「M-1優勝に向けた、2年間の集大成を見せます」オズワルドに「ルミネtheよしもと」での初単独ライブについて聞く!

エンタメ

公開日:2021/3/30

オズワルド
オズワルド 畠中悠(はたなかゆう/左)伊藤俊介(いとうしゅんすけ/右)

 2019年の「M-1グランプリ」にて、ノーシードからの決勝進出で“ダークホース”の異名をとったお笑いコンビ、オズワルド。2020年も、「ABCお笑いグランプリ」にて準優勝、TBSラジオ「マイナビ Laughter Night」にて第6代目グランドチャンピオンを勝ち取り、年末の「M-1グランプリ」では2年連続で決勝に進出するという快進撃を続けてきた。

 そんな彼らが、東の笑いの聖地「ルミネtheよしもと」での初の単独ライブを開催する。新型コロナウイルスの感染拡大対策で一度中止となりながらも、ブラッシュアップしての開催が決まったライブ『あたらしいとうきょう』──そのライブに向けた、オズワルドの意気込みとは? お話をうかがった。

advertisement

タイトルはそのままに、ネタを磨いた単独ライブ。「去年以上のものを作れるように」

オズワルド畠中

――単独ライブ『あたらしいとうきょう』を間近に控えているオズワルドさんですが、昨年予定されていたライブと、タイトルが同じですね。

畠中悠さん(以下、畠中):昨年は、一旦中止ということになったんですよ。コロナの流行が落ち着いたら、またあらためてやりたいなと思っていたのですが、お客さんを1年も待たせてしまいましたからね。とはいえ、無観客にはしたくなかったんですよ。本番の4月9日に状況がどうなっているかはわかりませんが、今のところ(※取材は3月下旬)、お客さんも半分以上は入ってもらえるということで、タイトルや、去年作ってもらったフライヤーなどはそのままに、ネタだけをまったく新しくして開催しようということになりました。

――昨年、「中止にしましょう」と決まったときは、どういうお気持ちでしたか。

伊藤俊介さん(以下、伊藤):初めての「ルミネtheよしもと」での単独ライブでしたからね。「ルミネtheよしもと」って、関西でいうところのNGK(なんばグランド花月)みたいなイメージですよ、憧れの劇場です。だから、ショックはショックでしたね。

――そんな中でもネタを新しくされているということですが、どんな方向を目指してブラッシュアップされているのでしょう?

畠中:去年の単独ライブでやろうと思っていたネタは、ほかのライブなどでどんどん使ってしまったんです。理由としては、漫才ですから、新鮮なほうがやっていて楽しいということもありますし、「M-1グランプリ」の決勝に行かせていただいて、もちろん優勝するつもりだったのですが、5位という結果に終わってしまったこともありますね。今年のM-1では優勝したいので、昨年のM-1でいただいた意見やアドバイスを取り入れて、去年以上のものを作れるようにしたいと心がけています。

ライブができなかった2020年、しんどかったけれど地獄ではなかった

オズワルド伊藤

――昨年は、大きな会場でたくさんのお客さんを集めることが、なかなか難しい1年でした。そういう1年間を、どのように過ごされていたのですか。

伊藤:お笑いや、ライブをやるということに関しては、しんどいことも多い1年でした。でも、地獄ではありませんでしたね。畠中なんてギターを覚えましたし。

畠中:「松-1グランプリ2021」(朝日放送テレビ『松本家の休日』内の企画)で、松本(人志)さんの前で歌を披露できるなんて思ってもみませんでした。音楽は、やりたいと思いながらも、ずっとライブに追われていたので……。昨年春の自粛期間は、伊藤とZoomでネタ合わせはしていましたが、人生の中でこんなに休んだのは、高校の夏休み以来じゃないかな。このタイミングで、やりたいと思っていたことをやってみようかと、楽器なんて一切触ったことがなかったのに、33歳にしてギターを始めてみました(笑)。新しくできることが、ちょっと増えたなと思います。

伊藤:僕もnoteを書き始めたことが、ダ・ヴィンチニュースさんでの連載『一旦書かせて頂きます』につながりました。本当に、芸人ってなんてしぶとい生き物なんだと思いましたね……(笑)。でもいざ文字にしてみると、これまではボーッとしゃべっていたエピソードトークも、「ここはもうちょっと広げられる」という発見があることに気がついたんですよ。ヒマでヒマでしょうがなく始めたことでしたが、芸人としての自分にプラスになったことは、すごく多いですね。

――おふたりとも、あたらしい挑戦からいろいろと吸収されていたんですね。

畠中・伊藤:そうですねえ。

――わたしたち観客も、ライブ会場に集まって笑わせてもらえるということは、実はすごく貴重な機会だったんだなと気がついた1年でした。一方で、今回のライブは配信もされるということで、よりたくさんの人が楽しめそうですね。

伊藤:単独ライブを配信するかどうかは、正直、ギリギリまで迷いましたけどね。でも、まだ満席までお客さんを入れることはできませんし、協力してくれる人たちにちゃんとギャラを払いたいので、こういう形で補っていかないと。

畠中:この状況の中でも、ライブの配信が当たり前になったことは、世の中にとってプラスだったと思うんですけどねえ。

伊藤:やっぱり僕は、どうしてもM-1が引っかかっているんですよ。この単独ライブは、今年のM-1の勝負ネタができたらいいねというライブ。配信をしてしまうと、そのネタがバレちゃうという感覚でいたのですが……冷静に考えたら、僕たちの単独ライブ、そんなには売れないだろうと思って。

畠中:しかも、まだ4月ですからね。M-1の決勝は12月ですから、今はまだ、ネタは素材の状態です。

伊藤:違うんですよ!

――はい!?

伊藤:僕たち、空気階段っていう同期のコンビがいるんですけど、その空気階段が、単独ライブの配信チケットを1万枚も売ってるんです。畠中は、配信っていうとそのイメージでいるんですよ。自分たちも、1万枚、売れると思ってるんです! 売れるワケないから! 空気階段とは違うのよ!?

畠中:単純に、やるんだったらたくさんの人に見てほしいんですよ。

伊藤:そりゃ見てほしいですけど!? コイツ、最近ずっと1万枚売れるスタンスでいるんですよ!

畠中:いやいや、1万枚売れるスタンスの人じゃなきゃ、売れないからね。

伊藤:そうなんだけど〜!! これね、根性の問題じゃないのよ?

畠中:まあね、より多くの人に見てほしいっていう気持ちは、本当にあるんです。僕は実家が北海道なのですが、配信があれば、地方に住んでいる人たちにも気軽に楽しんでもらえますからね。

――おうちでライブを楽しめるのもいい時代だなと思いますし、ライブ会場の雰囲気というものも、やっぱり格別ですからね。ライブ配信は、『あたらしいとうきょう』の、あたらしい楽しみ方のひとつなのかなと思ったのですが。

畠中:あ……そういう意味だということにします。

伊藤:そうしましょう。

まずはM-1での優勝がゴール。その布石となる単独ライブは、2年間の集大成

オズワルド

――おふたりのお話からは、M-1への熱い想いが伝わってきます。M-1で優勝を果たした、その後のイメージはあるのですか?

伊藤:優勝の向こう側は、イメージしかできないというか……今までも、現実って、イメージしていたものとはまったく違っていましたからね。イメージしてもしょうがないなとは思っています。まずは優勝、そこからです。別に、M-1優勝を機に売れようという感覚もないんですよ。もちろん、テレビに出たくてお笑いの世界に入っているので、「売れる」ことについては、「そっちはそっち」という感じでがんばっていきたいとは思いますが、M-1はもう「売れる」とは別のもの。とりあえずM-1での優勝がゴールで、その先のことは考えていません。M-1は、優勝したらそこで終わりなんです。まあ優勝したら、もう出ませんけどね!

――M-1への布石ともなる今回のライブへの、意気込みをお聞かせください。

畠中:僕たち、前回の単独ライブをやったのが2019年なので、2年間も単独ライブをやっていないということになるんですよね。単独ライブってすごく特別で、あれもまだできてない、これもやってない、みたいなことの連続で、準備がめちゃくちゃしんどいんですよ。でも、やり終わったときの達成感は、ほかと比べようがない。「本当にやってよかった」と思うので、今回も、絶対にそんなふうに思えるものを作っていかないとな、という意気込みがあります。僕たち、単独ライブではコントもやるので、ネタはもちろん、合間の映像ひとつひとつにいたるまで、ぜんぶおもしろいものを披露して、成功させたいですね。2年間、単独ライブをできていない状態での積み重ねを、ぜひ見ていただきたいと思います。

――楽しみにしています。がんばってください! ……ところで、この単独ライブ『あたらしいとうきょう』では、ネタ作りのときなどに、M-1審査員の方々のコメントは意識されましたか?

伊藤:その話、どこに行ってもかならず聞かれるんですよねえ。「板挟みになってるんじゃないか」って……。でも僕たちは、まわりが思っているほど気にはしていないんですよ。M-1の審査員で、コメントをくださった松本さんにも、別の現場で「あのときはこういう意味で言わせてもらった」という、細かいニュアンスを聞かせてもらいましたし。それも含めて、自分たちの中で「こういう感じかな」とチューニングを合わせている状態だと思います。

畠中:そういうチューニングを試したネタも何本かありますので、お楽しみに。でも、「これが正解だ」というのは、まだ答えが出ないかもしれませんね。

伊藤:お客さんには、マジで「そういうの気にしないで見て」と伝えたいです。そうじゃないと、大きい声を出したら「あ、大きい声出した!」と思っちゃうし、小さい声なら「そっちの意見をとるんだ……」って見ちゃうでしょ(笑)。僕たちはフラットにやろうと考えていますし、ただただ「おもしろい」と感じてもらえるのが一番だと思うので、これまでのことは、一旦忘れてご覧ください!(笑)

取材・文=三田ゆき 写真=島本絵梨佳