「落ち葉に裏向きが多いのはなぜ?」を探った高校生など、科学コンテスト受賞者たちの、“好奇心”の育て方

スポーツ・科学

公開日:2023/1/20

13歳からのサイエンス 理系の時代に必要な力をどうつけるか
13歳からのサイエンス 理系の時代に必要な力をどうつけるか』(緑慎也/ポプラ社)

 オリジナリティ溢れる研究で賞を獲得した若者たちの軌跡と、ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏のインタビューを一冊にまとめた『13歳からのサイエンス 理系の時代に必要な力をどうつけるか』(緑慎也/ポプラ社)が、2023年1月12日に発売された。その気になる内容は――。

 同書を手がけるのは、『認知症の新しい常識』や『消えた伝説のサル ベンツ』などで知られているサイエンスライター・緑慎也氏。タイトルだけを見るとどれも難しそうに見えるものの、読者からは“解説がわかりやすい”ともっぱらの評判だ。もちろん今回発売された『13歳からのサイエンス』もその評判は健在のようで、SNS上には「科学に疎い私でも興味をそそられる内容だった」「話が読みやすくてあっという間に読了!」「緑慎也さんが手がける他の書籍も読みたくなった」などと好評を博している。

 同書は、科学コンテストの受賞者8名を紹介した一冊。例えば第一章では、落ち葉に裏向きが多い理由を探った高校生の話が語られている。

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 恐らく誰もが落ち葉を見たことがあると思うが、“裏向きに落ちていることが多い”と気づく人はそこまで多くないはず。同書で紹介されている高校生が気づいたきっかけは、物理学者・寺田寅彦氏の研究から。学校の先生に“椿の花は仰向けに落ちていることが多いこと”を証明した寺田氏の研究を教えてもらい、何かそれに似た例はないかと思って落ち葉に目を向けたという。

 同書ではその好奇心がどのように伸ばされ、どのような結果に行き着いたのかが記されている。他にも曾祖父のために新聞の字を拡大できるアプリを開発した高校生や、数百万する装置を3万円で手作りして「火星の水」を研究した定時制高校の科学部、ゴミとして捨てられるおがくずで断熱材を開発した高校生チームなどが紹介されており、どの話も実に興味深い内容だ。

 彼らはどのように好奇心を育み、新しい考えを形にしたのか。好奇心から生まれた研究を通して、科学的な考え方や科学との向き合い方を学ぶことができるだろう。

 科学が好きな若者はもちろん、大人も読んでいて勉強になる一冊となっているので、興味のある人はぜひ読んでみてほしい。

<目次一覧>
1.落ち葉に裏向きが多い理由を探ったファンタジー小説好きの高校生
2.不登校を経て、世界初となる数学の証明に挑んだ高校生
3.曾祖父のために新聞の字を拡大できるアプリを開発した高校生
4.ゴミとして捨てられるおがくずで、断熱材を開発した6名の高校生チーム
5.数百万する装置を3万円で手作りし「火星の水」を研究した定時制高校の科学部
6.国際生物学オリンピックを経て、YouTubeでゲーム実況もする研究者
7.高校時代に麹菌を研究し、東大理学部からコンサルタントに転じた会社員
8.蚊に刺されやすい妹のために蚊を研究し、コロンビア大に進学した大学院生
9.科学的に考えるとは 東京大学宇宙線研究所教授 梶田隆章さん
10.好奇心の種がなければ、花も咲かない 米テキサス大学オースティン校冠教授 鳥居啓子さん

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