「母親やめてもいいですか…?」心にも染みる発達障害マンガまとめ

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更新日:2018/11/13

 発達障害があると周囲から「少し変わった人」として認識されることも多いため、当事者や家族、恋人は深い悩みを抱えてしまう。しかし、障害との向き合い方が分かれば、漠然とした悩みも解決させやすいはず。そこで今回は、発達障害について詳しくなれる漫画を5作品ご紹介したい。

■前向きな親子の形に感動! 我が子だけでなく、自分も発達障害でした…

『生きづらいと思ったら 親子で発達障害でした』(モンズースー/KADOKAWA)は、我が子だけでなく、自分自身の発達障害と向き合うきっかけもくれる1冊だ。月間180万PVを達成し、アメブロランキング総合1位を獲得して書籍化された本作には発達障害グレーゾーンな息子たちを懸命に育てる、ADHDの母親の姿がリアルに描かれている。

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 自分が発達障害だと、子どもにどう接したらいいのか悩んでしまう方も多いかもしれないが、同じ障害があるからこそ、我が子に伝えられることがたくさんある。そう思わせてくれる本作には、未発表の描き下ろし秘話が100ページも収録されており、入園編も発売されている。絶望と希望を繰り返しながらも、前向きに生きていこうとする家族の姿は共感と感動を呼ぶことだろう。

■笑って元気になれる! 自身の発達障害をコミカルに綴ったコミックエッセイ

 NHKでドラマ化もされた『透明なゆりかご』(講談社)の作者である沖田×華氏は、実は発達障害を抱えている。そんな沖田氏の日常が詰め込まれている『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』(ぶんか社)は、発達障害に苦しんでいる大人の心に染みる作品となっている。アスペルガー(AS)や学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)を受け入れながら生きている沖田氏の日常を知ることは、発達障害を正しく理解するきっかけにもなるだろう。

「サプライズの内容を本人に言ってしまう」「人の顔が分からない」「予定がひとつでも崩れると1日寝込む」といった、発達障害ならではの症状を独特の視点でコミカルにまとめた沖田氏の作品から元気を貰える方は多いはずだ。

■体験談が勇気をくれる! 発達障害グレーゾーンのあなたに送る1冊

「もしかして私は発達障害なのかもしれない…」——そう思ったときにぜひとも読んでほしいのがADHDとの向き合い方を記した『おとなの発達障害かもしれない!?』(森島明子/イースト・プレス)だ。

 漫画家歴20年である作者の森島氏は、ずっと気になっていた自分の特性をはっきりとさせるため、クリニックで発達障害の検査を受けることに。体験談を通し、クリニックの選び方や検査、診断法、投薬などの一部始終を分かりやすく描いた本作は、疑念を持ちながらも日常を生き抜いている、発達障害グレーゾーンの方の背中を押してくれるだろう。また、自分の心との向き合い方だけでなく、発達障害者を取り囲む家族にも目を向けているので、当事者以外にも手に取ってほしい1冊となっている。

■「母親やめてもいいですか」絶望と希望が詰まった子育てコミックエッセイ

 近年では、発達障害であることを告白する芸能人も多くなってきているが、我が子が発達障害であることが判明すると、親としては戸惑ってしまうことも少なくない。『娘が発達障害と診断されて… 母親やめてもいいですか』(山口かこ:文、にしかわたく:絵/文藝春秋)には、そんな複雑な母親の心境がリアルに描かれている。

 不妊治療や流産を乗り越え、ようやく授かった娘が広汎性発達障害であった山口氏は、我が子と心が通い合わないことに悩み、いつしかうつ状態に。荒んだ心のまま、浮気や新興宗教という方法で現実逃避を続ける山口氏はついに、夫から離婚届を突きつけられることになり、家族の形を見つめ直していく。果たして山口氏は、どのような人生を選択していったのだろうか。

■笑いはあるけれど涙はなし! 障害者カップルの日常とは?

 発達障害という言葉は聞いたことがあるが、どう接すればいいのか分からないと思っている方にヒントをくれる『ボクの彼女は発達障害 障害者カップルのドタバタ日記』(くらげ:著、寺島ヒロ:漫画、梅永雄二:監修/学研プラス)には、聴覚障害者で人工内耳を装用しているくらげ氏の実体験が盛り込まれている。「化粧ができない」「空気が読めない」「こだわりが強い」「パニックを起こしやすい」といった特性を持つ彼女とどう付き合っていくのかを突き詰めた本作には、目からウロコなエピソードが満載。

 笑いあり涙なしで読み進められ、障害者カップルのイメージをガラっと変えてくれる。気になった方は、ぜひこれを機に「発達障害者から見た日常のイメージ」に触れて、新たな価値観を得てみてほしい。

 人の幸せは障害の有無ではなく、人生の選択法によって決まるように思う。生まれながらにある障害はハンデのように感じられてしまうことも多いが、心に折り合いをつけ、向き合うことができれば、自分らしい人生を楽しく歩んでいけるのではないだろうか。自分や身近な人の発達障害に戸惑っている方は今回ご紹介した作品に触れ、まずは発達障害を正しく理解していくことから始めていってほしい。

文=古川諭香