お寺は税金を払わなくていいってホント?

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2014/4/30

 ついにゴールデンウィークがはじまった。どこへ行こうか、なんて考えてガイドをめくる。国内でも海外でも、ふと気付く。

「神社と寺と教会ばっかり行ってるよね?」

 特に信心深いわけでもないけれど、お守りや御札を授かり、絵馬を書き、さい銭を投げ、手を合わせる。そのくせ、ヒトはさほど社寺関係者に好印象を抱いているわけではない。「坊主丸儲け」「三日坊主」「坊主の不信心」「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」「すまじきものは宮仕え」…。

 神仏に奉仕する聖職者─という認識の一方で、「銀座の高級クラブで遊んでる」「葬式に来たお坊さんの腕に高価な金の腕時計が!」といったやっかみが根底にある気がする。で、実際のところ税金払ってるの? 払ってないの? そんな疑問の答えが『お寺本[入門編]目から鱗です。』(京阪神Lマガジン)にある。現職の浄土真宗の住職・中神章生さんが、お寺にまつわる素朴な疑問にストレート&シンプルに答えてくれる。いくつかを紹介しよう。

■そもそも、なぜお寺にお参りするの?
 一般社会のことを仏教では「俗世間」といい、俗世間にどっぷり浸かってしまうと、人間は精神に不調をきたす。そこで、お寺のような「出世間」(聖域)に触れることで、心のバランスを取ることができる。脳は活性化し、ストレスが解消され、俗世間で生きることが苦痛ではなくなる。
 お寺はインドではビハーラ=安息所と呼ばれ、英語に訳すならホスピタルのほうが近い。
 日々を生きるため、癒され安息を得るため、人はお寺にゆくのだ。

■合掌にはどんな意味があるの?
 「私と仏の一体を意味します!」 仏教では、右手が清らかな仏、左手が煩悩の私、を意味する。その一体化を表す行為が合掌というわけ。合掌は仏教発の行為なのである。

■お坊さんはなぜ髪を剃るのか?
 どんな流行にも左右されず、立場にも固執することなく、中道を実践するため。※兼職の場合、剃髪していないこともある。

■お坊さんの収入には税金がかからない?
 「それは誤解です」と、中神氏は即答する。本書によれば、お寺とお坊さんと税金の流れは以下の通り。
 お布施などのお金は『宗教法人』であるお寺の会計に入る。お寺本体へのお布施や寄付などの布教活動の上での収入には税金はかからないが、そこからお坊さんに支払われる「給料」には税金がかかる。お坊さんは確定申告を行い、納税しているのだ!
 また、併設の幼稚園や駐車場などの収入には普通に税金が発生する。税務署は檀家さんたちにも聞き込みをするそうで、「不正はできません」とのこと。

■お葬式は大安に行ってもいいの?
 「問題ありません」と中神氏。友引や大安など「六曜」は中国で作られた暦。「先勝」や「友引(引き分け)」など、勝負に関する言葉を使った占いのようなもので、「日にちに根拠のない意味を付けているだけ」だそうで、大安も友引もお葬式には関係ない。

 他にも「お釈迦様は女性に興味を持たなかったのか?」「仏陀はお金に興味がなかったのか?」「占いは当たる?」「日本のお坊さんは悟っているように見えないが?」などといったおかしな質問に、住職のズバリで目から鱗な回答が記されている。それでいて、回答の根底には「人が煩悩と向き合うために仏の教えはある」という、根本的な仏教思想が流れている。ヤジウマ的な興味でQ&Aを読み進めて行くうち、「仏教って案外堅苦しくないな」「もっと気軽に、でもマジメにお寺参りしようかな」と思えてくるはず。日頃たまったストレスや煩悩に息詰まったら、ちょっとお寺まで足を伸ばして、手を合わせてみよう。くれぐれも、柏手は打たないように。

文=水陶マコト