初夜のセックスが原因でぜんそくが起こる? 一風変わった医学論文の中身

科学

公開日:2015/1/4

「医学論文」と聞くと、アナタはどんなイメージを思い浮かべるだろうか。誰もが「何が書いてあるのか、一般人には分からなそう」という印象を覚えるに違いない。だが、世の中には、「こんなものまで、論文に?」と思えるような、一風変わった論文が多数存在している。

『本当にあった医学論文』(中外医学社)では、呼吸器内科医である倉原優氏がチョイスした、おもしろい医学論文が紹介されている。これから増える飲み会の際に、ぜひ披露したい面白ネタのオンパレードなのだ! そこで、今回は、この本の中からいくつかの論文を紹介するとしよう! 論文という堅苦しい響きとは一線を画する内容に驚きを覚えるに違いない!

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初夜が原因で起こるぜんそくがある!?

 アメリカでは、新婚の若い男性が新婦との初夜の2回の性行為後に、重篤な呼吸困難感に見舞われた症例が論文に載せられている。この呼吸困難は、気管支ぜんそくと診断されたそうだ。元々、気管支ぜんそく発作の原因として、過度の精神的・身体的ストレスがあげられるが、その原因として性行為がある場合も少なくはないらしい。

「ハネムーン喘息」と名付けられたこの発作は、初夜の精神的な緊張と、性行為という肉体的なストレスが相乗的に作用して起こるのではないかと分析されている。ハネムーンに限らず、性行為の後に重篤なぜんそく発作を起こした症例は過去にも報告されているようで、性行為前に、薬を吸入する他、運動前ということで、ウォーミングアップをすれば、性行為中のぜんそくを防ぐことができると結論づけられている。

 とはいえ、良い雰囲気となってきた時に、いったいどうやって、ウォーミングアップするのだろうか。その他、マスクによる加湿も有効であるらしいので、心配な者はベッドでマスクをつけると良いのかもしれないが…それもどうもムードを壊すような気がしなくもない…。困った病もあるものである。

食べ物を落とした時の「3秒ルール」「5秒ルール」に根拠はある?

 食事をしていれば、時には、食べ物を床にこぼしてしまう場合も少なくはない。そんな時、「3秒ルール」だとか「5秒ルール」といって、そのこぼした食べ物を再び皿に戻してはいないだろうか。

 ある論文では、ネズミチフス菌が木やタイル、カーペットから、ソーセージやパンにどのくらいの時間で移動するかどうかの検証が行なわれている。接触時間は、5秒、30秒、60秒の3パターンを設定したが、たった5秒であっても、菌の異動が確認されたそうだ。カーペットから食べ物への移動は木やタイルと比較すると少なかったらしいが、微生物は数秒でも、容易に食べ物へと移って定着するといって良いだろう。

 しかし、移動した量の菌がどの程度、医学的な影響を身体に及ぼすのかは検証されていない。このネズミチフス菌の論文で「5秒ルール」すべてを語ることはできなそうだが、そのルールにはどうやら根拠がないことは明らかといえそう。食べ物は落とさないように気を配る、落としたら食べないのが懸命といえるかもしれない。

ジェットコースターで、「吊り橋理論」は通用しない!?

 ともに緊張感を共有した男女は恋に落ちやすいという「吊り橋理論」をご存知の方も多いだろう。それは1974年に発表された学説なのだが、「吊り橋理論」実証の現代版、といえる研究があるという。舞台は、ジェットコースター。この研究では、男女のペアにジェットコースターの搭乗前後に平均的な異性の写真をみせ、魅力的に感じるかどうかの判定をしてもらっている。これは、ジェットコースターによって感じる興奮が、異性に対する魅力に転移するのではないかという仮説、「興奮転移理論」に基づいた実験だが、結果は予想を裏切るものだったそうだ。恋人と一緒に乗ったペアには特に変化はなかったが、恋人ではない相手と一緒にジェットコースターに乗ったペアは、ジェットコースター搭乗後、第三者の異性の写真を高く評価するようになったという。つまり、付き合っていない男女がジェットコースターに乗ると、第三者の方へ目がいってしまう可能性があるらしく、「吊り橋理論」は通用しないといえる。おまけに、一緒にジェットコースターに乗った相手の魅力に対しても、搭乗前よりも、低めに評価する者が増えたそうだ。

 これはおそらく、一緒に乗った異性がジェットコースターで泣きわめく姿に嫌気がさした結果なのではないか? と思われるが、真偽の程は定かではない。恋人候補とジェットコースターに乗る際は、注意が必要そうだ。

 その他にも、ハリーポッターが悩まされている頭痛を真面目に診断する論文や、1分間のブラッシングで抜ける髪の量に関する論文など、一口に医学論文といえども、そのバラエティの豊かさには驚かされる。そのひとつひとつに込められたストーリーも面白い。これを読めば、アナタも飲み会でインテリネタを披露できるようになるかもしれない!(※乱用しすぎると、ちょっぴりウザいので、用法、容量は適度に、正しくお使いください。)

文=アサトーミナミ