「発達障害」「トランスジェンダー」「子離れできない母」…今読んでおきたい!話題のコミックエッセイ5選

マンガ

更新日:2018/5/18

 事実は小説よりも奇なりというが、実際に経験したものにしか分からないエピソードや心情が描かれたコミックエッセイだからこそ心が掴まれることがあるだろう。また、社会的にも関心の高いテーマを分かりやすく知ることができるのも魅力だ。本稿では、発達障害、トランスジェンダー、子離れできない母…といった、今話題のコミックエッセイを紹介したい。

■料理をすれば炊飯器が爆発!? 発達障害の実体に迫る作品

 近ごろよく耳にするようになった発達障害。これまでは、「集中力がない」とか「もう少し落ち着いて行動できないの?」と、認知すらされていなかった。発達障害とともに生きる漫画家・沖田×華(おきたばっか)さんの作品『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(ぶんか社)が描くのは、職場で、自宅で、オフ会で…自身の周りで次から次へと起こるハプニング。さまざまな発達障害のある沖田×華さんが、大人になってからの自身と発達障害とのかかわり方、失敗談などを描いている。

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■子離れしなきゃダメですか——子育てロスを笑い飛ばせ!

2人の息子を持つ華桜こもも氏による、子育てコミックエッセイ『子離れしなきゃダメですか? ~社会人息子ふたりに依存する母の日常~』(ぶんか社)。“思い立ったらすぐ行動”の猪突猛進型長男に続き、“ネガティブ詩人”の次男も巣立ちを控え、子どもたちが自分の手を離れてしまう寂しさがあるものの、子どもたちをきちんと巣立ちさせようと考えている。この板挟みからどうにか抜け出そうと奮闘する自分を描いた本書は、多くの母親が体験する子育てロスに真っ向から甘やかしてしまう豪胆さで挑む、笑い、笑い、とにかく笑いの1冊だ。

■性別がないってどういうこと? 男女両性を兼ね備えた漫画家の物語

 生まれたときからずっと女性として暮らしてきたものの、30歳で「染色体異常」と判明し、両性具有と診断された漫画家・新井祥氏による驚愕のエッセイ『性別が、ない! 〜両性具有の物語〜』(ぶんか社)。現代のボーダレス化する「性」をリアルに描き出す作品だ。LGBT、すなわちレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを正しく理解するための1冊ともなるコミックエッセイで、多様性を認め合うとはどういうことなのかを改めて世間に問うている。

■東京から南へ290kmの八丈島でぶっつけ本番の島生活!

 笑いあり癒しありのコミックエッセイ『流されて八丈島』の装丁リニューアル版『女ひとりで島に移住しました。』(たかまつやよい/ぶんか社)。描かれているのは、これまでずっと都会で暮らしてきた自身の八丈島での新たな生活。そこは豊かな自然、おいしい食べ物、気さくな地元住民に囲まれた南国だ。島特有の生活環境に慣れるまでの奮闘ぶりからは目が離せない。 八丈島でのたくさんの新発見をまるで読者自身の体験のように間近に感じられる作品だ。10年間の歩みを振り返りつつ、新しい島での暮らしぶりをたっぷりと紹介している。

■国際結婚だって楽あれば苦あり、苦あれば楽あり!

 インド人・サッシーさんと結婚した漫画家・流水りんこ氏。そんな自身とその家族の日常をありのままに記録したコミックエッセイ『インド夫婦茶碗』(ぶんか社)は、いまや国民的国際結婚ファミリーストーリーともいえよう。異国の地・ニッポンで暮らしはじめたサッシーとの夫婦生活は、文化の違いから生じる戸惑いと爆笑の連続だ。子どもたちが次々と巻き起こす予想外でへんてこりんな言動にも注目したい。近年は珍しくなくなった国際結婚だが、まだまだ十分理解を得られているとはいいがたい。そんな国際結婚の笑える場面と泣ける場面に迫っている。

 共感できるエピソードに勇気が湧き、知らない世界に驚く——ページをめくれば、そんなコミックエッセイの魅力にどっぷりとハマってしまうはず。

文=ムラカミ ハヤト