“弱酸性”は肌への負担大!? シリコンオイルは全くの無害!?

健康

更新日:2014/9/10

 胃腸薬・かぜ薬・花粉症薬など、薬局に行けば大抵の薬が手に入る。しかし、どの薬にしてもとにかく種類が多く、素人目にはどれがいいのか分からない。そんな時に役立ちそうなのがこの本『薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 よく効く! 得する! 市販薬早わかりガイド』(中川基/ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

 薬について書かれた本は多くあるが、この本の特徴は、カラフルな写真や図付きで非常に見やすいということ。素人が読んでもすんなり入ってくるよう、各社が出す薬について分かりやすく解説されている。そして、本書のもうひとつの特徴として、薬局に売られているものを幅広く検証しているということが挙げられる。

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 今回は、その中でもほとんどの人がお世話になっている、シャンプーについて見てみようと思う。次々に新商品が開発され、CMを見ても思わず試してみたくなるものばかり。ボトルのデザインにもこだわっていて、特に女性は迷ってしまうのではないだろうか。

 シャンプーといえば、近年 “弱酸性”“ノンシリコン”という言葉をよく耳にする。この2つは、“だからおすすめですよ!”というふうに使われているのだが、しかし本書では、本当にそうだろうか? と疑問を呈している。

 まずは、“弱酸性”について。酸性の洗浄成分は「逆性セッケン」といい、殺菌剤として病院のサニタリー消毒などに使われているもの、なのだそうだ。もちろん“弱”酸性であり、その消毒液ほど強力なわけではないが、肌の常在菌に対しても強力な殺菌作用を及ぼしてしまう可能性がある。その結果、肌荒れを起こしてしまうことがあるのだ。つまり、実は肌への負担が高いと考えられる。

 そして、登場して早々一躍有名になった“ノンシリコン”。この“シリコン”はシリコーンオイル(Silicone oil)のことで、集積回路(IC)などに使われる半導体のシリコン(Silicon)とはスペルの違う別物らしい。これは豆腐の剥離剤や創傷治療で傷口の保護に使われているくらい無害かつ安定したもので、髪をさらさらにする以外の影響はないのだとか。本書によると、まさに理想の髪質改善剤なのだそうだ。アレルギーを起こすこともなく、シャンプーの成分でシリコーンオイルより刺激がないものは存在しないとまで書かれている。

 また、シリコーンオイルが頭皮を覆ってしまうことを良くないように宣伝されているが、シリコーンオイルは皮膚の上では細かな網目状に広がっているそうで、完全には覆っていない。人間は皮膚呼吸をしない生き物なので、呼吸を妨げることもない。専門家の間でも、シリコーンオイルが「無害」であるという論調は、数十年前から今に至るまで変わっていない。

 ではなぜ“ノンシリコンがいい!”といわれるようになっただろうか。それは、昔はシリコーンオイルの製法が安定しておらず不純物が混じっていたり、そもそもシャンプーの成分自体が刺激の強いものだったりして頭皮が炎症を起こすことがあり、それゆえに生まれた風潮なのだそう。

 また、シリコーンオイルはシャンプーに使われるあらゆる成分の中で最も高額な素材らしく、原価率を下げるためにシリコーンオイルを悪者にしよう、という思惑もあるのでは?とのこと。プロが愛用するようなきちんとした商品でも、シリコーンオイルは使用されている。

 他にも“天然”と“合成”についてや、その他そうじ用品、日焼け止め、虫よけスプレーなど、日常的に使う薬局で買える商品についての知識が満載のこの本。本書を読んで正しい選び方を知り、本当に良い商品で快適に生活しよう!

文=月乃雫