芸能界のご意見番は和田アキ子じゃなくYOU!? なぜYOUがもてはやされるのか

芸能

2014/4/21

 フジテレビ系の人気リアリティ番組『テラスハウス』。見知らぬ男女がひとつ屋根の下で共同生活をし、友情や恋愛を通して人生を切り拓いていく過程が多くの視聴者の心をつかんでいる。と同時に支持を得ているのが、スタジオで笑いを交えながら、ポロっと漏らすタレント・YOUの的確な一言。「芸能界のご意見番」といえば、和田アキ子や美川憲一らが思い浮かぶが、若い世代にウケているご意見番といえばYOUが筆頭に上がるだろう。では、なぜYOUの言葉は気難しく繊細な若い世代に受け入れられるのか、ファッション誌『SPRiNG』(宝島社)で17年続くお悩み相談の連載をまとめた、『YOUのこれからこれから 人生編』(宝島社)を参考に、YOUの魅力に迫ってみよう。

 YOUの実力は、なんといっても「言いにくいことを的確にズバリと言う」ことだろう。「いつも職場で女の人ともめて転職ばかり……」という24歳の女性に対し、「この人に原因がまるでないとは思えないの」「まずは自分を見直してみて。いろんなこと、人のせいにしていないか。自分も、その人に対する態度が他の人に対する態度と違ったりしてないか」とかなり核心を突いたアドバイスを送っている。相談者にとっては耳の痛くなるような内容だが、従来のご意見番のように「~しなさい」「~でしょ」と命令形や断定口調ではなく、柔らかな口調ということも特徴的だ。こういったナチュラルな気遣いが表れている言葉が、自分は正しいと思いがちな若い世代にも響きやすいのかもしれない。

 2つ目は、「共感力の高さ」。「友達の前で常に作っている自分に疲れました」という悩みには、「あたしも19歳くらいの時は、自分が思っていることや、やっていることを、1ミリの誤解もなく全員に伝えたかったのね」と、自らの過去をあけっぴろげにし、相手に共感することで、悩みを受け止めている。そのうえで、「自分の存在は、自分を見たり聞いたりする相手が決めることで、自分が決められることじゃない」と、自分を作る必要性がないことをロジカルに説明する。これがただ単に理論だけで答えられても、相談者も読者も心からは納得しづらい。いまや「サバサバ系女子」の代表格に上げられるYOUが、自意識過剰な若者だった過去を明らかにし、相談者に寄り添う。そういった“降りてくる”姿勢が相談者に安心感を与えるのだろう。

 そして、YOUの最大の特長は、「完璧を目指さないこと」。「子育てにイライラして子供に手をあげてしまう」という相談には、「本(育児書)に書いてあることが全部正しいとは思わない」と型通りの育児をしなくていいと諫めたうえで、「接触=コミュニケーションだってあたしは思う。あまり過敏にならないで。愛情と関心があるから、っていうところと、やっちゃいけないところの線引きは、絶対分かっていると思うし」とありのままの相談者を信頼し、完璧な母親じゃなくていいと逃げ場を与えている。

 また「1カ月の間に20万円くらいムダ買いしてしまいます。カードの支払いも恐怖だけど、買い物がやめられない!」という人には、「そういう時期って必要なんじゃないかと思います」「こんな風にお金が苦しくなる時期があってから、この洋服は買っても着ないなとか化粧品はこれが合うなってことが分かってきて、お買い物が上手になる人もいるから」と怒るどころか、余裕を持って受け入れている。一般的には、金銭をやりくりすることが「常識」で、家計がひっ迫した状態で買い物を続けるのは「非常識」にとらえられるだろう。その非常識さを弾劾するのは簡単だが、YOUは非常識の中にある個性に焦点を当て、伸ばそうとする。その柔軟な姿勢、型通りの完璧さの求めない姿勢が、相談者だけじゃなく、読者の心も軽くしてくれるのだ。

 一見、ゆるい雰囲気とかわいらしい口調ではあるが、YOUの主張の中には芯が通っている。本人が持っている強さを押し付けずにさりげなく提案する―そのYOUの器用さとやさしさが彼女を「ご意見番」という立場に押し上げているのだろう。