平和で幸せな毎日が少しずつ崩れていく… ママ友社会の息苦しさを描いた漫画まとめ

マンガ

更新日:2018/10/1

 2学期がはじまると、秋の運動会や遠足など園や学校の行事が目白押しだ。ところが、楽しそうな子ども達の横にはママ友との付き合いに疲れ果て、日々ストレスを感じる人もいる。ママ友グループとの付き合いはどうすべきか、そしてどんな距離感をとるべきか。本稿では思い悩んだママたちにぜひ手に取ってもらいたい、コミックエッセイと育児マンガの4作品を紹介したい。

■仲間はずれや嫌がらせ。“ママ友あるある”が満載!

 会社勤めをしている世の男性陣には理解できないだろうが、子どもが生まれると否が応でも付き合わなくてはいけないのがママ友という存在だ。

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「いったいなんでこんなことになってしまったんだろう」…夫と子ども、3人で家族いっしょに暮らす主人公。一人娘のママとして絵に描いたような幸せな毎日を過ごしているはずなのに、ママ友との軋轢やママ友社会の息苦しさが、平和だった毎日をちょっとずつ威圧していく。そんな重い空気を、軽やかなコミックエッセイとして描いたのが、『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』(野原広子/KADOKAWA・メディアファクトリー)だ。ママ友との微妙な空気に呆然とする主人公の表情が、シンプルな線でさりげなく描かれているのが印象的だ。

 子どもがいる以上、ある程度ママ友との関係は避けられない。孤独で不安でしんどい世界と真っ向から向き合った本書は、ママ友づきあいの予習本として読むのもおすすめだ。

■ママ友の本音を知れば、トラブル回避もできるはず

 ママ友とのつきあいは何が大変で、どう面倒くさいのか。子どもの幼稚園バスを見送った後に繰り広げられる主婦同士の会話から、子どもによって微妙にちがうママ友グループのカラーまで、シーン別の付き合いについて事細かに描かれているのが『ママ友のオキテ。』(又野 尚/ぶんか社)だ。

 ママたちの本音がギュッと詰まった本書は、「女の敵は女」であることに改めて気づかされる場面もあるが、読み進めるうちにこうした特徴さえクリアすれば意外とスムーズに乗り越えられそうな気になる。
ちなみに一男一女のママでもある著者は、子ども会役員からPTA役員まで軽やかにこなす先輩ママでもある。ママ友との雑談に疲れ果て、いざこざに振り回される前に、まずは本書で適度な距離感のとり方をしっかり勉強するのも悪くない。

■ママ友との関係に、新たな光を見出したい時に!

 相手がどこの誰だろうが「ダメなものはダメ」とズバッと言えたら、どれだけ気がラクか。子どもを育てながら言いたいことを言えずにストレスを溜めている人も多いはず。そんなイライラを吹き飛ばす時にぴったりなマンガといえば、何と言っても『斉藤さん』(小田ゆうあ/創美社・集英社)だろう。

 社会のルールを無視する人と真っ向から勝負する斉藤さん。ママ友だろうが幼稚園の先生だろうが、正々堂々と立ち向かう姿と通快なストーリー展開は、読むだけでスッキリするはず。さてあなたは、「斉藤さんが、子どもの幼稚園にもいてくれたら」と思う人? それとも、「私も、斉藤さんになる!」と敢然と立ち向かう人?

■セレブと庶民。収入格差から見える別世界をチラ見するなら!

 漫画家である著者とタクシー運転手のご主人との間に生まれた一人娘を、インターナショナルスクールに入れる。ちょっとアンビリーバブルにも思える世界をサラリと描いているのが、『庶民の娘ですがセレブ学校へ通っています』(東條さち子/竹書房)だ。

「バイリンガルだと、将来色々と便利だろう」ぐらいの気持ちで子どもを入学させた著者は、入学式の服装や歓迎パーティーと銘打った高額な食事会など、保育園時代とのちがいに面食らうことばかり。確かに、インターナショナルスクールの年間の学費はおよそ200万円。共働きとはいえ、庶民との収入格差をイヤというほど見せつけられるのもうなずける。それでも、なぜインターナショナルスクールに通わせるのか。すべての答えは、本書の中に出てくる子どもの笑顔だろう。

 出る杭は打たれるという日本の学校とちがい、それぞれの個性や発想を大切にするインターナショナルスクールの校風も含めて、「同じ日本でも、いろんな世界がある」ことを改めて知ることができる1冊だ。

 子どもとの関係を考えると、おろそかにはできないママ友とのつきあい。あらかじめコミックエッセイや漫画でさまざまなケースがあることを知るだけで、無駄に疲れることもなくなるだろう。孤独で不安になりがちな育児をがんばる人には、きっと心の支えにもなりそうだ。

文=富田チヤコ