名古屋人が「でらうま!」と言う名古屋めしって? 名古屋料理研究家に聞いて作ってみた!

暮らし

更新日:2019/4/19

 味噌煮込みうどんや小倉トーストなど、何かとインパクトの強い食文化を持つ印象の「名古屋」。今春はバリバリの名古屋弁の女の子が登場する「八十亀ちゃんかんさつにっき」など名古屋を舞台にしたアニメもスタートし、今後ますます「名古屋」の魅力は広まっていきそうだ。

 しかし、筆者のように名古屋という地に縁なく過ごしてきた人にとっては、やっぱりちょっと「気になるけど実際どんな味?」「それ本当に名古屋でメジャーなの?」…と、どこか少し現実味がない。そんな人にオススメしたいのが、『でらうまカンタン! 名古屋めしのレシピ』(Swind、神凪唐州/新紀元社)だ。

『でらうまカンタン! 名古屋めしのレシピ』(Swind、神凪唐州/新紀元社)

 本書は、名古屋生まれ名古屋育ちの名古屋料理研究家で作家のSwindさんらが教える「名古屋めし」専門のレシピ本。名古屋めしのレシピが多数掲載されているのはもちろん、背景にある歴史や文化から、名古屋圏民の冷蔵庫の中身まで丁寧に紹介されている。名古屋で育ち、名古屋について研究してきたSwindさんだからこそのリアリティがあり、見て読むだけで一気に名古屋が身近になる。

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 そんな名古屋を愛してやまない著者のSwindさんに、オススメの名古屋めしやその魅力を聞いてみた。

――「名古屋めし」で、Swindさんが特になじみ深いと感じるものは何ですか?

Swind: 正直に言えば全部なじんでいますし、普段からどれも大変よく食べていますが、強いて選ぶなら、「味噌かつ」「鉄板イタリアン」「鬼まんじゅう」の3つです。とんかつを食べるときに味噌という選択肢がないのは考えられないし、鉄板イタリアンは名古屋の喫茶店文化とともに受け継がれた魅力的なメニューです。また、スイーツではういろうや小倉トーストが目につきますが、“名古屋の家庭の甘味”というと鬼まんじゅうかなと思います。

――名古屋以外の場所に行った際、「なんでこれないの?」って思ったものはありますか?

Swind: いわゆる「喫茶店」が本当に見当たらないのに驚きました。どこで時間調整すればいいんだろうと…(汗)。 あと、スーパーに「チューブ入りの味噌だれ」が売ってないのもびっくりでした。

――オリジナルで「名古屋めし」っぽいオススメ料理はありますか?

Swind: 本書に記載していないオリジナル料理だと「手羽先の辣子鶏(らーずーじー)風」です。手羽先を揚げてからピリ辛に炒めたスパイシーな一品です。オリジナルですが、かなり名古屋感が強いかなと自分でもお気に入りです。ナゴレコ様の名古屋めしレシピとして掲載しています。

「手羽先アレンジ第2弾!刺激的な辛さがヤミツキになる『手羽先の辣子鶏風』」
https://nagoya-meshi.com/recipe/razushi

――最後に、名古屋めしにあまりなじみのない人、ダ・ヴィンチニュースの読者に向けてメッセージをお願いします。

Swind: 家で作る名古屋めしの魅力は「食材にこだわらなくても美味しいご飯が作れる」ということ。食材や調味料の組み合わせによる「足し算」で味を生み出す名古屋めしのテクニックを使えば、スーパーの特売品でもとっても美味しいご馳走に早変わりしちゃいます。

 また、アレンジの幅が広いのも名古屋めしの特徴ですね。特に「チューブ入りの味噌だれ」「あんかけソース」「台湾ミンチ」「小倉あん」の4つの名古屋めし的アイテムがあれば、いつもの料理があっという間に美味しくアレンジできます。お手軽、簡単、そしてお値打ち。三拍子そろった「名古屋めし」は、毎日の料理の強い味方となること請け合いです!

■「わらじ味噌カツ&基本の味噌だれ」(本書pp.26~27)を作ってみた!

 Swindさんが特になじみ深いと答えた「味噌カツ」がとても気になったので、本書のレシピを見ながら実際に作ってみた。

 まず半分に開いた豚ロース肉に塩コショウで下味をつけ、小麦粉、卵、パン粉の順で衣をつけて揚げる。あとはそれを食べやすく切ってお皿に盛りつけ、豆味噌、砂糖、本みりん、日本酒、顆粒出汁を加熱し練り混ぜて作ったタレをかければ完成。

 色が濃いので「辛いのでは…?」とも思ったが、砂糖やみりんで甘めに味つけしてあるので、むしろこのタレが豚肉と衣のうまみを引き立ててくれる。また、キャベツとの相性もとても良い。実は、味噌カツを初めて食べたのだが、これはぜひともリピートしたい味。余った味噌だれを保存しておけば、野菜スティックや炒めものをする時なんかにも重宝しそう。

 この『でらうまカンタン! 名古屋めしのレシピ』には、ぜひとも自身で読んで感じてほしい名古屋の魅力、覗いてみたいリアルな生活がぎゅっと凝縮されている。名古屋や美味しいものに興味がある人は、読んで損はない1冊。筆者も、実際に名古屋で名古屋めしを堪能してみたくなった。

取材・文・調理=きこなび(月乃雫)