに下手な女の子の歌が乗ってると「ブクガは4人ともやらされててかわいそう」とか言われることもあったりしたんです。だけど今回は4人の自覚というか、自発的なものが出ていて、曲としてのまとまりが増したのかな、と。世間的に受け入れられる曲の形ができてきたのかな、と思います。

──その通り。

和田:あざっす!(笑)。

コショージ:このアルバムのレコーディングは、サクライさんもわたしたちも、やっていくごとに「もっといい歌が歌えるんじゃないか」って考えていた気がします。今までだったら「これでOK」だったところで、「もっといけそうな気がする」みたいな気持ちで全員がやっていたのかな、と思っていて。曲との向き合い方や、自分に与えられたパートのニュアンス、そこで出す感情についてみんなが考えながらやっていったから、いいものができたのかな、と思いました。

Maison book girl『yume』インタビュー②「ブクガ、進化の理由」はこちら

取材・文=清水大輔  写真=小野啓