コミック『男子校の生態』が「広島本大賞」受賞! 中高で6年間男子校に通った作者が描く、シンプルでわかりやすい面白さが高評価に

マンガ

公開日:2023/9/6

男子校の生態
男子校の生態』(コンテくん/KADOKAWA)

 男子だらけの世界も、悪くない――。SNSで話題となったコンテくんのコミックエッセイ『男子校の生態』(KADOKAWA)が、第13回「広島本大賞」コミック部門の大賞を受賞した。

 同作は、著者のコンテくんが中学、高校の6年間通っていたという男子校の日常をゆるいタッチで描いたコミックエッセイ。元々は2020年から週1回、X(旧Twitter)やInstagramに投稿されていたWEB漫画で、公開するたびに大きな反響を巻き起こしてきた。

 今やSNSのフォロワー数は合わせて10万人に及び、2023年3月にはSNSで公開された作品だけでなく描き下ろし漫画も多数収録して書籍化。SNSで知っていた人も、そうでない人も楽しめる一冊として好評を博し、Amazonや楽天などの通販サイトで一時品切れ状態になるほどの人気だったとか。

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 収録されているエピソードは、何てことのない日常のことながら、どれも青春時代や懐かしさを感じさせるものばかり。例えば教室の最前列、教員の目の前で早弁する男子や、女子との会話のなさにやきもきする男子、趣味に没頭するオタク男子など……。個性あふれる男子生徒たちとクスッと笑える話が次々に登場する。

男子校の生態

男子校の生態

 同書が受賞した「広島本大賞」とは、広島にゆかりのある作家や作品などを対象に、「これぞ広島県のご当地本」と広島の魅力を伝えている本に与える賞のこと。選考委員も広島県の書店員やタウン情報誌編集者が担当し、2011年から毎年開催している。

 過去には、スリーピースピアノ・ロックバンド「WEAVER」の元ドラマー・河邉徹氏が書いた小説『流星コーリング』(KADOKAWA)が2020年度の「広島本大賞」を受賞したことも。ほかにも小説家・森見登美彦氏の『夜行』(小学館)や、『ワカコ酒』(コアミックス)で有名な新久千映氏が地元広島のとっておきグルメを紹介する『新久千映のまんぷく広島』(KADOKAWA)といった作品が大賞に輝いている。

 ちなみに『男子校の生態』が広島本大賞に選出された理由は、「男子校のあるあるネタを、下ネタを交えながら面白おかしく紹介した」点や「誰もが楽しめる読みやすさと、幅広い層に読まれる間口の広さ」が評価されたようだ。

 ただ同書のあらすじや広島本大賞の選出理由だけ見ると、どこに広島要素があるのかわからないかもしれない。作品内では明記していないものの、実は本作のモデルとなった学校は、広島市にある「修道中学校・修道高等学校」。作中に登場する体育祭のエピソードや吹奏楽部のエピソードなど、地元の人が見れば「クスッ」とするネタが盛り込まれているのだ。 

 とはいえ全編を通してシンプルかつストレートに男子校というものの楽しさや特徴を伝えているので、広島県外の人でももちろん十分に楽しめる作品になっている。

 男子校の生活を覗いてみたい人、青春を懐かしみたい人、個性的なコミックエッセイが読みたい人は、『男子校の生態』を手に取ってみてほしい。

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