「宿題を 孫に頼まれ 闇バイト」毎年恒例の『シルバー川柳』に今年もユーモアあふれる爆笑の傑作が集結!

文芸・カルチャー

公開日:2023/9/5

シルバー川柳13
シルバー川柳13 妻の名を呼んだつもりがネコが来た』(編集:全国有料老人ホーム協会、ポプラ社編集部/ポプラ社)

 毎年「敬老の日」に向けて開催される「有老協・シルバー川柳」の入選作品が、2023年9月5日(火)に発表された。昨年はコロナ禍を逆手に取った川柳や、加齢にまつわるユーモアたっぷりな川柳が数多く選出されていたが、今年はどのような作品が“入選”したのだろうか。

 「有老協・シルバー川柳」は、2001年から公募を募集している川柳企画。以降、超高齢社会を迎えた日本の世相を反映する1つとして定着し、今や毎年1万を超える作品が全国から寄せられている。

 作品のテーマは高齢社会・高齢者の日々の生活に関するものであれば何でもOK。“シルバー”と謳ってはいるが、応募者の年齢も一切問わない。今年は最年少の11歳から最年長の108歳まで、幅広い年代から作品が集まっていた。

advertisement

 23回目となる今回の作品応募総数は1万1083句。その中から「AIに 冥途の行き方 聞いてみる」「宿題を 孫に頼まれ 闇バイト」「同窓会 アルバム持参で 顔認証」など、ユーモアあふれる21作が入選を受賞した。

シルバー川柳13

シルバー川柳13

 入選した川柳には、時事ネタだけでなく話題になった人物を取り上げたものも少なくない。例えば将棋の藤井聡太棋士を題材にした「棋士よりも 菓子が気になる 名人戦」、野球界では大谷翔平選手や佐々木朗希選手に注目した「翔平か 朗希にしよう 孫の名は」など、思わずクスッとしてしまう川柳が満載だ。

シルバー川柳13

 他にも「樹木葬」「サウナ」といった流行のキーワードをうまく織り込んだものも多く、「樹木葬 スギとヒノキは 避けてくれ」や「初サウナ ととのうはずが 脈乱れ」などが入選作品として選ばれている。

 また今年から新たに「有老協賞」という賞を新設。同賞は入選作同様に老いを元気に楽しめる内容、かつ有料老人ホームの生活をテーマにした作品の中から選出される。その記念すべき第1回目には、「リハビリに ビリは嫌よと 精を出し」が入選したようだ。

 そんな入選作21作品を含む傑作川柳が収録された『シルバー川柳13 妻の名を呼んだつもりがネコが来た』が、2023年9月5日(火)に発売。今作でシリーズ第13弾となる同書は、口コミで瞬く間に話題となり、累計発行部数は99万部を超える。

 入選作以外にも秀逸な川柳が目白押しで、その一例を挙げると「じいちゃんは オレの名呼んで 犬撫でる」「久しぶり マスクはずせば 孫が泣く」「タワマンを 見上げて 倒れそうになる」「オレオレの 息子も今日で 七人目」「AIに 自分の余命 聞いてみる」などなど…。

 ちなみにNHK自転車旅でおなじみの火野正平氏は、「くすっと笑えて、じわっと来る。みんな、やんちゃな人生送ってるなあ」と同書に推薦コメントを寄せている。彼の言葉通り、思わず笑ってしまうユーモアたっぷりの川柳がたっぷりと収録されているため、プレゼントにも喜ばれるかもしれない。

 人生の達人たちによる川柳傑作選を読んで、加齢も夫婦のギクシャクも、笑いとユーモアでふっ飛ばしてみてはいかがだろうか。

イラスト=古谷充子

あわせて読みたい