“いま最も泣ける映画”『殺さない彼と死なない彼女』公開! 恒松祐里×堀田真由×箭内夢菜×ゆうたろうが思う、本作の魅力

エンタメ

2019/11/15

 11月15日(金)に待望の実写映画が公開された『殺さない彼と死なない彼女』。同名タイトルの原作はTwitter発のマンガ家・世紀末さんのデビュー作であり、「いま最も泣ける4コママンガ」と、若者を中心に爆発的な人気を集めている。

 メインストーリーを飾るのは、〈殺さない彼〉と〈死なない彼女〉のふたり。常にぶっきらぼうで「殺す」が口癖の彼と、情緒不安定ですぐに「死ぬ」と口走る彼女は、周囲に馴染むことができず浮いてしまっている。一見、交わることのなさそうなふたりだが、ひょんなことをきっかけに、徐々にその距離が縮まっていく。そして芽生える恋心。けれど、その先に待っていたのは、とても残酷な現実だった――。

 そのラストエピソードを目にしたとき、世紀末さんがタイトルにこめた本当の意味を知ることができるだろう。同時に、誰もが胸を締め付けられ、涙するはずだ。

 そんな衝撃作の実写化で主演を務めるのは、間宮祥太朗さん、桜井日奈子さんのふたり。〈殺さない彼〉=小坂れい、〈死なない彼女〉=鹿野ななというキャラクター名を与えられ、原作の世界観をそのまま表現している。

堀田真由さん(堀田きゃぴ子役)、恒松祐里さん(宮定澄子役※原作では地味子)

 また、本作では、小坂×鹿野の他に、あと2組のコンビの不思議な関係が描かれる。ひとつは宮定澄子(原作では地味子)と、堀田きゃぴ子(原作ではきゃぴ子)のコンビ。いつも大人しくて静かな地味子と、アイドルのように可愛らしいきゃぴ子は正反対のようで、実はお互いを思い合っている。そのチグハグな友情はどのような結末を迎えるのか。

ゆうたろうさん(宮定八千代役)、箭内夢菜さん(大和撫子役)

 そしてもうひとつのコンビが、宮定八千代(原作では八千代)と大和撫子(原作では君が代)。撫子は常に全力で八千代に想いを伝える。けれど、八千代はその想いを受け取らない。「嫌なものは嫌」「君には僕よりいい人がいるよ」と、撫子の好意を跳ね除けてしまう。どうして八千代は頑なに撫子の想いを拒否するのか。そこには恋で傷ついた過去のトラウマが関係していた……。

 メインとなる小坂×鹿野コンビはもちろんだが、映画では、ぜひ地味子×きゃぴ子、八千代×撫子の関係がどう変化してくのかも追いかけてもらいたい。そこでダ・ヴィンチニュースは特別に、地味子、きゃぴ子、撫子、八千代、を演じた、恒松祐里さん、ゆうたろうさん、堀田真由さん、ゆうたろうさんの4人に本作の魅力について語り尽くしてもらった!

■個性豊かなキャラクターを映像にするのは苦労した

――原作は独特の世界観で人気を集めていますが、その実写化となるとプレッシャーも大きかったのではないかと思います。役作りではどんなことを心がけたのか教えてください。

ゆうたろう:元々、Twitterを通して世紀末さんの作品のことは知っていたんです。でも、タイミングがなくて読めていなくて、八千代くんを演じることが決まってから初めて読みました。そしたら、自然と八千代くんがお気に入りのキャラクターになりました。撫子ちゃんからどんなに好き好き言われても、「僕は好きじゃない」ってスパッと斬るんですよ。

箭内夢菜(以下、箭内):本当にバッサリだよね(笑)。

ゆうたろう:そう。でも、物語が進むにつれて「デレ」の部分が出てきたり、ちょっと小悪魔っぽいところが見えてきたりもして、すごく面白いキャラクターだなって。ただ、それをどうやって映像にすればいいんだろうって迷ったんです。でも、監督は、本読みの段階から丁寧に相談に乗ってくださって、徐々にイメージを掴むことができました。

堀田真由(以下、堀田):本読みの相手もしてくれたよね。

ゆうたろう:そのおかげで、原作の世界に溶け込めた気がする。

――そんな八千代くんの相手となる撫子は、なかなか難しいキャラクターだったんじゃないですか?

箭内:私が演じた撫子は、原作を読む限りでは、結構グイグイいく強めの子なのかなって思ったんです。でも、口調が「~だわ」「~なのよ」っておしとやかだったので、あまり強い感じを出さずに、ちょっと柔らかい子でやってみようかな、と。それを監督とゆうたろうさんにも伝えたら、賛成してくださって。

ゆうたろう:ふわふわしている子のほうがしっくり来たんだよね。でも、そんな子に対して「好きじゃないよ」とか言うのは、ちょっと心苦しかった(笑)。

箭内:それでもめげずにアタックするんだよね。そこは撫子になりきって演じたから大丈夫(笑)。

恒松祐里(以下、恒松):夢菜ちゃん、完全に撫子になりきってたから、普段の会話でも口調が移ってたよね!

堀田:そうそう、「~よね」とか言ってて、面白かった(笑)。

箭内:この作品に登場するキャラクターはみんな癖が強いから、どうしても引っ張られちゃうんだよね。

――恒松さんと堀田さんはどのように役作りしたんですか?

堀田:きゃぴ子はとにかく可愛い子で、原作だと瞳がキラキラしていて「きゅるりん」って描かれてるんですけど……、監督からまさに「きゅるりんってしてください」って言われて。これまでたくさん演技指導を受けてきたのに、「きゅるりん」は初めて言われた言葉だったので、これは難関だと思いました(笑)。

ゆうたろう:それは難しいよ!

堀田:ただ、地味子との間に芽生える、LOVEほどじゃないけどLIKEよりは大きいっていう不思議な絆を表現するのは、特に心配してなかったんです。祐里ちゃんとは別の作品で共演したこともあったし、そもそも同じ事務所に所属しているので元々仲がよくて。だから、祐里ちゃんとだったらできる、と思ってました。

恒松:私もそう思ってた! まるで正反対なきゃぴ子と地味子の関係を表現するのに、真由ちゃんが相手だったら安心だなって。きゃぴ子と地味子はお互いのいいところも悪いところも認め合っていて、心の奥底でつながってるんだよね。

箭内:素敵な関係だよね!

恒松:そうなの! 百合というわけじゃないけど、ただの友情でもない不思議な距離感。それを真由ちゃんと演じられて、本当に幸せだった。あれから真由ちゃんのインスタばっかりチェックしてるし。

ゆうたろう:完全に地味子になってるじゃん(笑)。

■「本当の愛とはなにか」を知るヒントになる作品だと思う

――世紀末さんの原作がここまで厚い支持を集める理由はなんだと思いますか?

恒松:一番は、世紀末さんの素敵さだと思います。それが作品ににじみ出ているのかなって。

ゆうたろう世紀末さんって、誰よりも原作のファンなんだよね。スケッチブックにひたすら好きなことを描いていたら、それがそのまま出版できたって仰っていて、作品にこめる愛情がすごいんだなって感じたよ。

箭内:心がやさしい人だよね。

堀田:映画が完成して初号の試写があったとき、誰よりも泣いていて、私たちに「ありがとうございました」って言ってくれたよね。あんなに腰が低くて愛情深い方、初めて会った気がする。

ゆうたろう:だからこそ、こんなに素晴らしい作品が描けたんだと思いますね。

――そんな世紀末さんが想いをこめた小坂と鹿野との関係を観て、どんな風に感じましたか?

恒松:私は三度泣きました。小坂と鹿野は少しの期間しか一緒にいなかったけど、お互いの穴を埋め合うことができる運命の相手だったんだなって思って……。自分の嫌いな部分を相手は好きでいてくれて、それって家族じゃないとなかなかできないじゃないですか? 他人だとどうしても許せなかったりするし。それなのに、お互いを補完し合えるふたりは、本当に運命だったんだと思います。

ゆうたろう:言葉を交わさなくても通じ合っている感じもしたね。試写ではゆりちゃん以外にもみんなが泣いてて。

箭内:ストーリーを知っていても泣けたね。相手のことを一番に思うのって、すごく素敵なことだなって思ったよ。

堀田:うんうん。そして、命の大切さについても考えさせられるよね。小坂と鹿野は「殺す」とか「死ぬ」とかすぐ口にするけど、それがどんな意味を持つのか、最後まで観たときにグッとくるの。

――みなさん、とても感動したんですね……! では、本作をどんな人たちに観てもらいたいか教えてください。

ゆうたろう:いまの10代、20代の人たち、特に学校や会社での人間関係に苦しんでいる人たちに観てもらいたいです。僕もそうでしたけど、何気ないシーンに出てくるセリフがすごく刺さるんですよ。そのセリフの重さを感じながら、作品のメッセージを受け止めてもらえたらうれしいです。

箭内:私は、自分のことをうまく表現できない人に観てもらいたいかな。私自身がそうなんだけど、感情をうまく言葉にできなくて、それを相手に伝えようとすると考えすぎてしまうところがあるの。でも、撫子みたいに直感で動くことも大事で。彼女の姿から勇気をもらうことができたから、それを感じ取っていただけると、演じた甲斐があるのかなって。

堀田:そうだね。いろんなキャラクターが出てくるから、きっと誰かしらに感情移入できると思うんだ。「あ、この子の気持ち、味わったことある!」って。そんな不思議な体験をしてもらいたいな。

ゆうたろう:あとは、映像も音楽もいいよね!

堀田:そうそう! ワンカットで撮影しているシーンが多いから独特の表現になってるし、奥華子さんの音楽もマッチしてる。それを楽しんでもらいたいね。それと、この作品はひとりで観に行ってもらいたいかも。

箭内:観たあとにじっくり考える感じ?

堀田:うん。誰かと感想を言い合う必要はなくって、ひとりでどんなメッセージを受け取ったのかをゆっくり考えてもらえるとすごくいいと思う。

――なるほど。では、恒松さん、トリをお願いします!

恒松:えっと……、私は「愛とはなにか」で悩んでいる人たちに観ていただきたいです。本当の愛とはどんなものなのか、愛すべき人とはどんな人なのか、そんな風に思い悩んでいるとしたら、きっとこの作品がヒントになるんじゃないかなって思います。

取材・文=五十嵐 大 写真=花村謙太朗