妖怪も病気になる? 新たな妖怪の世界を見せてくれる漫画まとめ

アニメ・マンガ

2018/10/11

 今年、ゲゲゲの鬼太郎が6度目のアニメ化を果たしました。日本に妖怪の存在を広めたのは、貸本漫画からはじまったこの作品だといっても過言ではないでしょう。その知名度によって、すでに、日本文化の一部として定着した妖怪ですが、時代と共に妖怪の表現も移り変わり、新しいアプローチの妖怪漫画が次々と生まれてきています。本稿では、そんな新しい妖怪の姿を捉えた漫画を紹介したいと思います。

■妖怪を治療するのは、地味でちょっとスケベな高校生

 妖怪といえば、かつては、人間とは敵対する存在、相容れない存在というイメージが強かったものですが、それを覆し、妖怪を退治することでなく、治療することによって問題を解決していくという方向性を示した『妖怪のお医者さん』(佐藤友生/講談社)。

 今から10年以上前の作品ですが、そのアプローチは多くの人に支持され100万部を超える人気作となりました。少年誌で掲載されていたということもあり、後半は本筋の治療よりも、バトル漫画的な要素が強くなりますが、妖怪を新しい角度から捉え直し、新しい妖怪漫画の流れを作り出した作品のひとつであることに間違いありません。

■妖怪のツボはどこにある? ギャグ×妖怪×癒しが奇跡の融合

 妖怪が人間界に馴染んでいたら、人間と同じようにストレスを感じたり、体調を崩したりするのではないか?という、ありそうでなかったシチュエーションの『妖怪マッサージ』(押切蓮介:原作、忌木一郎:作画/秋田書店)。

 人を癒したいと願う、ごく普通のセラピストだったはずの主人公が、ひょんなことをきっかけに、妖怪を相手に施術をし、人間とは異なった妖怪のツボを見つけ出すことで、彼らを癒していくという作品です。

 さまざまな種類の妖怪が抱える悩みをユーモラスに描き出し、なおかつ、実在する人間のツボと組み合わせることで、笑いはもちろんですが、読者も癒される不思議な爽快感を与えてくれます。

■妖怪が飼育されている「妖怪園」に行ってみたいと思いませんか?

 動物園ならぬ、妖怪が飼育されている「妖怪園」が一般的になっている世界を舞台にした『妖怪の飼育員さん』(藤栄道彦/新潮社)では、動物と同じように、妖怪を間近で観察することができます。

 妖怪を生物として捉えることで、魅力的な存在としてリアルに描写する一方で、鬼や天狗、雪女などといった人間型の妖怪が、なぜ見世物として妖怪園にいるのかということについても、しっかりと理由がつけられています。

 これによって、妖怪園という荒唐無稽な存在が、なぜかリアルに感じられ、読み進めていくうちに、いつしか、その世界観にどっぷりとつかってしまうことでしょう。気がつくと「こんなところあったら、次の休みに行ってみたいな…」という気持ちにさせてくれる作品です。

■妖怪を美味しく食べる! グルメ漫画としても妖怪漫画としても、突き抜けた新機軸

 グルメ漫画も、さまざまな方向に進化しているジャンルのひとつですが、グルメと妖怪という2つの要素が、あり得ない領域で結びついた作品が『妖怪ごはん ~神饌の料理人~』(十凪高志/講談社)。

 代表的な妖怪ともいえる河童を、グロテスクにならないギリギリのところで、豪快に料理し、なおかつ、河童の特性を加味した美味しそうな料理を作り出したことによって、WEBで公開されるやいなや一躍話題となりました。

 神々や妖怪の世界を、言い伝えや伝承などを調べた上で、料理という形で表現することによって、一歩間違えるとキワモノ、ゲテモノになってもおかしくはない題材を、上質なエンターテインメント作品に仕上げています。妖怪好きならば、読んでおいて間違いなしの、まさに新しい時代の妖怪漫画です。

 江戸時代に現代の漫画ともいえる黄表紙によって、一躍人気を得てから、300年以上たった現代では立派な妖怪となった「豆腐小僧」。貸本漫画からスタートして、50年後には国民的アニメとなった「ゲゲゲの鬼太郎」など、妖怪は時代によって新しく生み出され、そして定着していくもの。

 古くから伝わっているように思えている妖怪も、実は、鳥山石燕の創作だったり、歌川国芳の絵からインスピレーションを得て生まれたものだったりするのです。本稿で紹介した漫画には、そういった妖怪を含め、21世紀ならではの、新しい切り口で表現した妖怪が多く登場しますので、この中から、これから先伝わっていき、未来では定着するような新しい妖怪が登場するかもしれません。

文=龍音堂