昭和初期の東京を舞台に描くドラマティック人間模様!『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』最新3巻は“2年前”の思い出が明らかに?

マンガ

公開日:2023/11/2

曙橋三叉路白鳳喫茶室にて
曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』3巻(高尾滋/白泉社)

 悩みや葛藤を抱えているとき、誰かに聞いてもらうことで思わぬ解決策が見えてくることがある。しかし重大な問題ほど親しい人には伝えづらく、結果として吐き出せないまま虚ろな日々を送ってしまう、なんてこともあるだろう。見知らぬ誰かでいいから話を聞いてくれれば……。マンガ『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』は、そんな人々が抱える苦悩を「聞く」ことで解決に導く主人公の物語だ。

 同作の舞台となっているのは、昭和初期の東京市中央区。主人公・藤田金蓉(ふじた きんよう)は毎週金曜日に銀座の喫茶室「白鳳堂」にひとりで訪れ、必ず二階にある窓辺の席に座っている。大切な人を待っているというが、その待ち人が現れたことはない。

 そんなミステリアスな雰囲気が人々の興味を引き、気づけば「白鳳堂」の人気者に。加えて、金蓉に困りごとを打ち明けると、上手に解決してくれるという評判が独り歩きするようになっていた。そして今日も悩めるお客さんが彼を求めて店へと足を運ぶ――。

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 第1巻では「咲」という名前が理由で縁談を断られてしまった女性を始め、さまざまな人物の悩みを華麗に解決してみせた金蓉。一方、後半にて彼の待ち人が幼少期をともにした兄のような存在・クロードであることが判明し、少しずつ彼の素性が明かされていった。

 続く第2巻では、相談者の依頼を通してクロードと過ごした過去が掘り下げられる。なぜ彼と離れ離れになってしまったのか、そして「白鳳堂」で待ち続けている理由もほのめかされることに。また義理の三姉妹も登場するなど、金蓉の生い立ちが垣間見える内容だった。

 そして2023年11月2日(木)に発売されるコミックス3巻では、三姉妹のひとり・二葉が内に秘めていた想いが明らかになる。さらには金蓉に好意を寄せる女性も登場し、ストーリーのカギとなりそうな“2年前の思い出”も描かれるようだ。


 金蓉の人柄や問題を解決していくストーリー、さらには作者・高尾滋氏から紡ぎ出される繊細なタッチや圧巻の表現力もさることながら、舞台となる昭和初期を意識した描写やセリフ選びも人気を博す『曙橋三叉路白鳳喫茶室にて』。たとえば「白鳳堂」を指して「カフェ」ではなく「カフェー」と表記されていたり、女性キャラクターの服装に洋服と和服が混在する時代背景が反映されていたり…。大正から昭和初期の和モダンな雰囲気が好きな人にとっては、たまらない作品だろう。

 次はどんな悩める人が金蓉の元を訪れるのか、そしてその悩みをどう解決へ導くのか…。気になる人は、ぜひその手にとってもらいたい。

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