人に嫌われる「刺し言葉」とは? 今に昔に学ぶセンスあるマナー

人間関係

更新日:2015/1/5

 「は?」「それで?」「それだけ?」「それがどうしたの?」

 何気なく言われたこんな言葉にとっさに返すことができず、とりあえずその場を取り繕ってしまう。でも、刺さった言葉が後からシクシクと痛む…。そんなことってないだろうか?

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江戸しぐさに学ぶおつきあい術』(山内あやり/幻冬舎)によると、こうした言葉の凶器のことを江戸時代には「刺し言葉」と言ったそうだ。本書は、口伝で継承されてきた江戸しぐさの教えを、現代の日常生活にも役立つおつきあい術として指南したもの。思いやりのしぐさや、心を磨くしぐさなどが紹介されている。

 この中で、「刺し言葉」は嫌われるしぐさとして登場する。こんな、人の感情を逆なでし、話の腰を折るようなトゲのある言葉遣いは、江戸の町でも決して人に言ってはいけない言葉とされていたという。確かに、こうした言葉が出てくると、会話を続ける気持ちが失せてしまう。気づかないだけで、いつの間にか自分が相手に言い放っている可能性も…?

 また、『リアルな場ですぐに役立つ 最上級のマナーBOOK』(三枝理枝子/メディアファクトリー)では、皇族や首相、国賓など、いわゆるVIPのフライトを担当した元キャビンアテンダントが、特別な人、魅力的な人と思われるためのマナーを教えてくれる。

 例えば、老舗のホテルで久しぶりに友人と会うことになったとする。最上階にあるレストランへ行くために、話をしながらエレベーターの到着を待つ。そこに、既に何人かが乗ったエレベーターがやってきた。弾んでいた会話を続けたいと思った場合、あなたならどうする?

 VIPと呼ばれる人は、このような場所では決しておしゃべりはせず、口を慎むそう。たとえ小声でも、密室では他人に迷惑がかかると考えるからなのだとか。なるほど、電車の中などでも人が話している声は気になるもの。まして、エレベーターのような小さな空間で、ベラベラ話されてはたまらない。とはいえ、人のことは言えないという人、多いのでは? 私もその一員なのだが…。

 その気はないのに、挙動ひとつで人を不快にさせ、嫌われてはもったいない。人を尊重し、ひいては自分を輝かせるマナーを身につけたいものだ。

文=佐藤来未(Office Ti+)